ネストル・エル・マエストロ

ラキティッチのインタビューにも名前のでていたNestor El Maestro(ネストル・エル・マエストロ)
実はYouTubeの映像にもこのタイトルのものがあって、前からどういう意味だろうと気になっていたのだけど、まさか名前(登録名)だとは思いませんでした。
マエストロはそのまま『マスター(先生)』って感じかな。

ちなみに本名はNestor Jevtic(ネストル・イェヴティッチ)。イギリス国籍のセルビア人です。
彼の弟は天才少年とよばれ、シャルケに13歳で青田買いされてきたあのNikon Jevtic(ニコン・イェヴティッチ)くん。(ニコンくんの映像はこちらに

バレンシア時代

うーん、まさかこんなつながりがあったとは知りませんでした。

ネストルの話にもどりますが、彼は23歳のときコーチとしてバレンシアからシャルケにやってきました。3月で25歳ですが、この年齢ですでにトップチームのアシスタントコーチをしています。
中継でベンチ映像が映るときに、スロムカのとなりにずいぶん若い人がいるなあと、いつも思っていたのですが、それがネストルです。

コーチたち

公式にネストルがやってきた当時のインタビューがありますので、彼の仕事をちょっとまとめてみます。

 

シャルケではふたつのタイプのトレーニングを担当している。
ひとつはチーム全体のウォームアップ。もうひとつはドリブルやパスといった基礎的な部分のトレーニング。
だいたい2、3人でグループを作ってやらせる。この方が効果的だし、好きだというのもある。ひとりひとりに集中しやすく、その間に他のプレーヤーが飽きてしまうという事もない。

あとは若手に追加でトレーニングをやらせることもある。主に技術的な部分だ。
シーズン中は若手だけじゃなく、ベテランもトレーニングする。これらは弱点を克服するのに効果的だ。

15歳のときに、プロの選手としては高いレベルにはいけないだろうと悟った。でもサッカーが大好きだったから、コーチになろうと決めたんだ。それから8年が経つ。イングランドではAライセンスを取得した。

コーチになるために、たくさん見て、分析をしてきた。リッビやモウリーニョとかね。
サッカーはシンプルなゲームだ。でも多くのディテールがある。例えばシュートするときの足の位置、そういうことを学んで来た。
またトップクラスのアスリートの分析もしたよ。なぜ彼らが他の選手たちよりすぐれているのかを知りたい。そして、比較して、どの部分を追加すれば、個人がより向上するか考える。そういう発見が、ぼくをこの仕事につかせている。

イングランドでは、多くのチームで専任コーチが、若手にトレーニングをすることが拡がっている。たとえば、ブレンビーの監督になったRené Meulensteenは、マンチェスター・ユナイテッドで技術部分のコーチをやっていた。(Meulensteenは一度、ユナイテッド退団してブレンビーの監督になったようですが、うまく行かず、2007年から再びユナイテッドのテクニカルスキルを担当するコーチに戻ったようです。参照: 『Wikipedia』
チェルシーやスパーズにもそういうコーチがいる。

監督になることはぼくの大きな目標だ。でもぼくの今後10年の計画では、ちょっと違う。スロムカからたくさんのことを学べてほんとに幸せだ。自分が日々、コーチとして成長しているのを感じる。(トップチームにいるってことは)例えば、U17を見ているより、ずっと多くの利点がある。

自分より年上の選手とも何の問題もない。
彼らはスロムカやオリバーに対するのと同じように、ぼくにも従ってくれる。たとえばボルドンのように、トップレベルでずっとやって来ている選手の態度は、ほんとにプロフェッショナルで模範的だよ。

オーストリア・ウィーン、バレンシアCFに所属していたけど、シャルケほど、若くてもチャンスを与えてくれるクラブではなかった。他に2つのクラブからオファーがあったけど、ぼくはここを選んだ。
シャルケはバレンシアより大きなクラブだ。トレーニング施設もワールドクラスだ。クラブとぼくの条件が一致する限りは、ここにいて、自分をコーチとしてより成長させていくつもりだ。

ドイツ語はウィーンに1年半住んでいた事があるので、それほど難しくない。外国語を習得するのにはあまり困難を感じないんだ。9歳のときにセルビアからイングランドへ行き、プライベートスクールに9年いた。英国籍ももっている。

若い選手と確立された選手の間の差は、どんどん狭まっていると感じる。ただ、まだトレーニングで正しく判断していかないとね。

例えば、ベッカムのキック力はユナイテッドで学んだものではなく、若い頃に彼のお父さんが教えたものだという話も聞くけど、それでも選手たちはまだまだ学ぶ事があるんだ。アンリがアーセナルにきたとき、彼のシュートはあまり正確ではなかった。でもトレーニングで彼のフリーキックは素晴らしいものになった。
意志さえあれば、人はいつまでも成長できると思う。

 

私の知り合いにもスペインでコーチ業を勉強している人がいますが、彼も15歳で将来、コーチになろうと決めたと言っています。
みんな、なんというか大人ですねえ……。

上でリンクしているネストルのYouTube映像ですが、選手にドリブルやトラップの練習をさせているのがとても興味深いです。
トップクラスの選手たちに技術面の指導をするコーチ。
Jリーグにもこういう専任コーチっているんでしょうかね。面白いですね。

ネストル・エル・マエストロ」への2件のフィードバック

  1. おおー面白い記事の紹介ありがとうございます!
    彼やけに若いんでホント気になってたんですよ。
    サッカー選手の道だけでなく、コーチだったり主審(笑)だったり、
    アプローチは違ってもサッカーにかかわってく人がいるんですよね。
    実に興味深い話でした。ためになるなあ・・・。
    年若いコーチの話をきちんと聞く選手の側も大人ですねw
    これがプロの関係なんでしょうね~。

  2. >のもんさん、
    彼のことは映像で映るたびにいつも気になっていたんですよー。
    ほら、となりにいるのがスロムカとミュラーとオリバーっていう、普通にしていても際立つ環境にいるし(笑)、しかもかなりかっこいい。
    若いので通訳?かなあと思っていたら、なんとコーチだったとは!
    才能あるんでしょうねえ、この年齢でトップチームのコーチをするなんてすごい。
    シャルケの、なーんかオープンマインドな組織はけっこう好きです。クラブ自体が新しもの好きなのかもしれないけど、いろいろ科学的で合理的な部分をすぐ取り入れようとしている感じがします。スタッフは働きやすそう。
    ネストル、この先が楽しみですね。

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