Football Money League 2011

毎年、3月くらいに出るデロイト社の『Football Money League 2011』がもう発表されていたので、さっそくダウンロードしてさくっと読んでみました。なぜか今年はメールアドレスを登録しなくてもダウンロードできるようになっていました。

今年のマネーリーグでは、シャルケは去年と同じ16位のままです。昨シーズンはCLもELもなかったので収入減となり、順位がもっと下がるかと思っていただけに意外でした。

他のドイツのクラブは、バイエルン(4位←4位)、HSV(13位←11位)、シュツットガルト(19位←圏外)となっています。去年17位だったブレーメンと19位だったBVBは20位以下(それぞれ28位と22位)に転落しています。

レポートの対象期間は09/10シーズン(2009/07/01から2010/06/30)。

(過年度についてはこちらのエントリーをご参照ください。『Football Money League 2010』『Football Money League 2009』『Football Money League 2008 – Schalke04』『Football Money League その2』

まず、毎年同じことを書いていますが、このレポートの見方を去年のエントリーからコピペ。

Money Leagueの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

シャルケの収入構造は下記の通りです。かっこ内は前年の数字。

* Matchday 18% : 25.4M (29.2M – 3.8M)
* Broadcasting 25% : 35.4M (34.2M + 1.2M)
* Commercial 57% : 79.0M (61.1M + 17.9M)

一見して、Matchdayが減っているのと、Commercialがかなり伸びているのがわかります。
Matchdayが減るのは、CLやELがなかったため試合数そのものが減っているのが理由です。シャルケのスタジアム収入は動員数がほぼMAXなため、試合数の増減が収入を左右します。ただ、DFBポカールで準決勝まで行き試合数が増えたことは有利に働いたようです。

それにしても、Commercialが17.9Mユーロも増えているのには驚きです。
レポート内ではその理由として、2017/18までの長期契約を結んだスポーツマーケティング会社 Infront Germanyが、Veltins Arenaをシャルケの試合以外のスポーツイベントへ積極的に活用するようサポートしていることをあげています。
Veltins Arenaは床部分が可動式なので、いろいろなスポーツやイベント会場に早変わりできるのです。

2011レポートの特集ページでは20位までにランクインしているクラブの収益構造を比較しています。
30ページに右のような分布図がありますが、各クラブごとに収入源の比率を表しています。真ん中に近いほど収益バランスがよいクラブです。

ドイツのクラブは左下のCommercial比率が非常に高く、バイエルンが53%、HSVが43%、シャルケが57%です。これはランク3位までのレアル・マドリー(34%)、バルセロナ(31%)、マンチェスター・ユナイテッド(28%)に比べるとかなりバランスが片寄っています。
逆に言うと、入場料収入や放映権収入はまだポテンシャルがあると言えるのかもしれません。
なぜドイツのCommercial比率が高いかという理由として、レポートでは、ドイツが欧州でも最大の商業市場であるということと、相反してPay-TVのマーケットが未成熟であるということをあげています。

これに関連して放映権収入については『TV Times』という特集で詳しく述べられています。
放映権の販売については、イングランド、ドイツ、フランスなど多くの国がリーグ(あるいはそれに該当する組織)がクラブに替わって一括して放映権を売る場合と、スペイン、イタリアのようにクラブ(あるいはクラブと契約したエージェント)が独自に放映権を販売するケースがあります。(2010/11よりイタリアはリーグが一括する形になるようです)

リーグが一括して放映権を取り扱う場合、イングランドのプレミアリーグでの配分は50%がリーグ内で均一配分、25%はテレビで放映される数に応じ、残りの25%が最終順位によると述べられています。
このため、例えば2009/10シーズンに優勝したチェルシーの国内放映権収入が65Mに対し、リーグ最下位のポーツマスは39Mと、意外と順位による差は大きくないことがわかります。(ちなみにこれにCLだとかELがつくので、上位のチームの収入はもっと増えるのですが)

クラブが単独で放映権の交渉をするリーグと比べると、イングランドやドイツは国内リーグからの放映権収入はどうしても低くなるようですが、ただイタリアと同じように、スペインでもリーグで放映権を一括して配分する方法へのディスカッションがすでに始まっているとのことです。

今年のレポートはだいたいこんな感じです。
シャルケの場合、問題は収入ではなく支出なので、このレポートからはクラブの財政状況というのは読めません。シャルケの会計月は1月-12月ですから、おそらく5月くらいには営業利益まで含めた数字がわかるはずなので、またその時にでもチェックしてみたいと思います。

あと、興味のある方は、下記のブログにシャルケの財政問題について詳しいレポート(英語)がでています。

かなり長いうえに最初の方はあまりいいことは書いてないので、途中でくじけそうになりますが、後半になると収益構造の素晴らしさについてもちゃんと触れています。(これを書いた人に、最初だけ読むとミスリーディングなのでは?とちょっと聞いたら、サッカーの前半、後半という構成なんだよ、と答えてくれました。なるほどー)