2013/14 CL プレーオフ1st Leg:シャルケ対PAOK

HSV戦で3失点、ヴォルフスブルク戦で4失点。2試合で7失点というのはシャルケにとってブンデスリーガになって初めてのことだとか。
ケラーになってからずっと思っていた、どうも守備の決まりごとが緩いという印象はますます強くなるばかり。
この時代に意外と分業なところもあるんですよね。中盤の守備担当はジョーンズ。あと、最後の砦は個人まかせという面もあるので、DFの選手が失点にからむと責められることも多い。
さすがに個人がそれぞれに守備をして終わりな時代でもないような気がしますが。いえいえ、みんなが全くしてないというわけでは決してないのです。FWからGKまでみんな頑張っています。ただあまり組織的じゃないなあという気がするだけ・・・。
またセットプレーはこぼれ球に誰がどう行くのかという決まりがあるのかないのか、ヴォルフスブルク戦ではセットプレーの一発目は防いでも、こぼれ球を決められるということが起きます。

一方でステフェンスが率いるPAOKテッサロニキの前半の守備は統制がとれていました。
隣同士を紐で結んでいるかのように同じ距離感でみんなが動く。シャルケが前半ボールを持っていてもなかなかブロックを崩せなくて攻撃シーンが見られなかったのも、PAOKの守り方に隙がなかったというのもあります。ステフェンスのゲームプランとしては前半はがっちり守ってゼロで押さえ、あわよくばカウンターという感じだったのではないでしょうか。
ボールを持つとユリアンには厳しくマークがついていました。

Champions League Qualifikation, 2013/14, Play-off
FC Schalke 04 – PAOK Saloniki 1:1 (1:0)

Torschützen
1:0 Farfan (32., Linksschuss, Szalai)
1:1 Stoch (73., Rechtsschuss, Lino)

FC Schalke 04
Hildebrand – Uchida, Matip, Höwedes, Fuchs – Höger (78. Goretzka), J. Jones – Farfan (87. Pukki), Draxler, M. Meyer (69. Clemens) – Szalai

PAOK Saloniki
Jacobo – Kitsiou, Katsouranis, Miguel Vitor, Lino – Lawrence (62. Kace), Tziolis – Lucas (90. + 1 Oliseh), Lazar, Stoch – Salpingidis (62. Athanasiadis)

 
前半のシャルケの攻撃で一番良かったのは内田。裏を取る動きがなんどかうまく行き、足元へとつなぐばかりで動きの少なかった前線にアクセントを加えていました。審判にとってもらえなかったけど、9分のエリア内でのハンドを誘うボールもよかったし、対面にいたストッフを何度か置き去りにして上がるタイミングも非常によかった。
守備でもセットプレー崩れのカウンターになった時、中盤で攻撃の芽をつんでいましたし、前半の内田はよく動けていました。

左でも同じことをマックスにしてもらいたかったのですが、マックスはどうしても真ん中へと入ってきてしまうので、ユリアンが左に流れたり、真ん中が密集したりということがおこりました。左サイドをうまく使えなかったのはちょっともったいない。
マックスも真ん中に入るならもう少しドリブルで仕掛けてほしかったです。シャルケのU-19で見たときは非常に効果的なドリブルも持っていたし、それが持ち味だと思っていたので、簡単にワンタッチでプレーしていく姿はちょっと物足りなさがありました。
もしかしたら、前半の早い時間に左サイドで仕掛けようとしてがっつり引っかけられたのも影響があったのかも?
でもこういうしっかり固めてくる守備陣にはドリブルでの突破も効果があるから起用されたのかと思ったのですが。

あまり決定的なチャンスもなかったシャルケですが、32分に先制します。
フクスから中央のユリアンにパス。シュートは相手DFに当たり、サライの足元へこぼれます。一度はDFにはばまれたものの、なんとかファルファンにパスが出て、これをファルファンがダイレクトでゴールの隅に見事に決めます。
この時だけはぎりぎりシュートコースが空いてるんですよね。そこにしっかり決めてくるファルファンもさすがです。サライが中央でDFの注意を引き付けてくれたというのもありますね。

38分にはPAOK側に決定的なチャンス。なんとか最後はフクスがクリアしましたが、ファーにもフリーの選手がいたし本当に危ない場面でした。

後半はうってかわってPAOKがやや攻勢に出ます。
内田か誰かがコメントしていましたが、60分過ぎから全体に明らかに運動量が落ちるのはコンディションなんでしょうか。
逆に前半は散々内田に裏を取られ、ボールを奪われ、スペースに走ってもボールが出てこないと全く良いところのなかったストッフは、68分にゴール脇を抜けるミドルシュートを打ち、少しずつゴールに近づいてきたことを予感させます。

失点シーン。
内田はやはり守備でバランスを取ろうとするので、ジョーンズがLazarについているにもかかわらず、ついLazarとストッフの両方を見ようとしています。スポナビのコメントでは守備の受け渡しがうまくいかなかったと言っていますが、オフサイドポジションに抜けてしまったLazarを捨てて、ジョーンズがストッフについたときはすでに遅く、ストッフは結果的にフリーの状態でミドルを打つことができてしまいました。ジョーンズと内田の二人が見ていたというのに。
その前の68分にミドルを打っていたので、ゴールまでの距離の感覚はあったんだと思います。
パスではなく完全に自分で蹴るつもりでしたね。

ストッフは決してものすごく質の高い選手ではないと思うけど、どれだけボールが来なかったり、ミスしたりしても全くめげないところが素晴らしいです。愚直なまでにトライする。だから最後に結果が出たのでしょう。こういうところ、ちょっと見習いたい・・・。

この同点ゴールのあたりからスタジアムが騒然とし始めます。
中継ではよくわからなかったのですが、シャルケのゴール裏に100人を超える警官隊が突入し、サポにペッパースプレーを撒いたりして怪我人が30人以上出たようです。このことについては最後に書きます。

ケラーは試合後、スタジアムが騒然としていたのはわかっていたが影響はなかったと言っていますが、追い上げなければいけない大切な時間帯だっただけに後悔が残ります。
79分にはキャプテンのベニーがドリブルで上がって行ってシュートを打ちますが、これはセーブされました。こういう攻める気持ちをみんなでもっと後押ししたかったです・・・。
このまま試合終了。シャルケにとってはアウェイゴールも与えてしまったし、痛い引き分けとなりました。

後半にはクレメンスとゴレツカも交替で登場し、CL初出場を決めました。短い時間ですがどちらも自分なりのプレーは見せていたと思います。
クレメンスはやはり精度の高いボールを蹴ってきたし、レオンは囲まれてもボールを持てるところを見せました。彼のパスを出す時のちょっと独特のタイミングの取り方がけっこう好きです。

さて、上でもちょっと触れましたが、シャルケゴール裏(Nordkurve)に対し、警察の過剰なまでの介入および攻撃については、試合後すぐにTwitter上でシャルケ公式が最大級に強い口調で抗議をし、その後公式サイトにボードメンバーのピータースのコメントが掲載されました。

 


そもそもの騒動の発端は、シャルケゴール裏最前列に掲げられていたマケドニアの旧国旗に過剰反応したPAOKサイドの役員が、GEの警察に対し『この状況がエスカレートしたら重傷者や死者がでるだろう。ブロックに入って何も手を打たないとすぐに警察も攻撃される。フラッグを見せているのはギリシャに対する大きな挑発である』と抗議し、警察はこれに反応したわけですが、実際フラッグを下ろすよう促すだけのことに100人も動員し、ペッパースプレーを無差別にばらまくという暴力行為を行う必要があったのか疑問に思います。(警察の発言はGE警察のプレカンより)

また、シャルケもクラブとして正式に『フラッグの件があったとしてもそれはサポを暴力で脅かすことを正当化するものではない』と強く抗議しています。

そもそもなぜマケドニア国旗がシャルケゴール裏に掲出してあったかについてですが、このフラッグ自体は2004年からゴール裏に掲げられているもので、シャルケと友好関係にあるマケドニアのクラブ、ヴァルダル・スコピエのサポがウルトラス・ゲルゼンキルヒェンにプレゼントしたものです。
記憶にもあるかと思いますが、スコピエとは昨シーズン終了後にも親善試合を行っていますね。
昨シーズンのCLでギリシャのオリンピアコスと対戦したときにもこのフラッグは出されていましたが、全く問題にもなりませんでした。

なお正しくはシャルケゴール裏に出ていた国旗は、現在のマケドニア国旗ではなく1995年まで使用されていたものです。ギリシャではマケドニア呼称問題というものがあり、この旧フラッグは古代マケドニアと類似したデザインのため、しばしば民族主義者がシンボルに使用することもあるようです。

なお、警察の介入時の映像がありますのでリンクしておきます。



この問題、続報がありましたらまた追記します。
この説明は私が理解したところの内容を書いただけですので、理解が足りないことにより事実と異なる部分がありましたらごめんなさい・・・。

 

2013/14 CL プレーオフ1st Leg:シャルケ対PAOK」への2件のフィードバック

  1. twitterでもこちらでも、いつもいろいろ情報ありがとうございます。

    今頃のコメですが・・・PAOK戦での警察の介入で、CLのガラタサライ戦(シャルケホームの)を思い出しました。
    たまたま、アウェイサポ席のすぐ横だったのですが、ガラタサポがかなりまわりの迷惑になるような応援をしているにもかかわらず、すぐ横にずらっと並んでいる警備の人(警官?)は何もせず・・・
    頭にきたので、この人たち、観戦の邪魔!と文句を言っても、肩をすくめるだけ(ドイツ語じゃなかったのでわからなかったかも?)
    その前のルールーダービーのときは、ドルサポに遠慮なくがつがつ行っていたのに・・・

    そのときに、昔々、イギリスで英語学校に行っていたとき、同じ学校にけっこういたドイツの人たちから聞いていた歴史的な人種の問題や当時の移民問題などを思い出し、なにかこう、時と場合、というよりは相手によってはうやむやにせざるをえないものもあるのかな、と思ったのでした。

    PAOKのサポも、もとからのギリシア人ではない人が多いと聞いたので、そのあたりの配慮なのかな・・・と。
    わたしのまったく見当違いかもしれない感想ですけど(^^;)

  2. >canさん、
    私もそのあたりのニュアンスはよくわからないですね。相手によってはうやむやにした方がいいというのはあるような気はします。(特にドイツは歴史的にいろいろと・・・)

    それにしてもこの事件は本当に外から見ててもわからないことだらけです。
    いろいろ記事を読んでみても、内容が内容なだけにドイツ語の壁がいつも以上に高くて(汗)

    さきほどプレカンでしょーちゃんが訳してくれていましたが、今後はスタジアムに警察が入ることはなく、外で待機する形になるとか?

    この試合、勝ったからよかったものの、万が一負けていたら、あの警官隊の突入がさらに大問題になっていたかと思うと本当に腹立たしいです。

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