Archive for the '1.Bundesliga' Category

06 12 2017

シャルケはどこへ向かっているか



金曜日、来シーズンも継続すると見られていたヴァインツィールがシャルケを解任され、ドイツ2部エルツゲビルゲ・アウエの監督であるドメニコ・テデスコが後任になることが発表されました。メディアの解任報道があって1日足らずの出来事でした。ハイデルはマインツでも、アンデルセン解任からトゥヘル内部昇格へ動いた時のように、決断してからの動きは驚くほど早いです。

継続から解任への変更には、コノプリャンカのヴァインツィール批判の影響があったのではないかと思われます。代表に合流したコノプリャンカは、ヴァインツィールのコミュニケーション方法を批判し、彼は臆病者だと発言。またヴァインツィールよりも自分の方がチームに長く残るだろうともコメントし、図らずもそれは現実となってしまいました。同じ頃、マイヤーがシャルケの契約延長を拒否したという報道も流れました。ヴァインツィールの求心力がすでに失われていると、ハイデルが判断したとしても不思議ではありません。

アウエの会長が公式サイトでテデスコ移籍の状況を説明していますが、先週半ばには代理人より、ブンデスリーガのクラブが興味を示していると聞かされていたようです。直後の金曜日午後には、シャルケから正式なオファーが届きました。テデスコのような優秀な人材なら、監督候補として事前にリストアップはされていたはずですが、実際に解任・正式オファーに動いたのは、まさにこの数日の出来事だったことが見てとれます。

私はシャルケの他に、アウエとパダボーンを追いかけているため、テデスコについてはアウエの監督就任時点から興味をもって試合を見てきました。また公式サイトのインタビューや試合前後の記者会見などを通して、その人となりを知る機会もありました。これまで自分が得た情報を元に考えると、テデスコを監督に任命したシャルケの「方向性」は間違ってはいないと思います。

テデスコの率いたアウエでの戦績を簡単に振り返ってみます。アウエは、22節のディナモ・ドレスデンとのダービーに、ホームで1-4と大敗し、ドチェフ監督が辞任。続く23節はアシスタントコーチが指揮を執り、24節よりテデスコが監督に就任しています。その時点でアウエは最下位。脱降格圏の15位とは勝ち点にして5もの差がありました。得失点差は-19。失点は40とリーグワーストでした。

ドチェフ前監督は4バック2ボランチ、トップにケプケを置く4-2-3-1で、戦術的に目新しいところはなく、端的にいってこれ以上の成長は望めませんでした。テデスコは初戦から3バックに変え、3-4-3/5-4-1をベースにチームを立て直しにかかります。21歳のサムソンをボランチからセンターバックにコンバート。また控えだった24歳のカリクも起用され、ディフェンスラインの右でレギュラーの座を勝ち取りました。若手ばかりではなく、35歳のティファートは中盤の要として、ビルドアップにも貢献するようになります。ヴュルツブルク戦での3点目のように、最終ラインのブライトクロイツからティファートを経由し、ケプケが決めた得点は、見事にはまったコンビネーションでした。

1試合平均1.8失点だった守備は、テデスコ就任以降は11試合で10失点(1試合平均1.1)とやや向上。クリーンシートも5試合あります。何よりも短期間で戦術的な決め事をチームに浸透させた早さは注目に値します。上位との対戦ではウニオン・ベルリンに敵地で1-0と勝利し、ハノーファーとの試合は1-2から最後に追いつきました。シュトゥットガルト戦は、攻め上がる局面はあったものの、テロッデの得点能力の前に3-0と完敗。両チームの選手の質を比較すると、止むを得ない結果だとも言えます。最終的に11試合で6勝3敗2分と勝ち点20を積み上げ、14位でシーズンを終えることができたのです。

イタリア・ロッサーノ生まれ、31歳の彼は、2歳の時に家族と共にドイツのバーデン=ヴュルデンベルク州に移り住んでいます。サッカー指導者としてのキャリアをシュトゥットガルトの下部組織で始め、2015年にホッフェンハイムのユースチームに移りました。「フットボリスタ」2015年12月号で、ホッフェンハイムのイノベーションチーム責任者が、「自分たちで”指導者のタレント”を見つけて哲学・やり方を植え付けていくというコンセプトを作り上げた」と語っていますが、当時U19を率いていたナーゲルスマンと同様に、テデスコにもホッフェンハイム流の指導方法は身に付いています。

プロチームを率いてたった11試合で、シャルケの次期監督の座を得たテデスコ。根底には、モダンな戦術をベースにしたチームへ変貌しなければ、リーグの趨勢から取り残されてしまうという、シャルケの危機感が見えます。シャルケで遅れているのは戦術だけではありません。例えばドルトムントやホッフェンハイムで導入されているフットボーナウト。あるいは脳の実行機能の開発に使用されているアプリケーション。練習の負荷を記録し適切な修正を行うプログラム。シャルケからはこういうテクノロジーに関する話は、これまでほとんど聞こえてきませんでした。おそらくこの領域ではかなり立ち遅れているのが、現在の順位にも影響しているのではないでしょうか。しかし、テデスコ就任が決まった直後のテニエス会長インタビューには、興味深い要素も含まれています。建設中のトレーニングセンターは、プロ選手用に計画の変更が加えられ、この1年でスカウティングシステムが革新的に向上したことにも言及しています。テデスコの任命には戦術と同時に、テクノロジーを駆使した指導ノウハウも取り込みたいという思惑もあるように感じます。

さて、彼がシャルケで結果を残せるかどうかですが、これについてはもう少しチーム編成が進まないと判断がつきません。ただアウエの試合を見る限り、ポジションのコンバートも含め、選手起用はユニークで、より多くの選手にチャンスを与える監督のようです。テデスコ自身もアウエ就任時のインタビューで、「それぞれの強みを生かし、選手がどのようなサッカーをしたいか、あるいはできるかに着目し、ふさわしいポジショニングをしていく」と答えています。リーグ終盤では、FWのケプケではなく、MFのクヴェシッチを真ん中に置いたゼロトップに近い布陣などを取っていました。シャルケでの選手起用がどうなるか楽しみでもあります。

彼が来た時のアウエの状態はまさにどん底で、監督が若かろうがプロチームの経験がなかろうが、100%彼の言うことを受け入れて実行するしか道はありませんでした。そういう意味では選手の吸収は早かったはずです。シャルケの様に毎年方針が変わるチームでは、新しい監督に対する心理的なハードルは高いでしょう。いかに早く選手たちを取り込み、前を向かせるか、これまで以上に監督の手腕が問われます。


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09 03 2016

2015/16 シャルケ・シーズンレビュー

いつもの通り、別サイトで昨シーズンのシャルケのレビューを書きましたので、こちらにも転載いたします。
毎回お忙しい中、時間を割いてまとめてくださる暁さんには本当に感謝です。



内外の逆風に苦しめられたブライテンライター


ブライテンライターとシャルケは不思議な縁がある。2000-2001シーズン最終節、先に試合を終え、優勝をほぼ手中にしたシャルケは、4分後にバイエルンの逆転優勝でどん底へ落とされた。その試合、ブライテンライターは対戦相手のウンターハヒンクでゴールを決めている。敗戦し、降格したにもかかわらず、シャルケサポーターの悲劇の前には、それすらも小さなことのように感じたと語っている。

一昨シーズンのシャルケ・ホーム最終戦。当時の監督だったディ・マッテオは、試合後、観客から凄まじいブーイングを突きつけられた。奇しくもその試合で、対戦チームの監督をしていたブライテンライターには、大きな拍手が送られた。その時、自分はここで監督をするべきだと、ブライテンライターが確信したのも理解できないことではない。
シーズン終了後に解任されたディ・マッテオの後任として、ブライテンライターは候補の3番手ながら、監督の座を手にした。就任にあたりマネージャーのヘルトは、順位のノルマは課さないと明言した。しかし、テーニース会長はこの選択を100%支持していなかったと、一部の報道関係者がリークしている。

シーズン開幕から前半折り返しまでは、予想以上に素晴らしい結果となった。第7節終了時点で、勝ち点16、首位から5ポイント差の3位というのは、この20年(勝ち点3方式になった1995-96シーズン以降)で最高のスタートだった。

にもかかわらず、ブライテンライターを取り巻く環境は厳しかった。シャルケに彼を連れてきたヘルトは、シーズン限りでクラブを去ることが決まり、後任としてマインツのハイデルの名前が取りざたされた。

後半戦が始まった1月には、独「スカイ」が、匿名のクラブ関係者の取材を元に、監督の資質について疑問を投げかける番組を放送している。放送は戦術や練習内容への疑問に加え、監督への人格批判も含んでいた。フェアマンを筆頭に、選手は監督を支持し、報道そのものはすぐに霧消したが、この時の内容が最後まで足を引っ張ったことは否めない。

独「ビルト」とスカイはその後もネガティブキャンペーンを繰り返し、第30節バイエルン戦の試合直前には、スカイのレポーターが、その時点では憶測に過ぎなかった後任監督決定について、ブライテンライターにカメラの前でコメントを迫っている。

数字だけを見ると前半は8勝6敗3分。後半は7勝6敗4分。前後半どちらも負けた相手はバイエルンのみである。ヨーロッパリーグも無敗で決勝トーナメントに進出した。ベストとは言わないまでも、悪い結果ではない。にもかかわらず、クラブとメディアからはここ数年で最も酷い扱いを受けた。

守備では、多くの解決できない問題が山積していたのは事実だ。ナスタシッチの怪我による早期離脱、ヘーベデス不在の間は、マティプとノイシュテッターがセンターバックに起用された。ガイスが二人の間に下りてくる形で、当初はビルドアップの起点になることも期待されたが、外へのロングボールが多く、想定したほどには機能しなかった。

マティプの安定感はともかく、コンビを組むノイシュテッターは、シーズンが深まるにつれ、裏と表の両方に一人で対応しなければならない局面を、何度も利用されるようになった。連動して守りたいサイドバックのカイサラは、守備に問題があるだけでなく、不用意なパスで決定的な場面を作られていた。
中盤や前からのプレスは、試合の前半には見られたが、途中から消滅することが多かった。シーズンを通して、ナスタシッチ、ヘーベデス、内田の三人が起用できなかったことが、チームに与えた影響は大きい。

トップレベルのクラブで監督を務めるには、ブライテンライターに経験不足の部分があったことは、確かに否めない。パーダーボルンでは、1試合を通じて、選手がゲームプランを忠実に遂行したが、シャルケではうまくいく時とそうでない時の差が大きかった。
象徴的なのは第31節、レーバークーゼンとの試合だ。前半はビルドアップとプレスが機能したが、後半に入ると、レーバークーゼンの修正に対応できず、失点を重ねた。シャルケは1試合の中で、また、シーズンを通じて波のある試合を繰り返したが、これが指導力の欠如なのか、メンタルも含めた選手の資質と傾向なのか、このチームを長年見ていても判断のつきかねるところがある。

攻撃においては、縦に素早くボールを動かした時は見事なゴールにつながったが、相手に守備を固められると、崩しのパターンは正確さを欠いた。それでも、環境のサポートがあれば、最終順位がチャンピオンズリーグに届いてもおかしくはなかった。マックス・マイヤーやゴレツカ、サネのような若手の能力を引き出した功績も大きい。ドルトムント戦やバイエルン戦のように、フォーメーションを替えて、選手に役割を徹底させ、チーム戦術の土台も導入した。後を継ぐワインツィアルにとっては有益な下地となるだろう。

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02 23 2016

ドイツサッカー好きによる前半戦レビュー



シーズン前に今季のプレビューを書いたサイトで、シャルケ前半戦の総括編を書きましたので、こちらにも転載いたします。
少しタイミングが遅くなりましたが、後半戦が始まる前に出したので、内容も現時点では多少のズレがあるかもしれません。
こういう機会をいただくと、シーズンを客観的に振り返ることができ、個人的にもすごく良いなと思います。毎回、お忙しい中、時間を割いてまとめていただいている暁さんに感謝です。

 
応援するクラブの前半戦の総括と後半戦の展望について

シャルケの前半を終えた時点で6位というのは、思った以上に良かったと評価している。チームを作る過程を考えると、もう少し下位で折り返すことを想定していたからだ。17試合で8勝6敗3分は昨シーズンの成績と全く一緒だが、内容とチームへの期待は昨年よりはるかに上向きで、ウインターブレイクを迎えた。

シーズンが始まり、3節のヴォルフスブルク戦で不甲斐ない敗戦をした後、ドラクスラーが移籍した。ブライテンライター監督は彼を失ったことによる質の低下は否めないとコメント。にもかかわらず、チームは次のマインツ戦からヨーロッパリーグも含め6連勝し、そのうちの5試合はクリーンシートという好調さを見せた。

ドラクスラーの移籍でチャンスをものにしたのがマックス・マイヤーだ。ポジションをそのまま引きつぎ、4節以降13試合全てに最初から出場している。また怪我に泣かされ続けてきたゴレツカも、4節以降ほぼ全試合でプレー。積極的な姿勢にはチームをリードする選手と監督の評価も高い。
昨シーズン後半はゴールのなかったチュポ=モティングも、ようやく得点のリズムを取り戻しつつある。特筆すべきはリロイ・ザネの急成長だろう。5節からの3試合連続ゴールでチームを勝利に導き、スターティングメンバーに定着した。若手選手がそれぞれに巡ってきたチャンスを生かし、6位という結果を後押しした。

シャルケの前半戦を4つの流れでまとめてみる。

1)プレシーズンからドイツカップ一回戦、リーグ1節から3節

開幕が近づくにつれ、チームにはプレッシングを含めた組織的な動きが機能し始めたように見えた。シーズン前にシャルケ公式サイトでヘーガーは、『もう何年もこの形ではプレーしたことがない』と、プレスやカウンタープレスに不慣れな状態を明らかにしている。そこから短期間で形にしていくのは、例えばクロップ時代からプレッシングの下地のあるドルトムントが、トゥヘルのような監督を迎えるのとは全く違う難しさがある。

ドイツカップ一回戦でのデュイスブルク戦、またブレーメンとの開幕戦では、後ろに引かない高い位置でのサッカーが機能し、新しいシャルケを期待させた。ところが3節のヴォルフスブルク戦は、これまでが嘘のような内容となった。消極的なプレーは、中心選手の移籍騒動がチームに影響を与えていた可能性もあるかもしれない。

2)代表ウィーク明け4節から9節

4節以降、チームは再び活性化した。基本はガイスとゴレツカを並べた4-4-2、あるいはガイスをアンカーに据えた4-1-3-2を併用。ディフェンスラインはセンターにノイシュテッターとマティプ、左はアオゴがポジションを確保し、右サイドバックはリーターとカイサラがほぼ交互にプレーした。2トップはフンテラールとディ・サントが多いが、チュポと2人のどちらかの組み合わせも試している。しかしこの期間、フォワードの得点は極めて少ない。
これまでになく平穏で、チームとしてうまく行っていた日々も、8節のケルン戦で3-0と完敗。その後の次期マネージャー問題で再びクラブ内外が騒がしくなっていく。

3)ドイツカップ、リーグのグラートバッハ二連戦から14節

グラートバッハ戦のファールでガイスが5試合出場停止。チーム構想を彼中心に考えていた監督としては頭の痛い問題だっただろう。ドルトムント、バイエルン、レヴァークーゼンとはガイスを欠いた状態で対戦した。
ドルトムント戦はフンテラールとザネのツートップでのぞんだ。結果は3-2で負けたが、シーズン当初から目指してきた攻守の素早い切り替えが、チームに浸透しつつあるのは十分に感じることができた。

4)15節ハノーファー戦、ELグループ突破から17節

勝ちきれないプレッシャーに苦しんだチームは、ヨーロッパリーグのグループステージ突破から再び浮上し始める。例年のように怪我人でメンバーを欠く中、幅広く選手にチャンスを与えながら、グループ首位で突破したことは評価されるべきだろう。17節ホッフェンハイム戦で勝利し、良い状態のまま前半戦を折り返した。

ウィンターブレイク中の課題として、ブライテンライター監督はインタビューで、クロスの質向上と、再びプレスをしっかりかけることをあげている。
チームとしての戦術的な縛りが徐々に緩んでくるのは、シャルケの長年の課題でもあるが、監督は「うまくいったという成功体験が少ない」ところに原因があると考えているようだ。
シーズン前から目標としている切り替えの早さは、数字上は傾向として現れている。昨シーズンは34試合中、カウンターからの得点は2得点だったが、今期は17試合ですでに7得点。



チームとして熟成するにはまだ時間がかかると思うが、後半も成長の過程を見守ることを楽しみにしている。

 
応援するクラブで後半戦に注目してほしい選手

冬の移籍市場では、珍しく名前のあがった選手を希望通り獲得する事ができた。特にニュルンベルクのアレッサンドロ・シェプフは予想外だった。ドイツ二部で前半を3位で折り返したニュルンベルクが、この時期に彼を手放すとは思ってなかったからだ。
バイエルンユース時代も早くから才能ある選手として注目を浴びていた。そのU-19時代にシェプフは、マイヤーのいたシャルケU-19とリーグマイスター決勝で対戦している。またホイビュルクともチームメイトだったことがあり、シャルケに馴染むのにそれほど時間はかからないだろう。
ニュルンベルクでは今期は右サイドハーフでプレーしている。ウニオン・ベルリン戦で見せた、スピードに乗ったドリブルからの思い切りの良いシュートが印象的だった。チーム全体にダイナミックな動きを与える選手として注目してほしい。

もう一人の注目は、怪我からようやく全体練習に復帰した内田篤人。彼がいつ試合に出場できるようになるかはまだわからないが、復帰すればサイドからの攻撃がさらに充実する事は間違いないだろう。

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08 22 2015

2015/16シーズン・プレビュー

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昨シーズンのレビューと同様、ドイツサッカー好きが集まって今シーズンのプレビューも書いていますのでリンクいたします。

『13人の愛好家による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16シーズンプレビュー』

今期の私の順位予想は下記の通りです。ポカール一回戦くらいは見てから予想したかったのですが、提出がその前だったのでいくつかチームについては自信なしです(ま、毎年当たらないけどね)
シャルケはあまりに自分の中での期待度が高いので、最初は2位にしてみたものの、さすがに少し冷静になって一つ下げました(汗)
バイエルンの優勝は堅いと思うのですが、周りでそう予想している人も多いのであえて準優勝にしてみました。それ以外は、応援している各チームのファンの皆さんには不満の順位だと思うので、先に謝っておきます。ごめんー!

1 ヴォルフスブルク
2 バイエルン
3 シャルケ
4 ドルトムント
5 グラートバッハ
6 レヴァークーゼン
7 ホッフェンハイム
8 アウクスブルク
9 ケルン
10 マインツ
11 シュトゥットガルト
12 ブレーメン
13 フランクフルト
14 HSV 
15 インゴルシュタット
16 ヘルタ
17 ハノーファー
18 ダルムシュタット

また下編で今期のシャルケについても予想を書きましたので、こちらにも転載いたします。これも提出したのがポカール一回戦の前なので、情報によってはすでに古いものもあります。

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2015/16シーズンのシャルケ・シーズンプレビュー

長年の間、シャルケはどのようなサッカーをしたいのかという、明確な方向性を打ち出せずにいた。クラブとしては育成を中心に、自分たちで育てた選手をできるだけトップで登用したいという理想はあったが、それをどのように勝利に結びつけていくのかという部分では答えが見つからなかった。2002年から2015年の間に17回の監督交代をし、平均在任期間は8カ月という厳しい職場環境で、モダンな戦術を教えながら結果をだせる人材がいるのだろうか。

ブライテンライターは現時点でシャルケが選ぶことができたベストの答えだったと思っている。

もちろん過去の彼のサッカーを見たことがなければ、不安になるような大抜擢だが、少なくとも現在ドイツで主流となっているシームレスな切り替えによる素早い攻撃をベースに、組織的なサッカーを展開するはずだ。すでにトゥエンテとの試合ではその片鱗を見せている。



新規加入は現時点では5人。マインツから移籍してきた21歳のヨハネス・ガイスは、今後シャルケで主要な役割を担うことになるだろう。

ガイスについては他のチームも獲得に名乗りを上げており、当初は元マインツのトゥヘル監督が就任したドルトムントへの移籍が濃厚だと考えられていた。しかし最終的にガイスはシャルケを選んだ。その理由として、彼を中心に据えたブライテンライターのサッカー構想に惹かれたことをあげている。

パーダーボルン時代のブライテンライターは4-4-2、4-2-3-1、4-1-4-1を対戦相手に応じて使い分けたが、その中でも4-1-4-1はコンパクトでプレスが掛かりやすく、攻撃面でも鮮やかな試合が多かった。ガイスのようにパスを散らせる選手をアンカーに据えることができれば、監督が理想と考える形も生きてくる。また4-4-2の場合、ガイスとコンビを組むもう一人の選手が誰になるかも興味深い。現時点ではヘーガーあるいはゴレツカの可能性が高い。
さらにガイスがトゥエンテ戦で見せたようなFKはチームの武器になるだろう。

右サイドバックには、ブルガリアのルドゴレツからカイサラ、フライブルクからリーターの二人を獲得。内田の長期離脱の穴埋めは問題ないはずだ。
カイサラは内側に切り込むことも、外で一度はたいてパスを受けることも得意としており、さらにシュートを打つことを躊躇しない。
リーターはテストマッチを見る限り、ピッチの上で何が起きているかよく把握している印象だ。ベテランとしてチームを落ち着かせる役割も担えると思う。ただカイサラ、リーター共に守備では多少の不安を残す。

内田にとっては、怪我からの復帰が第一の目標となるだろう。本職のサイドバックがライバルという状況は、これまでに経験したことがないと思うが、タイプの違う二人のライバルのプレーは彼にとってもいい刺激になるはずだ。

前線にはブレーメンからディ・サントを獲得。ブライテンライターは当初から「ゴールキーパー、右サイドバック、フォワードを獲得したい」と明言しており、どのようなタイプが必要なのかは明確なイメージがあったように思う。昨シーズンのディ・サントはブレーメンで13ゴールをあげており、ブレイクしたと言ってよい。DFラインから抜け出すのもうまく、振りの鋭いミドルレンジのシュートも多い。他のフォワードへのラストパスも効果的で、フンテラールとの息が合うようになれば、得点を量産できるはずだ。

注目選手としては個人的にレオン・ゴレツカをあげたい。



怪我による長期離脱は本人にとっても辛い出来事だったようで、トレーニングキャンプ序盤は接触を避け、こわごわとプレーしている印象があった。しかし最近の練習試合を見る限り、貪欲にプレーしているのが感じられる。得意なポジションでなくとも、出場できるならどこでもやると前向きだ。

ボーフム時代はスケールの大きな選手になると期待していたが、怪我もあってシャルケではこれまでのところ思うような活躍はできていない。今シーズンこそはゴレツカが怪我なくプレーし、大きく飛躍することを願っている。
(以上、『13人の愛好家による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16シーズンプレビュー・下編』より)

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08 22 2015

BL2015/16 第1節:ブレーメン対シャルケ

いよいよ、待ちに待った新シーズンが始まりました。今期はブライテンライターさんがシャルケの監督になったことで、見る側も力が入ります。

サッカーの試合で個人的に一番好きなのは、相手がどのような布陣でくるのか、それに対しこちらは誰を当てるのか、思うような展開にならない時、打開するためにどうフォーメーションを替えていくのか、交替策はどうなのか、試合展開はどうなるのかなど、試合の内容についてあれこれと考える時間です。残念ながらディ・マッテオ時代は、そのような楽しみをほとんど見出すことができませんでした。

1. Bundesliga, 2015/16, 1. Spieltag
Werder Bremen – FC Schalke 04 0:3 (0:1)

Torschützen
0:1 Gebre Selassie (34., Eigentor, Linksschuss, Matip)
0:2 Choupo-Moting (68., Rechtsschuss, Matip)
0:3 Huntelaar (85., Rechtsschuss, L. Sané)

Werder Bremen
Wiedwald (2) – Gebre Selassie (4,5), Lukimya (2,5), Vestergaard (3), U. Garcia (4,5) – Bargfrede (3) – Fritz (3,5)(70. Grillitsch), Junuzovic (4) – Bartels (4)(84. Galvez) – Öztunali (5)(57. Johannsson (3)), Ujah (3,5)

FC Schalke 04
Fährmann (3) – Riether (3,5), Matip (2), Nastasic(17. Neustädter (3)), Aogo (3) – Goretzka (3)(82. L. Sané), Geis (3) – Choupo-Moting (1,5), Draxler (2) – di Santo (4,5)(61. Höger)), Huntelaar (3)


ブレーメン戦、シャルケは右SBはリーターが先発でした。ポカールではカイサラ。戦術的な理由以外に、監督はローテーションをしながら同ポジションの競争を促す傾向もあり、右SBをどのように起用するかは今後も注目だと思います。

中盤はガイスとゴレツカ。このポジションのファーストチョイスはこの二人で決まりではないでしょうか。

いつも参考にさせてもらっているKarstenさんの分析では、ポカールの試合はフォーメーションは4-2-2-2だったと書いていました。ブレーメン戦もフンテラールとディ・サントのツートップの下は右にチュポ・モティング、左にドラクスラー。Karstenさんによると、このシステムではチュポはかなり高い位置までポジションを取り、ドラクスラーは中央のスペースへ斜めに入ることで、攻撃の組み立てなど自由度が増すという分析でした。(“Neue Saison, neuer Trainer, neue Systeme. MSV Duisburg – FC Schalke 04, 0:5”

これまでのテストマッチ(ポルト、トゥエンテ)あるいはポカール(デュイスルブルク)では、どうしても客観視しづらかったシャルケの今期の実力が、ブレーメンという強敵との対戦によりわかる時が来ました。ブレーメンはシーズン前にゼルケがRBライプツィヒに、さらにディ・サントがシャルケに移籍しました。新規加入としてケルンからはウジャ、またオランダのAZからヨハンソンを獲得しています。個人的にはレンタル先のウニオン・ベルリンからコビランスキが戻ってきたのも気になります。彼には活躍してほしいな。

試合は残念なことに、開始17分にナスタシッチがアキレス腱を痛めてノイシュテッターに交代します。ナスタシッチはその後の診断でアキレス腱断裂で長期離脱が確定しました。キャンプ・テストマッチでの怪我人の離脱がなかっただけに、シーズンが始まってからの怪我はチームにとっても本当に痛い。ナスタシッチの早期回復を祈ります…。
交代で入ったのはノイシュテッター。このブレーメン戦に向けてのプレスカンファレンスでは、ノイシュテッターについての質問を受けた監督が特別に賞賛したほどに、真面目で評価の高い選手です。「彼は今期は私たちのためにたくさんの試合に出るだろう」と言ったことが早くも実現しました。元々は中盤の選手ですが、ライバルも多いポジションなだけに、CBでのプレーで評価をあげれば出場機会も増えそうで、個人的にも嬉しい。

もう一人、今期注目しているレオン・ゴレツカも積極的にシュートを打っていきます。ヘディングでのシュートは相手GKヴィートヴァルトに防がれ残念でした。レオンはボーフム時代には、思い切りの良いゴールをよく決めていた印象があるので、今期はその辺りにも期待したいです。

昨季と比較してシャルケが変わったのは明らかで、全体にボールを下げることなく前でプレーするようになっていました。特に素晴らしかったのはマティプ。元々ボールの配給にはセンスがあると思いましたが、チームが積極的に前でプレーする事で彼の良さも引き出されていました。この試合、先制となったセラシエのオウンゴールもマティプからのパスがきっかけでした。

前半を1-0で折り返したシャルケですが、監督は満足ではなかったようで、ハーフタイムにはロッカールームで「戦って倒れてこい。誰も全てを出さなかったと責められられないようすべきだ」と選手にハッバをかけました。
シャルケの問題は、少しリードすると緊張がほどける、全体に緩くなるということだと思うので、いかに監督が今シーズンを締めて行くかというのは重要な課題でもあります。

61分にはディ・サントに替えてヘーガーを投入。ディ・サントはいきなりの古巣との開幕戦でやりにくかったと思います。替わって入ったヘーガーはガイスと中盤でコンビを組み、ゴレツカは一つ前に入りました。ワントップはフンテラールです。
これが功を奏したのか、68分にはチュポが決めて2-0とします。アシストはやはりマティプ。素晴らしい。

さらに82分にザネがゴレツカと交代でピッチに登場。
『欧州フットボール批評 issue03』のシャルケプレビューでは、レロイ・ザネがトップチームでプレーできるめどが立った事がチーム最大の補強、と書かれていました。そのレロイは自陣近くからボールを奪って、一人駆け上がり、最後にフンテラールへパス。これをフンテラールが決めて3-0と試合を決めました。ほとんどレロイの得点といってもいいですよね。
シャルケがこんなカウンターを決めたのって最近ではほとんど記憶にないくらい…。
かつて、やはりブレーメン戦でリンコンが一人で決めた見事なカウンターを連想したほどです。

アウェイでの難しい開幕戦でしたが、終わってみれば3-0の快勝。
試合後にはピッチで円陣を組む選手&スタッフの姿も。これはパダボーン時代もおなじみの光景です。ブライテンライターさんのチームは、勝っても負けても試合後にはかならず円陣を組みます。今期は選手たちが幸せな表情で円陣を組むシーンをたくさん見たいですね。



BL2015/16 第1節:ブレーメン対シャルケ はコメントを受け付けていません。

08 02 2015

ドイツサッカー好きによる2014/15シーズンレビュー

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2014/15シーズンが始まる前に、ブンデスリーガ好きな人たちが集まって、それぞれのチームのシーズンプレビューを書きました。(「2014/15 ブンデスリーガ今季の展望」
プレビューがあったらもちろんレビューもあるべきで、シーズン終了後の今回はさらにたくさんの方々が集り、3回にも渡る大長編シーズンレビューとなりました。それぞれをまとめてくださった暁さんのご尽力に感謝いたします。

ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・上編

ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・中編

ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・下編

シーズン前の順位予想で、シャルケ6位は当たりましたが、残念ながら残留すると予想したパーダーボルンは最下位に終わってしまいました。シャルケも監督が交代するとは考えてなかったので、予想的中はどちらかというと偶然の結果です。

下編にパーダーボルンの2014/15シーズンについてまとめて書きましたので、興味のある方はぜひご一読ください。
ブライテンライター監督のパーダーボルン時代のサッカー戦術についてもちょっとだけ触れています。選手の質の差もあり、それがそのままシャルケに当てはまるとは思ってないのですが、指向しているサッカーは同じだと思います。今シーズンの参考になるようでしたら嬉しいです。

ドイツサッカー好きによる2014/15シーズンレビュー はコメントを受け付けていません。

03 27 2015

プロサッカー選手に有期労働契約は違法か?

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元マインツのGKハインツ・ミュラーの訴えをマインツの労働裁判所が認めたことで、ドイツメディアは第二のボスマン判決としてサッカー界に大きな影響を与える可能性があると一斉に報道しています。

水曜日に少しだけこの件についてTwitterでつぶやいたのですが、もう少し詳しく内容をまとめてみました。

ミュラーは2009年にイングランドのバーンズリーFCからマインツへ移籍。当初3年の契約を結びましたが、2012年にさらに2年契約を延長しました。マインツとの契約は2014年で終了しております。

今回の訴えと判決は、2012年の時点で有期(期限を区切った)契約を結んだことは有期労働契約法違反ではないかということが争点になっています。ただ、もともとはもう少し個人的なクラブと選手の係争が発端のようです。

2013/14シーズン後半、マインツはミュラーに対し、2014年で切れる契約の延長をしないことを告げます。2012年に結んだ契約では、ある一定数の試合に出場しなければ契約は延長されないという特約条項がありました。ミュラーは当時セカンドチームでプレーすることを余儀なくされており、規定試合数に達するための権利を侵害されたと主張、それが今回の訴訟につながっています。

マインツのハイデル・マネージャーは「1年契約延長の特約はあったが(クラブが行使しなかったのは)、彼のパフォーマンスによるものではなく他の理由による。このケースでは裁判は我々の権利を認めているが、彼はこれを有期契約の問題へと向けている」と発言しています。

下記に判決文がありますのでちょっと訳してみました。あまり意訳せずに日本語にしたので、かなりわかりにくいです。
(用語等についてはこちらの論文を参照させていただきました。教えてくださったSiebenendenwegさん、ありがとうございました。リンク先はPDFです。『「ドイツにおけるパートタイム労働並びに有期労働契約をめぐる新動向」(川田知子)』

プロスポーツ:不確実な将来の業績達成は雇用関係の有期を正当化せず

マインツ労働裁判所はプロサッカー選手は労働給付の特性が有期であることを正当化しないという判決を下した。

原告は当初、被告であるブンデスリーガのクラブにプロサッカー選手として有期の3年契約で従事した。双方は2012年夏さらに有期の2年契約を結んだ。原告のクラブはその時点で34歳になる選手と、不確実な将来の業績達成を理由に無期労働契約を締結せず、業界慣習を参照した。

マインツの労働法は無期の雇用関係継続に関する訴訟を支持した。

労働裁判所の見解では、トップスポーツ選手との雇用の期間は有期労働法第14条のみで許可される。客観的な理由のない有期は最長二年を超えているために考慮されない。最後に締結された労働契約も客観的な理由ゆえに有期は許可されない – プロ選手の希望でなければ – 不確実な将来の業績達成はプロスポーツ選手の労働給付の特性が有期であることを正当化しない。

この決定は最終ではない。


日本にも労働契約法というものがあり、有期労働契約の反復更新が通算で5年を超えた場合は無期労働契約に転換できるルールがあります。
ドイツの有期労働契約法では、最長2年を超えてさらに有期契約を結ぶには、第14条で定められた理由以外は認めないとなっているようです。
どのようなケースで期限を区切ることが正当化されるのかは、上記にリンクした川田さんの論文内に判例があがっています。

放送局のプログラムの策定から協働者を一定期間雇用する場合や、舞台関連事業における芸術的コンセプトに相応するよう、労働者(俳優、・ソロ歌手・ダンサー・指揮者など)との労働契約をその都度期限つきで締結する場合である(53)

(53) 判例では、放送の自由(基本法5条1項)や芸術の自由(同条3項)から放送局及び劇場の権利を導き出している.BT-Drucksache 14/4374 S.19.


今回の判決を受けての反応ですが、日本のJリーグにあたるドイツサッカーリーグ(DFL)と、サッカー協会にあたるドイツサッカー連盟(DFB)では受け止め方がだいぶ違っているようです。

ドイツサッカーリーグは判決に対し冷静な態度を取っています。「真摯に受け止めているが、何か行動を取るつもりはない。判決は最終ではないし、全く正反対の決定がされることも過去にはあった」

一方でドイツサッカー連盟で法務を担当するコッホ副会長は「注意深く見守らなければならない。一般的な労働法がサッカーに適用されるのは疑問だ。私たちは40、50人もの選手で膨らんだチームを持つことはできない」とコメントしています。

マインツは控訴する予定と報道されていますので、最終的な判決はまだかなり先になりますが、判決の内容によっては将来のプロサッカー選手の契約のあり方が変わる可能性も秘めているため、今後の展開を注意深く見守りたいと思います。

プロサッカー選手に有期労働契約は違法か? はコメントを受け付けていません。

03 13 2015

70-80年代・ブンデスリーガでドーピング疑惑

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先週のドイツにおけるブンデスリーガのドーピング騒動について日本ではあまり報じられていないようなので、わかる範囲でまとめてみました。(画像と内容に直接の関係はありません)



ドイツサッカー界を揺るがしたこの問題は、フライブルク・スポーツ医学調査委員会のメンバーであるアンドレアス・ジングラーが、3月2日に単独で出したプレスリリースが発端となっています。ジングラーによると、1970年代から80年代初頭、ブンデスリーガでドーピング禁止対象薬物であるアナボリックステロイドが、組織的に投与されていたとされる証拠を委員会が発見したというもので、具体的にVfBシュトゥットガルトと2部時代のSCフライブルクの名前をあげています。

さらに当時、フライブルクの医学界で指導的存在だったKlümper医師が関与していたことにも言及しています。
証拠となる資料は60ページほどで、フライブルク市公文書保管所から2014年の終わりに委員会に手渡され、2015年の1月から閲覧することができたようです。

調査委員会のレポート自体は元々2015年秋頃をめどに完成を目指していましたが、ジングラーのリークともいえるプレスリリースによって、未完成のまま注目をあびるようになりました。委員会のリーダーである刑法学者のパオリは、すぐにプレスリリースを出してジングラーの独断を批判、しかしながら同時に、彼の発表した内容に関しては正しいということを認めました。

今回問題となっているサッカー界での事件は70年代から80年代ですが、それよりも最近の90年代には、ドイツ全土を揺るがした自転車ロードレース界でのドーピング事件がありました。T-Mobileの前身であるドイツ・チームテレコムに対し、フライブルク大学病院のゲオルグ・フーパー医師などが、ドーピングを監視する立場にありながら自ら禁止薬物を自転車選手に与えていたというものです。ツール・ド・フランスで活躍したヤン・ウルリッヒをはじめチーム・テレコムの主要な自転車選手のドーピングが判明したことで、ドイツでは今に至るまで自転車ロードレースは壊滅的なダメージを受けています。(『広がるドーピング汚染 』 熊谷徹さんの2007年の記事より)

もともと調査委員会は、このような組織的なドーピングの舞台となったフライブルク大学の医学部門を徹底的に検証し、事実を洗い出すことを目的に設立されました。ジングラーのプレスリリースには、サッカーと同時に、ドイツ自転車連盟(BDR)が組織的にドーピングに関与していた証拠が見つかったことも書かれています。

3月2日の報道に対し、名指しされたクラブの一つシュトゥットガルトは、すぐに公式サイトで声明を発表。内容をまとめると、現時点でこのレポートの詳細なものは入手できていないのでコメントできないこと。また年度が古く検証が困難であり、Klümperがチームの医師であった時期はなく、しかしもちろんクリーンなスポーツであることを明確にするためにこの問題に関心を持っている、というものです。

なおSCフライブルクは今のところ公式の声明は出していないようです。シュピーゲルはドイツサッカー連盟とSCフライブルクが書類の閲覧を申し出たけれども、現時点では委員会に受け入れてもらえなかったと報じています。

なぜジングラーが単独での発表に踏み切ったのかという背景はわかりません。パオリによると、調査委員会はこれまでにもフライブルク大学の一部から数々の妨害行為を受けていたそうですが、そのあたりの大学側と委員会の駆け引きにかかわることなのかもしれません。

自転車でのドーピング問題については過酷とも言える姿勢でのぞむドイツですが、ことサッカーにおいては及び腰です。自転車ロードレースにおけるドーピングに対し、ドイツのマスコミがどのように失礼な態度で取材するかは、以前にシュピーゲルのインタビューで訳したことがあります。(「シュピーゲルの自転車に関するインタビュー」
また、サッカーにおいてこれまでに様々な噂があったけれどもうやむやになってきた経緯については、Zeitが興味深い記事を書いています。結論はタイトルそのままです。
「サッカーはあまりに巨大で失敗することが許されない」

いずれにしても調査委員長のパオリは現時点で完成していないレポートを公表するつもりはないと言っていますので、一瞬にして過熱した報道は急速に収まりつつあります。

ドーピングを取り巻くサッカー界の現状についても少し触れます。

NADA(ドイツ・アンチドーピング機構)によると2013年にブンデスリーガのプロ選手500人に対し行われた血液検査は39回。尿検査が534回。一方で自転車競技ではNADAが255回の尿検査に対し261回の血液検査を行っています。
国際大会でも似たような数字で、WADA(世界アンチドーピング機構)が500人のプロサイクリストに309回の血液検査を行ったのに対し、サッカーでは173回。
メッシがドーピングコントロールで尿検査と血液検査の両方を要求されたことに対し激怒したという報道がありましたが、ドーピングに関していうと尿検査だけでは十分ではないことをZeitが記事にしています。

UEFAが来年からバイオロジカル・パスポート(生体パスポート)を導入するという報道もありましたが、依然として他のスポーツ、特に自転車競技に比較するととてつもなく検査体制が遅れている印象があります。
サッカーにはドーピングの効果が表れにくいので違反者も出ないという説もよく聞きます。今回もシュトゥットガルトのスポーツ・ディレクターであるドゥットが「ドーピングはサッカーでは意味がない」(Doping im Fußball – Die große Verblendung”)と発言をしました。
しかし残念なことに、現時点であまり効果的ともいえない検査でもドイツサッカーの下部リーグでは、昨シーズンくらいからB検体で陽性反応を示して禁止薬物が検出される選手もで始めています。

 





私は自転車競技も好きなのですが、自転車競技と同じ基準でサッカーのドーピング検査を行ったら、いったいどのような結果が出るのだろうという興味はあります。
ちょうどこのブログをアップしようとした数時間前に、UEFAの医療委員会が新ドーピング検査手法を承認したというニュースも出ました。

ただし自転車の世界でのドーピングを見ると、いまやバイオロジカル・パスポートですら検出できないマイクロドーシングへと移行しているというレポートも出ています。(“The UCI publishes Cycling Independent Reform Commission report”のCIRCレポート参照)

いずれにしても、フライブルク医学調査委員会が最終報告を出すまでこのドーピング疑惑がクリアになることはないので、気長に続報を待ちたいと思います。

 

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11 12 2014

2014/15 BL第7節: レヴァークーゼン対パーダーボルン

さぼっていたパダボーンの試合レポートをぼちぼちと再開。

パダボーンが昇格したときからこの両チームの対戦をとても楽しみにしていました。
レヴァークーゼンのシュミット監督は2012/13シーズンにパダボーンを率いて、チームを昇格争いにも加わるような活躍に導き、最終的には5位でしたが、初めてパダボーンでもブンデスリーガでプレーする日があるかもという可能性を感じさせてくれた方です。
ザルツブルク、そしてレヴァークーゼンと順調にキャリアを重ねていて、個人的にとても嬉しい。
このシュミットさんの時代のパダボーンは、とにかく見ていてものすごく楽しく、いまでも忘れられない最高のシーズンでした。またインタビューなどで見せる彼の素晴らしい人間性は強く心に残っています。今はシャルケやパダボーンから見ると同じディビジョンの対戦相手ですが、それでもレヴァークーゼンでの成功を心より祈っています。

この試合は両チームに全く興味のない人が見ても面白いと思えるような好ゲームだったのですが、残念ながら放送がなく、再びラジオと途切れ途切れの映像での観戦となりました。
最終的なポゼッション率はレヴァークーゼン64%、パダボーン36%。途中パダボーンのバカロルツがレッドで退場になったことを考慮してもSCPのポゼッション率は低い。

実はこれに関しては試合後の記者会見でブライテンライター監督はこのように言っています。
「レヴァークーゼンはトランジションからの試合展開に長けているので、逆にわざとボールを持たせて、仕掛けられないようにした」(KSTAの記事より。“Bellarabi rettet Bayer einen Punkt”。残念ながら公開期間が切れているので全文は見られないのですが)
そういう観点で試合を見直してみると(見直すことはできないので、頭の中で再構築してみると)パダボーンのゲームプランがうまくはまっていたことが分かります。

さらにブライテンライター監督は「CLに出場しているチームから勝ち点1を取ったことはセンセーショナルだ。この4試合は(勝ち点が取れれば)ボーナスな試合だと考えていたので4ポイントとれたことに満足している。」ともコメント。そしてパダボーンの選手たちはライオンのように勇敢に戦ったと賞賛しています。



1. Bundesliga, 2014/15, 7. Spieltag
Bayer 04 Leverkusen – SC Paderborn 07 : 2-2 (1-1)

Torschützen
0:1 Koc (20., Rechtsschuss, Rupp)
1:1 L. Bender (42., Rechtsschuss, Bellarabi)
1:2 Stoppelkamp (87., Linksschuss, Rupp)
2:2 Bellarabi (90., Rechtsschuss, R. Kruse)

Bayer 04 Leverkusen
Leno (5) – Hilbert (5), Jedvaj (2,5) (82. R. Kruse),Toprak (2), Wendell (4) – L. Bender (2)(63. Öztunali), Reinartz (3) – Bellarabi (2), Son (5) – Calhanoglu (5)(67. Drmic) – Kießling (4)

SC Paderborn 07
L. Kruse (4,5) – Wemmer (11. Heinloth (4)), Strohdiek (3,5), Hünemeier (4), Brückner (3,5) – Ziegler (3,5) – Koc (2), Bakalorz (4,5), Rupp (4), Stoppelkamp (2) – Kachunga (5)(79. Kutschke) (75. Vrancic)

Rote Karten
Paderborn: Bakalorz(72., rohes Spiel, Wendell)



普段は素晴らしいセーブを見せるレヴァークーゼンのレノが、この試合はどういうわけか不安定で、前半20分にカチュンガの長いパスに反応し、前に出てきたのになぜかクリアを空振りしてしまい、そのままコチが無人のゴールに蹴り込んでパダボーンが先制します。

レヴァークーゼンも前半終了間際、ベララビのシュートをルーカスがはじいたところを、つめていたベンダーが決めて追いつきます。どちらの得点もキーパーのミスと言えばミスで、実にらしからぬプレーでした。
しかし、ミスだけで終わらないのが二人の良いところ。後半に入りベララビの強烈なシュートをルーカスがセーブしたり、レノの方もストッペルカンプのシュートを左手一本でぎりぎりのところではじくという好プレーを見せました。

77分にバカロルツがヴェンデルを後ろから倒してしまい、レッドカードで退場になります。パダボーンとしては苦しい展開になりましたが、逆に数的不利になった方が一瞬のチャンスを逃さないというのはサッカーの面白いところです。87分に、カウンターからストッペルカンプがレノをかわし、角度のないところからシュートを決めてパダボーンが勝ち越し!
サポーターたちもとにかく大喜び。私も最高の気分でした。

このまま試合が終われば大金星だったのですが、90分にクルーゼのクロスを受けたベララビに見事に決められて同点とされました。試合は2-2のまま終了。
とにかく見ていてこれぞサッカーの醍醐味と言うべき非常に密度の高い試合でした。
詳しい試合内容やスタジアムの雰囲気は、現地で観戦されていたFusshaltさんのブログをご参照ください。

試合後のシュミットさんが「選手は体だけでなく頭が疲れていた」とコメントしているのを聞くと、やはりパダボーン的には本当に対戦相手の過密日程に助けられたなあと思いました。



いまから後半戦の両チームの対戦が楽しみです。
(その時にはぜひ放送をお願いします。たぶん内容に外れのない試合だと思います…)

 

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11 10 2014

5年目の『A Life Too Short』

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ハノーファーのGKであり、ドイツ代表でもあったロベルト・エンケが自ら命を絶って5年がたちました。

エンケの本『A Life Too Short』は、すでにかなり前に読み終わっていたのですが、思い出すとやりきれない気持ちになってしまうので、なかなか触れることができずにいました。一つのノンフィクションとしても非常に完成度の高い本ですが、結局は誰もが知っている最後の結末は変えることが出来ないため、読んでいる途中で絶望的な気持ちになってしまうのです。

本の中でエンケがだんだんに鬱の症状をひどくさせてしまう出来事が起きるのも辛いのですが、何よりも彼のために自分のこと以上に献身的に尽くす奥さんのテレサや、代理人というよりも真の友人であるネブルンクの存在があっても、自ら死を選ぶことを誰も止めることができなかったという事実には打ちのめされました。
またスペイン時代に少しずつ元気をなくしていくエンケの状況は、GKがどれだけ繊細な心の持ち主なのか、サッカー選手がどれほど環境に左右されるのかということを物語ります。

今月、11Freundeの156号にエンケのチームメイトであり、エンケが亡くなった後の辛い時期にハノーファーのゴールマウスを守ってチームを残留させたGKのフロムロヴィッツの文章が掲載されました。
「Robert und ich」(ロベルトと僕)という寄稿文は、彼がチームメイトとしてエンケと過ごした日々や、亡くなった後のハノーファーでのシーズン、その後ツィーラーにチャンスを与えるスロムカの元で出場機会を失ったことで移籍を決意し、いくつかのチームを転々とした結果、ついには三部のヴィースバーデンに所属するようになったことについて淡々と語っています。



エンケが亡くなって5日後のシャルケ戦、何も感じることができず催眠状態のようになっていた彼は、テレサのお母さん(エンケの義母)が「あなたはこれからの数ヶ月を全力で乗り越えなければならない。でも私たちがあなたの後ろにずっとついているから」と言った一瞬の間だけがクリアな状態だったと語ります。

残留した翌年の2010/11シーズンでは、最初はレギュラーとして良いシーズンを送りながらも、若手にチャンスを与えたいとツィーラーを起用し始めたスロムカの元で出番を失ったこと。どうしても試合に出場したかった彼はデュイスブルクに移籍し、そこでも監督の交代で居場所を失い、さらにディナモ・ドレスデンへ移ったこと。多すぎるGKの中で出場も移籍も思うように行かず、世界の意味がわからなくなってしまったこと。

もちろん誰もが自らの手で幸せは作るものだし、僕が全く失敗をしなかったとは言いたくない。それでもしばしば人生の意味だとか、存在についての恐れを持つようになった。どこまで深みにはまっていくのだろう?

フロムロヴィッツは2009年ドイツU21の代表で、ノイアーやエジル、ベニーなどと一緒にプレーしていたので、彼のことは若いときから知っています。その頃はビッグマウスで自信たっぷり、自分の将来について何の不安も持っていないように見える能天気な選手でした。エンケの死がどう作用したかについては彼は詳しく書いていませんが、端から見ても雰囲気の変わってしまった様子を見ると心が痛みます。

エンケが亡くなって5年、奥さんのテレサはたまにサッカー界は何も変わっていないと言ったりしますが、フロムロヴィッツは徐々に敏感になってきていると考えているようです。心理面の世話をするクラブも増えてきたし、鬱病について語ることはタブーではなくなってきたと言います。もちろんサッカーにはプレッシャーがつきもので、うまく機能できなくなればそこから追い出されます。「でもそれってサッカーだけの話じゃないよね?」とフロムロヴィッツ。

そんな彼もU21代表時代の仲間が今年のワールドカップで優勝する姿を見て少し物悲しく感じたと書いています。

いまのところ、三部のヴィースバーデンでも出場機会がないのですが、再びサッカーに楽しさを見いだしているという一文に救われます。
自ら命を絶つことがどれだけ周りの人に影響を与えるのか。フロムロヴィッツにとっての5年間、奥さんのテレサにとっての5年間、そしてサッカー界にとっての5年間。いろいろと深い物思いにふける夜です…。

 

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