Football Money League 2013

デロイト社のFootball Money League 2013が出ました。昨年は2月半ばだったのに今年は1月20日過ぎ。早い。
そのかわり、毎年各チームの数字以外に添付されていたマーケットの傾向などの分析レポートが省略されています。

このレポートについては毎年書いているので、とりあえず今年もちょっとまとめてみます。
2013レポートの対象期間は2011/2012シーズン(2011/07/01から2012/06/30)になります。
シャルケにとってはCLではなくヨーロッパリーグに予選から参加し、最終的にベスト8となったシーズンです。

前回マネーリーグでベストテン内に入ったシャルケは、その時の来季予測通り14位まで転落。

なお過年度のレポートについてはこちらのエントリーをご参照ください。(『Football Money League 2012』)、(『Football Money League 2011』)、(『Football Money League 2010』)、(『Football Money League 2009』)、(『Football Money League 2008 – Schalke04』

毎年同じことを書いていますが、レポートの見方について。

マネーリーグの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない投資活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

2013レポートによるシャルケの収入構造は下記の通りです。パーセントは全体の比率。かっこ内は前年の数字と増減金額。通貨はユーロです。

* Matchday 24.7% : 43.1M (37.2M + 5.9M)
* Broadcasting 21.8% : 38M (74.3M – 36.3M)
* Commercial 53.5% : 93.4M (90.9M + 2.5M)

放送料収入(Broadcasting)は、前回CLのベスト4に残ったことでクラブ史上最高額の74.3Mを記録しているので、今回はELでベスト16までしか残れなかった影響により36.3M減少の38Mとなっています。

入場料収入(Matchday)は昨年に比べて増加しています。デロイトのレポートは6%の減少と書いてありますが実際には15.9%増。2011/12のホームゲーム(リーグ17、ポカール0、EL7)と2010/11(リーグ17、ポカール1、CL6)を比較しても試合数は同じなので、増加分は席単価が高くなった分、増えたと考えるのが妥当かと思います。

商業収入(Commercial)に関してはマネーリーグでは9番目に高く、昨年も書きましたがInfront Germanyというスポーツ権利を扱う会社との長期契約により、スタジアムをサッカー以外の様々なイベントに活用する道が拡大化された影響を享受しています。シャルケの試合がない時は、バイアスロンやボクシング、アイスホッケー、コンサートなど、いろいろなイベントが開催されています。
また、ガスプロムと2017年までの長期契約を更新したので、年に換算すると約15Mの収益となります。アディダスとの長期サプライヤー契約、フォルクスワーゲンやErgo(保険会社)とのパートナーシップなどにより、Commercial部分で数字が落ちる可能性はあまりないでしょう。

2009年から2012年までの5年間の数字をグラフにしてみました。5年間の年平均成長率は3.3%。



ところで他のブンデスリーガのクラブはどうなのでしょうか。
マネーリーグの20位までにランクインしているドイツのクラブは、バイエルン(4位、前年4位)、BVB(11位、前年16位)、シャルケ(14位、前年10位)、HSV(18位、前年18位)の4クラブ。20位以下ではシュトゥットガルトが25位につけているのみです。



グラフを見ると、バイエルンが突出しているのがよくわかります。
入場料収入の85.4Mは他の3チームと比較すると倍以上となっています。昨年のレポートにありましたが、シャルケは1試合平均1.6Mであるのに対し、バイエルンが3.1M。座席数の差が7,000強程度としても席単価自体はかなり高いことがわかります。ただし昨年のバイエルンのチケット代は据え置きでした。一昨年に比較すると2試合増えたのみにもかかわらず、金額は13.5M増。
放送料収入が高いのはCLやDFBポカールの決勝まで進出したことを考えると当然の結果でしょう。UEFAからのCLの分配が43.8Mあります。
商業収入は単年で200Mを超えたクラブは初めてだそうです。もちろんマネーリーグの中でも1番です。(その次に多いのがマドリーの187.2M) そのうちマーチャンダイズ収入だけで57.4Mあり、それにスポンサーシップなども含めての金額になります。

ドルトムントは昨年の16位から11位にランクアップ。放送料収入が28.3M増の60.4M。これはUEFAからの分配が25.4Mあったことが大きな要素です。グループステージで敗退してもこれだけの分配があるということは、CLに出場することがいかにクラブにとって重要かということがよくわかります。

最後にマネーリーグ20位までに入っているクラブを国別に合計してみました。クラブ数はそれぞれ、スペイン 2、イングランド 7、ドイツ 4、イタリア 5、フランス 2です。
スペインの上位2チームが突出していること、またマネーリーグでのイングランドの存在感の大きさがよく理解できる結果だと思います。



Football Money Leagueはだれでもダウンロードできるレポートですので、さらに興味のある方は
ぜひご自分でも目を通してみてください。
シャルケの会計期は1月から12月ですので、経費等を含めた最終的な数字は4月頃にわかるかと思います。