2部から見たRBライプツィヒ

2016/17シーズンの大きな話題となったRBライプツィヒについて、ドイツ2部のコラムとして、『17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・1』に書いたものを転載します。

(初出:2017年2月)


ラーゼンバルシュポルト・ライプツィヒが2部にいた2年間は、ファン文化の観点からも非常に興味深いシーズンだった。試合のたびに、ウルトラスを中心とした対戦相手のサポーターが、激しい抗議活動を展開した。個人的にはやり過ぎと感じることも多々あったが、これらの活動には、金の力で強くなることへの反発だけではなく、根底にドイツサッカーの理念を守るという気持ちがあったことはわかって欲しいと思う。

今や旅立っていったRBライプツィヒを下から眺めるだけとなったが、2部時代にあった圧倒的な違和感は、1部ではずいぶん希釈されたように感じる。資金、コンセプト、能力。3つのCがRBライプツィヒ成功の秘訣だと、スポーツディレクターであるラングニックは語る。確かに1部に置くと、そこに相応しいチームのようにも見えてくる。2部時代、サッカーはマーケティングツールではないという抗議活動に共感したものの、今では明確なビジネスモデルとサッカーのスタイルに、抗えないものを感じるのも事実だ。

ドイツのプロサッカーチームは、もともと地域にある体操クラブ内のサッカー部から生まれたものが多い。その地に根差したスポーツクラブは、少額の会費で誰でも参加することができた。それに伴い、地方自治体の所有している施設の使用権や優遇税制といった恩恵が与えられた。日本で言うところの社団法人に近い非営利団体である。今でも会費を払った人達が参加し、自分達の力で運営するという、設立時の理念を引き継ぐ。

この枠組みを支えるため、ドイツサッカーリーグ機構には、元になる組織に51%の所有権を定める「50+1」という規定がある。設立母体以外の参入者は、20年間は単独での会社支配が難しく、これがイングランドなどと違い、外国企業や資産家のブンデスリーガへの参入を阻んできた。

1部のクラブで、未だに社団法人の形がそのまま残っているのは、シャルケやフライブルクなどの4つ。それ以外はトップチームをスピンオフし、会社化しているところばかりだ。母体の非営利団体が利益を生み出す株式会社を所有するという構造である。2部になると、オリジナルのままの形で運営しているクラブの数が一気に増える。ウニオン・ベルリン、ボーフム、ディナモ・ドレスデン、ザンクト・パウリ、ハイデンハイムなど18チーム中12チームがそうだ。

RBライプツィヒが3部から2部に上がる時に、ライセンス付与を巡ってリーグから出された条件は、ロゴデザインの変更と異常に高い年会費の改訂だった。これにより地域の人々の参画が可能になるはずだった。

しかし、それから3年以上経った今でも会員数は増えていない。ブンデスリーガの公式によると600人(ちなみにバイエルンは27万329人)。ラングニックは、クラブの会員数はチームの戦略的な決定に何の影響も及ぼさないし、時代遅れの枠組みだと主張する。影響を及ぼさないのであれば、入会条件を下げて数を増やす努力をしてもいいようなものだけど。

実のところ「50+1」は今や形骸化し、リーグはレッドブルのような参入を黙認しているようにも思える。RBライプツィヒに隠れて、日本では目立たないが、1860ミュンヘンもその手法が多くの批判を浴びているクラブの1つだ。トップチームはすでに株式を発行しており、2011年に1人の投資家が60%の「議決権」を1800万ユーロで取得した。しかし書類上は出資比率の51℅を、母体である社団法人が所有していることになっている。

2部のハノーファーもまた、資産家の支援を受けているクラブの1つである。「50+1」は、継続的にクラブに貢献し続けてきた企業及び個人が、20年を超えた時点で適用外になる。これは長年レバークーゼンとヴォルフスブルク限定の例外措置だった。

しかしハノーファーのキント会長はリーグに働きかけ、20年間メインとなって継続支援を続ければ、誰でも過半数を超えて所有できるよう改定することに成功した。そして今年、彼はついにその20年目を迎える。

RBライプツィヒが台頭する前、同じような批判の矛先はホッフェンハイムに向けられていた。しかし会長のホップは、長年にわたり多額の資金をクラブに注ぎ、今やホッフェンハイムの育成部門が高い評価を得るだけではなく、優秀な監督をトップチームに送り出すまでにもなった。ホップは現在、トップチームの株式を96パーセント所有しているが、このことは2015年にリーグが承認している。

ホッフェンハイムやハノーファーのように正攻法で行くのか、あるいは抜け道を探るのか。いずれにせよ、今後、クラブの資本のあり方に見直しが必要となることは避けられないように思う。その時、ドイツサッカーの文化は変わるのか、そのままであり続けることができるのか。そんなことを考えながら、今日も2部の試合を見ている。

 

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