フンテラール契約延長

試合、監督問題、なんとなくすっきりしないままウインターブレイクに突入したシャルケですが、休みの間にもすでにいろいろなことがあり心が落ち着きませんね。
まずは良いニュースから。

クリスマス前の23日、シャルケ公式でフンテラールとの2015年6月30日までの契約更新が発表されました。

29歳という年齢から、次に結ぶ契約は重要なものになると強調していたフンテラールにとって、最終的にシャルケでさらに2年続けるという決心をするにあたりかなり悩んだのではないかと思います。

彼の決断と契約延長を勝ち取ったヘルトの粘りに感謝いたします。

昨年に比較するとゴールをあげることに苦しんでいるようですが、どう違うのか気になったので昨年の数字と少し比較をしてみました。数字はすべてブンデスリーガ公式から拾ってきたものです。今シーズンの9節だけ数字がアップされていないのと、11節は63分で交代しているのでその2試合分は飛ばし、それぞれ10試合平均で比較しています。

平均値を見ると意外と昨年の数字とあまり変わりはないのですが、ただ今年の傾向はなんとなくわかる気がします。

昨年のスプリント(瞬間的なスピードアップ)の平均が15.4に対し、今年は16.2。それに対し、ラン(意図的な走り)は昨年の58.3に対し、57.3と少し下がっています。
またコンタクト(ボールコンタクト)が昨年の33.2に対し、今年は31.9。パスは昨年が13.8に対し、今年は14.7。
これらの数字から、ポジショニングが的確ではないためよりスプリントが必要となるケースが増えている、また、ボールコンタクトの減少からフンテラールへ良いボールが供給されていない、という仮説が立てられます。さらに、ボールコンタクトが減っているにもかかわらずパスが増えているのは、シュートに行けずにパスを選択する回数が増えたのもしれません。
意図的な走りも減ったため、ボールが来た際に瞬間的なスプリントをしなければならなくなると、昨年まであったディフェンスの前に入ってゴールを決めるという一歩の速さが失われているのではないかという推測もできます。



ESPNのサイトにある選手のヒートマップを比較すると、同じようにゴールをあげた試合でも、今年の位置はゴールよりも遠いやや深い位置であることがわかります。
左は2011/12シーズン第8節HSV戦、右は2012/12シーズン第6節フォルトゥナ戦(どちらも相手ゴールは向かって左になります)


なぜ、このような不調が続いているのかというのはいろいろな要素があって難しいと思います。もちろんラウールがいなくなったことも原因の一つかもしれませんが、それと同時に欧州選手権によるシーズン前の準備不足もあるという気がします。
昨年のフンテラールは素晴らしかったけど、やはりワールドカップのあった2010年の彼は最終的にリーグでは8ゴールでした。

アーセナルとの試合の後に、フンテラールがゴールキーパーと一対一になった時なぜ得点できなかったについて、ブンデス公式のインタビューで答えていたことが大変印象に残っています。

It’s difficult to explain. You have a split-second to make a decision, and in this case I made the wrong one. First I was going to chip him, then I decided to stick the ball in the far corner. I always watch the keeper’s movement before I decide what to do. At that moment he was still on his feet, but then all of a sudden he was on the ground and able to make the save. I knew straight away that it would have been better to lob him, but it was already too late.

ストライカーはボールがくる瞬間にコンマ何秒かでどうするかの決断をしゴールを決めていくわけですが、彼はゴールキーパーの動きを必ず見て、一瞬のうちにどういうボールを蹴るか決断しています。それがたまたま選択肢を間違ることもあったり、こういうボールを蹴ろうと思ったときには、アクションを起こすのがすでに遅かったということについて自分で分析をしています。

また、11月頃、『Champions』という雑誌のMatchday 5にフンテラールの特集があったので購入してみたのですが、その中でも彼は大変興味深いことを言っています。

“You can actually train anything, so if you train, it’s not only instinct, but something you have practised. When I’m in front of the goal, I do what is in my mind at that moment, and that’s instinct, but also experience and logical thinking”

ゴールをあげるということについて、どんなことでもトレーニングによって身につけることはできるし、それは本能だけではなく、練習によるものだと説明しています。
フンテラールは持って生まれた才能とストライカーとしての本能だけでなく、経験とトレーニングに裏付けされたロジカルな思考があるからゴールできるのです。

契約の延長を決め、心理的に迷いのなくなったフンテラールの後半戦での活躍に期待しております。