07 30 2016

エルツ山地のアウエの話

Published by at 11:30 AM under 2.Liga

2015/16シーズン、エルツゲビルゲ・アウエがドイツ三部で2位となり、二部へ昇格しました。その前年に降格したばかりなので、1年での二部リーグ復帰となります。



一昨シーズンの降格と同時に、クラブを離れたスティピッチ監督の後任として、パダボーンでも指揮を取ったことのあるパヴェル・ドチェフがアウエの監督となりました。ドチェフさんはその前年に、三部のプロイセン・ミュンスターで監督を務めていましたが、序盤のスタートの良さを生かせず、最終的にミュンスターを昇格させるに至りませんでした。それだけに、アウエが一年で戻ってくるかどうかは心配していたのですが、2位となり見事に自動昇格。しかもホームでは負けなしという勝負強さを発揮しました。リーグ優勝したディナモ・ドレスデンとは、どちらの試合も1-1の引き分けでしたが、ザクセンポカール準決勝で、ドレスデンのホームで対戦したときは、3-0と圧勝しました。

アウエは二部でもずっと地味なクラブで、一時期はアウエに負けると、翌日に対戦チームの監督が解任されるという出来事が頻発しました。アウエに負けるなんて!という共通認識がどのチームにもあったのではないかと思います。サッカーのスタイルも、引きこもって相手チームを泥沼に引きずり込むという、見ていて退屈なチームでした。

2012/13シーズン終了時には、アウエの宝ともいえるホフシャイトを、ブラウンシュヴァイクに引き抜かれます。この年、アウエには初の日本人選手となる石原卓選手が在籍。当時はVfRアーレンで、現甲府の阿部拓馬選手がプレーしていたこともあり、なんとなくこの二つのチームの動向を気にしていました。この時はディナモ・ザグレブから0.6Mユーロで移籍してきたFWのジルベストルが、得点王になる活躍で、アウエにしては14位と健闘。しかし、シーズンの終わりには、ジルベストルをクラブ至上最高金額となる1.7Mユーロでニュルンベルクに売却。アウエはそのお金で芝暖房を完備した練習場の改築を行っています。

さらに2014/15シーズン。開幕4連敗後に解任されたゲッツ監督の後を継いだのは、クロアチア人のスティピッチ。彼が監督をするようになって、初めてアウエのサッカーを面白いと思うようになったのですが、ジルベストルを失ったことによる得点力不足はいなめず、最終節で降格しました。

アウエは1945年にSGアウエとして創設。東ドイツ時代は国のスポーツ政策により、近郊のケムニッツ(当時カール=マルクス=シュタット)にクラブ名を変更されます。しかしSCヴィスムート・カール=マルクス=シュタットに名前を変えられたアウエは、1955、56、59年とリーグで優勝。黄金期を築きます。1963年にようやくカール=マルクス=シュタットが独自のチームを創設したため、BSGヴィスムート・アウエという名前に戻ります。

その後は、東西ドイツ統一を経て、1993年に現在のFCエルツゲビルゲ・アウエという名前になりました。エルツゲビルゲとは一つの山という意味で、チェコまで連なるエルツ山地を指しています。いまでも40キロ離れたケムニッツFCとのダービーは、非常な盛り上がりを見せます。

エルツ山地ではビスマスなどの金属鉱物が多く産出されました。チームの愛称Wismut(ビスマス、蒼鉛)は彼らが歌うチャントの中にも多く織り込まれています。またアウエは、他の鉱山労働者のチームであるシャルケや、エッセン同様、試合前にSteiger Lied(冒頭のYouTubeの曲)を歌うクラブでもあります。

昨シーズンは、ホームでの試合後に選手たちが頭の上で腕を交差するポーズがずっと気になっていたのですが、これは鉱山を掘る時に使う⚒つるはしを組み合わせた状態を表しています。アウエではユースの小さな子供達も、試合後にこのポーズをします。

Die Hämmer!

FC Erzgebirge Aueさん(@fcerzgebirgeaue)が投稿した動画 –



メインスタンドを改築する工事が昨シーズン途中から始まり、試合を開催しながら工事を進めていたため、中継を見ていると、ボールがスタンドの工事現場に入り込んで出てこないというハプニングなどもありました。また工事中にスタジアムに住み着いた猫のMuschiが、インスタグラムで人気者となっています。

#Stadionkatze: Hübsch machen fürs Fotoshooting!

Stadionkatze Aueさん(@stadionkatze)が投稿した写真 –



さて、二部に昇格した2016/17シーズン。同じく昇格したディナモ・ドレスデンと異なり、中心選手がほとんど流出していないのは好材料です。スティーブ・ブライトクロイツとリードルを中心にした守備は、昨シーズン、リーグ戦38試合で失点21という記録的な堅守を見せています。レンタル移籍ながら、昇格の立役者となったケプケをカールスルーエから買取り、二列目のソウコウ、スクラティディス、クヴェシッチも好調。さらにニッキー・アドラーも控えています。
ハノーファーとの練習試合のハイライトを見る限りは、二部の破壊力のあるチームに守備がどれだけ持ちこたえられるかが、リーグ躍進の鍵となりそうです。

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