イギリス駐留軍がドイツに残したもの

数日前、BBC News Magazineという、国際的なニュースを身近な視点から見てみましょうという切り口のサイトに、ちょっとだけシャルケの選手の事が出ていました。

 

 
このたび、ドイツに駐在しているイギリス軍は2020年までにすべて本国に戻るという発表がイギリス国防省からなされました。
BBCの記事は第二次世界大戦後にドイツに残った兵士の子孫や、彼らが社会に与えた影響についてふたりの『イギリス系ドイツ人』を例に書かれています。

まずはデヴィッド・マカリスター。
彼はドイツのCDU(ドイツキリスト教民主同盟・現在の与党)の政治家であり、今はニーダーザクセン州の首相を務めています。
現職の州首相の中では最年少(40歳)です。

父親はスコットランド人兵士で、第二次世界大戦後は冷戦下のベルリンでイギリス占領地域の公務員として働いていました。
1960年に父親はドイツ人女性との間に娘をもうけました。しかし彼らは1964年まで英国当局によって結婚することが許されませんでした。
デヴィッドが生まれたのは1971年のことです。彼は西ベルリンで幼少時代を過ごし、イギリスの学校へ行き、イギリスの新聞を読み、『イギリス人だと感じ』て育ちました。
しかし雑誌を読んだりイギリス人のクラスメートと遊ぶうちに、『なぜドイツがいつも悪者なのか』について疑問を持つようになります。
マカリスター家はその後、西ドイツへ移り、デヴィッドはドイツの学校へ通うようになります。そこで彼は二重国籍を保有したまま、ドイツの軍隊で兵役につくという決意をします。
その後はハノーファーの大学で学んだあと政治家への道を進みます。

彼のドイツらしくない名前を耳にすると、どの国に対して忠誠心があるのか?と疑問視する人もいるようで、極右の老人から嫌がらせのメールを受けたりもしたようです。
ただ、ドイツはどんどん多様性を増しているとデヴィッドは言います。
『FDP(自由民主党)のフィリップ・レスラー副首相はベトナム系であり、緑の党の党首ジェム・オズデミルはトルコ系ドイツ人です』
(記事にはないのですが、フィリップ・レスラーはロベルト・エンケ基金の理事長も務めています)

マカリスターのようにイギリス系ドイツ人として社会に影響を与えている人は他にいるのでしょうか?

・・・で、ここでホルトビー登場。じゃじゃじゃじゃーん!

よく知られているように、ホルトビーのお父さんはイングランド人でRAF(イギリス空軍)の軍人でした。お母さんはドイツ人。
BBCの野郎が未練たっぷりにこんなことを書いております。

『彼はイングランドのためにプレーすることもできたが、彼を育てたドイツを選んだ。U21ドイツ代表のキャプテンとしてドイツ国歌を聞くときの誇りについても話している』

うんうん、そうか、そうか。(ホルトビーはやらないよっ)

第二次世界大戦時のイギリスとドイツの関係。
さらにマカリスターの父親の世代のように、ドイツとイギリスで結婚することが困難であった時代。
その次がホルトビーのように、スポーツの世界で競い合う時代。

この先10年でイギリス軍が撤退しますが、ドイツの社会に残したイギリス系ドイツ人は20世紀の敵対的な思い出とは別に、二つの国の将来に関してたくさんの良いアイデアを与えるかもしれません。

・・・記事はこんな感じで締めくくられていました。
ま、それなりに面白い記事でした。マカリスターのこととかも知らなかったし、勉強になったわ。

でもBBCに言いたいんだけど・・・ホルトビーの写真はもっといいヤツを使ってあげてよねっ(汗)