ジョナサンのサウジ対日本戦プレビュー

私が個人的に好きなサッカーライターのジョナサン・ウィルソンが、スポーツ・イラストレイテッドで、アジアカップについての記事を書いています。
内容的には普通ですが、まだまだ欧州以外のサッカーについて、きちんとしたサイトで記事を書いてくれる人も少ないので、ちょっとご紹介。

冒頭で、2000年のアジアカップ・グループリーグでの日本対サウジアラビアのことについて触れています。

この時のグループリーグ初戦、日本は4-1でサウジを破り、ジョナサンはアジアのバランスが西から東へシフトしたことを感じたようです。サウジはこの年まで、3回アジアカップのタイトルを取っています。
日本に敗戦した後、サウジは指揮を取っていたマチャラをすぐに解任。ナッセル・アル・ジョハルのもと、チームを立て直して決勝まで進みましたが、決勝で再び対戦した日本に1-0と敗れました。

ジョナサンによると、日本は2000年大会の勝者にふさわしいチームだったし、サウジの凋落はこの時から始まったと言っています。(はい、2000年アジア大会は個人的にも忘れられない大会です。最強の日本代表でした!)

2004年に日本はアジアカップで連覇しましたが、サウジはグループリーグで敗退。
その3年後にハノイで行われたアジアカップの準決勝では、サウジが3-2で日本を破ります。ただ、決勝でサウジはイラクに敗退。

今年のアジアカップでも再び日本とサウジは同じグループになりましたが、月曜日の対戦の前にすでに決着はついてしまっている感もあります。
日本には勝ち点がまだ必要ですが、サウジはすでにグループリーグ敗退が決定しており、ここでの勝利はプライドを保つという意味合いはあっても、サウジにとっての重要性はすでに失われています。
監督は初戦のシリアに負けた後に解任され、アル・ジョハル(ほんと毎回、毎回便利な人ですw)に交代。永遠のCare-Taker、アル・ジョハル(これで5度目のサウジ監督です)の力をもってしても、サウジがヨルダンとの対戦において1-0をひっくり返すことはできませんでした。

2010年のワールドカップでは、1990年以来初めて、サウジは本大会へ出場することができませんでした。2007年アジアカップでサウジが準優勝したのは、2000年からの衰退の中では一時的な輝きだったとジョナサンは感じているようです。

日本も、カタールではいまのところそれほど強い印象を与えていない、とジョナサンは言っています。
ヨルダンとの試合では最後の最後にゴールをかすめとり、シリアとの試合では大変甘いPKの判定を得たとバッサリ。
(フォーメーション厨の)ジョナサンにとっては、ザッケローニがスリーバックを試すなら、日本が伝統的に好んできたフォーメーションであっても、退行のように感じるようで、ワールドカップで日本が進歩した部分があるとしたら、岡田監督が4-2-3-1を使ったことだとも言っています。

また彼は、今回のアジアカップは、2006年にアフリカからトーゴやガーナ、アンゴラが初めてワールドカップに出場した時の状況に似ていると考えているようです。その理由としてふたつの側面を上げ、ひとつはそれまでの中堅国が大国に追いついてきたこと、あとひとつは伝統的に強かった国がそれより下にとりこまれてきてしまったことだと言っています。

また今大会は、シリアやヨルダンのように、弱小とみなされていた国が堅固でよく組織だったところを見せたり、カタールやバーレーンがさらに強くなりそうな印象を与えたりした一方で、北朝鮮は攻撃に出たときに守備が不安定になったり、サウジはさらに低迷するだろうという点が明らかだったり、中国は国のサイズに比べると結果を出せていないように見えます。
オーストラリアは変換期にあり、そんな中で、日本はたえず次なる飛躍に備えてバランスを保っているように見える、とジョナサン。

ただ、残念なことに今大会はライバルたちがトップフォームであるとは言いがたく、このような残念な言葉で記事は締めくくられています。

For 20 years Japan against Saudi Arabia has been a clash of the continent’s superpowers; on Monday it looks like something of far less import.

(20年間、日本対サウジアラビアはアジア大陸における巨大勢力のぶつかり合いであった。月曜日、その重要性はほとんど失われているかのように見える)

 
日本が勝つのはもちろん大前提ですが、ここはサウジアラビアにも意地を見せてもらいたいものです・・・。