ダウムとホモとフットボール

そろそろユーロ一色となってきたこの時期に、全く違う話題ですみません。

代表戦などニュースが多くて書きそびれていたのですが、先週、DSFで『大いなるタブー – ホモセクシュアルとフットボール』(Das große Tabu – Homosexualität & Fußball)というドキュメンタリー番組が放送されました。
放送前からFCケルンの監督・ダウムの発言が問題視され、ニュースサイトなどで取り上げられていたので、興味深かったのですが、番組自体は非常によくできた良質のドキュメンタリーでした。

ドイツでは基本的に、どのような人に対しても偏見を持たずに受け入れようという考え方が根底にあるようで、このあたりの問題については、ブンデスリーガは遅れているという捉えられ方をされているみたいです。
確かにカミングアウトする選手は、知っている限りではお目にかかったことがないような気がします。(女子の場合は多いです。ザンクト・パウリみたいなクラブは珍しい)

番組では最初の方でバイエルンのラームが登場して、インタビューに答えていました。
なぜラーム?と多少の違和感があったのですが、彼は去年の12月に、ゲイ雑誌『Front』のインタビューに登場しているんですね。

ラーム自身はその雑誌の中で、『リベラルでオープン、偏見のない社会が好きだ』と答えています。また番組でも『DFBがこの問題についてサポートするのはいいことだ』と言っています。

また、DFBの会長もインタビューに答え、こういうテーマについて教育していかなければいけないと延べています。

で、ダウムがなぜ批判されているかというと、こちらの発言がその理由。

ダウムは子供たちを(そういう誘いから)保護しなければいけないという趣旨のことを番組で言ったのです。さらにDFBの会長もこういう問題を考えなければいけないと批判。その後、ケルンの公式で、『自分は基本的にリベラルで、子供を保護するというのは、ホモセクシュアルではなく、外部のいろいろな誘いから守るという意味』と弁明したり、ダウムの奥さんが私たちにはゲイの友達もたくさんいるし、ダウムは偏見のない人とフォローしたのですが、時すでに遅し。
番組内でも批判されたり、ザンクト・パウリの会長からたたかれたり、FCのゲイサポからはパーティのご招待が来たりと、ある意味大人気。

番組の中では、サッカー選手でカミングアウトした人々がインタビューに答えて登場します。
もうちょっとドイツ語が理解できるようになってから見たかったな。断片的にしかわからない……。
それにしても、波紋を呼びそうなこの種のテーマをよく取り上げてドキュメンタリーにしたなあと、そのことに驚きました。日本だと現時点ではありえない。

5年くらい前になるのですが、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで『Take Me Out』というお芝居を見たことがあります。
これはメジャーリーグを舞台に、ゲイであることをカミングアウトしたプロ野球選手(それもスター選手)の1シーズンを描くドラマで、悲哀に満ちていてとても面白かったです。すぐれた戯曲に贈られるトニー賞も受賞しています。
で、非常にリアルだなと思ったのは、カミングアウトした選手をとりまくチームメートの反応なんですね。
さりげなく接しつつも、シャワールームなどで抱きつかれないかとか恐れて、できるだけそばには近寄らないという態度が、いかにもありそうな描き方でした。
チームメートがカミングアウトしたら……そのときには多少は建前と本音の部分はあるような気がします。

前の会社では同僚が何人かそうだったので、最初は接し方に悩むこともありましたが、いつの間に慣れました。
私はサッカー選手がどっちでも気にしないけど、でもすごくいいなと思う選手がゲイだったら、がっかりするかもね。(……ってこれがもうすでに偏見ですね)