日独交流150周年記念落語会

今年は日本とドイツの交流が始まって150年ということで様々なイベントが催されています。
金曜の夜は東京ドイツ文化会館で開催された『日独交流150周年記念落語会』に行ってきました。



初めに小太郎さんの『やかん』。
続いて歌奴さんの『都々逸(どどいつ)親子』。これはドイツにちなんだ噺をと喬太郎師匠じきじきに御指名があった噺だそうです。ドイツと都々逸って字がかぶってるだけじゃん(汗)。

中入り前には喬太郎師匠の新作落語。
ドイツに関した新作ということですが、たった今作ったでしょ?(笑)って感じの噺にしてはよく出来ておりました。
ちなみに恩田えりさんのつまびく出囃子はなんとドイツ国歌!
最初、あまりに予想外の選曲のためわからなくて、『Vaterland』のくだりでハッと気がついて、三味線で弾けるなんて!と感動しました。恩田さん、素晴らしいわー。

中入り後は二楽さんの紙切り。『ローレライ』というお題目をお客さんが投げて、崖の上で歌う女性を船から男性が見あげるというたいへん美しい紙切りを披露されていました。

そして最後に再び喬太郎師匠。
演目は『死神』。
もともとはグリム童話をもとに三遊亭圓朝が作った落語だと言われ、私は学生時代に三遊亭圓生の噺をテープで聞いたことがありますが、高座で『死神』を見るのは初めて。

貧乏なお父さんが森に迷い込み死神に会って名付け親を頼むという、高座にかけられることのない前段部分から噺が演じられます。ドイツを連想させる深い森の中で初めに神、次に悪魔、さらに死神に会うのですが、喬太郎師匠の演じる悪魔がまた秀逸で、日本の落語なのに西欧の文化を感じさせる不思議なイメージがありました。
死神に名付け親になってもらった息子が、最後に死神との約束を破り連れてこられた暗闇。人の寿命を表すたくさんのろうそくが燃える空間でまさに自分のろうそくが消えようとしているのを見た時の恐怖。暗くなったホールの中で喬太郎師匠の演じる『死神』は圧巻でした。

まさか『日独交流150周年』の会でこんな素晴らしい落語に出会うとは思いませんでした。
Vielen Dank, 喬太郎師匠!ドイツと落語がますます好きになりました。