Football Money League 2009

デロイト社の『Football Money League 2009』が出ました。
(過年度についてはこちらをご参照ください。『Football Money League 2008 – Schalke04』『Football Money League その2』

サブタイトルは『Lost in translation』

ソフィア・コッポラの映画タイトルと同じなので、通訳の過程で失われた何かを連想するかもしれませんが、ここではポンドとユーロのExchange Rateによる損失のことを指しています。

デロイトの担当者が5分程度の概要を音声で語っていますが、それによると、ウエストハムやアストン・ヴィラ、エバートンなどは単純な収益ベースならもう少し順位が上がるところ、ユーロに換算すると、ベスト20から落ちるという残念な結果になってしまったようです。

下記、デロイトのサイトにメールアドレスと名前を登録すると、レポートがダウンロードできます。

対象シーズンは2007/2008。
クラブのサイズは例の如く、Revenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約はCommercialに含まれています。

シャルケは先シーズンはリーグ3位。CLでもベスト8になったので、今回のMoney Leagueで順位が上がるのは予想できたのですが、13位と、昨年の16位から3つ順位があがり、過去最高位となりました。
金額で言うと、前回の113.3Mユーロから148.4Mユーロへと、約34.1M(日本円で41億円くらい@120円)増えています。昨年比で30%増。

おそらく、次回のFootball Money League 2010では大幅に順位が下がることが予想できるだけに、ちょっとおもはゆい結果ではあります。

ちなみにドイツのクラブで一番高順位なのはバイエルン・ミュンヘンの4位(昨年は7位)。CLではなく、UEFAカップでしたが、それほどRevenueに影響がなかったということでしょうか。ただ、バイエルンの収益構造は60%がCommercialで、前回の107.2Mユーロから今回は176.5Mユーロという、驚異的な伸びを示しています。
これはアリアンツアレーナの持ち株会社を100%取得したことで、41.6Mユーロの収入が得られたことによるようです。

シャルケの場合は下記のような数字になっています。パーセンテージが全体の割合、かっこ内は去年の数字と増加額です。

* Matchday 22% : 32.3M (27.3M + 5M)
* Broadcasting 38% : 56.0M (33.9M + 22.1M)
* Commercial 40% : 60.1M (53.1M + 7M)

Broadcastingが伸びたのはCLで勝ち進んだため、放映の分配金が増えたことに起因しています。またMatchdayは現在のところ、ほぼ観客動員数がマックスであり、チケット代自体も押さえられているところから、試合数の増加(トーナメントで勝ち進むなど)がない限り、現状ではこれ以上の上昇はのぞめないと分析されています。

今年の特集では、このご時世ですので、世の経済状況がサッカー界におよぼすであろう影響について論じられています。

ものすごく簡単にまとめると、Matchdayに関しては、夏(欧州のシーズンオフ)の経済状況を見つつ、チケット代を再検討しなければならないクラブも出てくるかもしれないと述べられています。特に対象となるのは会社のホスピタリティ・シートです。最近のスタジアムでは10-15%がそういう企業に対するシートが設置されていて、Money Leagueにでてくるいくつかのクラブでは、入場料の40%がホスピタリティシート収入だったりするそうです。

Broadcastingに関しては、現在の契約から見て、経済情勢が脅威になるとは考えにくいと分析されています。

一番読めないのがCommercialで、レポートにはベスト20クラブのスポンサー契約期間が一覧で表示されていますが、09/10で契約の切れるチーム(11チーム)に関しては、契約更新に向けて真剣に考えなければいけないだろうという内容のことが書かれています。

さらに、借入(Debt)自体はクラブ経営にとって必ずしも悪いことではないけれど、こういう経済状況になってくると、クラブ経営に与えるインパクトの可能性が論じられています。
例えば、ケースによっては、資金調達、融資の延長や借り換えが困難になったり、資産価値の時価減少などから、資産の流動性が下がり、クラブの会計に『Going Concern Uncertainty』(企業経営の継続性に疑念)が生じる可能性もあるとまで言っています。

ただそれでも、サポのクラブに対する忠誠心、BroadcastとCommercialパートナーとの強い結び付きなどから、サッカー界自体がこの経済状況に沈むことは考えにくいという結論のようです。
もちろん、すべてのクラブがそうというわけでなく、入場料が落ちたり、コーポレートシートが減少したり、収入減に応じてコスト管理を臨機応変にできなかったりすると、Money Leagueの順位は下がっていくだろうと言っています。
ま、このへんは当たり前のことを言っているだけですが。

ざざっと目を通しただけですが、今年のレポートはだいたいそんな感じです。

ちなみにここに書いてあることは、私個人が理解したことをまとめて書いているだけなので、あまり信用せず、参考程度にとどめておいてください。
そして、ご自分が何かを書かれる時は必ず原文をご参照ください。どうかよろしくお願いします。

サッカークラブ関連の数字は、次はForbesの『The Most Valuable Soccer Teams』特集になります。だいたい3月から4月ごろに発表される予定です。