Archive for the 'Schalke Finance' Category

03 29 2016

クラブの年次報告書を読む

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2015年度(2015年1月~2015年12月)のシャルケの年次報告書が発表されました。

シャルケは株式市場に出ているわけではありませんが、社債(サポーター債券)を発行しているので、2012年度から決算の数字を公表しています。

概要をまとめると、売上高は264.5ミリオンユーロ(330億円。以下ミリオンはMで表示。0が6個つきます。日本円には125円で換算)、当期利益は22Mユーロ(27億円)、また期末時の現預金は18M(22億円)。さらに2010年からの5年間で100Mユーロ(125億円)の借金を減らし、現時点での債務残高は146Mユーロ(182億円)とのことです。借金の内訳は2019年7月に期日が来る社債(サポーター債権・年利6.75%)が60.8M、金融機関借入金が45.4M、移籍金未払金が19M、その他が21Mというところでしょうか。

最高額を記録した収益は以下のようになっています。単位は000ユーロ。左の欄が2015年、右が2014年です。日本式の表示だと右に向かって新しく並べたいところですが、ドイツ方式で新しい方を左に表示しています。



入場料収入、スポンサー収入、放映権料の3本柱が、昨年に比較して少しずつ落ちています。一方でマーチャンダイズ(商品売上)、ケータリング事業、その他の収入が増えています。その他の11.5Mのうち、6.2Mはクラブ会費です。年50ユーロで、この収入は人数に応じて増えることはあっても、減る性質のものではないでしょう。

選手の移籍による契約違約金の恩恵も受けています。50.9Mの内訳は下記の通り。
数字はtransfermarktから拾ってきましたので、開示されていない部分で誤差はあるかもしれません。



経費、税金を引いた後の最終的な利益は22Mユーロ。移籍金50.9Mがなければ赤字決算になったかどうかの判断は難しいところです。ドラクスラーを売却していなければ、経営バランスを取って、選手や設備への投資を積極的に進めてはいなかったはずです。

貸借対照表(バランスシート)をチェックしてみます。

サッカー選手に例えると、売上や経費を表す損益計算書が1シーズンのパフォーマンスだとしたら、貸借対照表は選手の能力や将来のポテンシャルという財産を見るものといえます。
まずはプラスにあたる資産の一部。



選手資産は昨年の25.7Mから39.3Mと13.5M増えています。ドラクスラーが移籍したのだから、資産価値が下がるのではと考えがちですが、実はドラクスラーの移籍は会社の財産を表すバランスシートに全く影響がありません。彼はユース出身なので、これまで値段がつけられたことがなく、資産価値はゼロだったのです。
ユース選手の会計上の価値については、FIFAマスターで勉強された宮本恒靖さんがコラムにかかれています。

一方で2015年中に違約金を払って獲得した選手は6名。レンタル料の発生しているホイビュルクと金額の少ないニュベルは表からは省略しました。



移籍金を払って選手を獲得した場合、かかった費用は一度に経費として落とすことはせず、無形資産としてバランスシートの「選手資産」に計上します。
ガイスを例にとると、シャルケがマインツへ支払った額は12M。契約期間は4年なので、1年に経費として資産から減額できる金額は1/4の3M。ただし2015年は7月からの契約なので、3Mの6ヶ月分1.5Mを「償却費」としてトータルの12Mから引きます。その結果、ガイスの2015年末での会計上の資産価値は10.5Mです。

12,000,000 – (12,000,000 ➗ 4 x 1/2)= 10,500,000

2016年はこの10.5Mから3Mが引かれ、年度末には7.5Mが資産価値になります。これを契約期間の満了まで続けます。ただし、途中で契約更新した場合は、残った金額をさらに延長した期間で割って償却を続けます。



2015年に獲得した選手の期末資産価値トータルは28.5Mユーロ(35億円)です。

一方で移籍した選手のうち、2015年に残高が残っていたのはボアテング、オバジ、フクス、サンタナ。2015年度初めには彼らは合計で7.8Mユーロ(9.8億円)の価値がありましたが、移籍したのでこの年に全額経費として計上し、資産をゼロにします。
この時点で会計上の選手資産価値は(新規)28.5M -(移籍)7.8M = 20.7Mです。



移籍した選手以外に、ゴレツカやアオゴなど、過去に移籍金を払って獲得した選手もバランスシートに載っています。彼らを足してトータルで39Mが、シャルケ全体の選手資産になります。
なおシェプフは2016年1月の契約なので、2015年12月末にはまだ含まれていないはずです。余談ですが、現在ドイツ二部で3位のニュルンベルクが、来季一部のライセンスを得るためには、累積赤字をある一定の額まで減らすという条件が付いており、シェプフの売却はクラブの財政をかなり助けるものだったようです。

マイヤー、レロイ、コラシナツ、マテップ、ヘヴェデス、フリードリッヒ、ケーラー、リーゼ。さらにレンタル中のアヴディヤイ、ヴェレンロイター、アイハン、プラッテなど、シャルケユース出身の選手は会計上の資産価値はゼロです。移籍した時に初めて金額に換算可能となります。ヘヴェデスがもしこのまま引退までシャルケでプレーすると、会計上の価値はゼロのままです。ただし契約が残っている時点で移籍すれば、他クラブはシャルケに対し移籍金が発生します。つまり彼らユース出身者には含み益があるということです。

現時点では、各欧州のクラブはIFRS(国際財務報告基準)に従い、移籍の際に支出した費用のみを選手の無形資産として計上し、契約年数に応じて定額償却するという会計方針を取っています。参考までに、プレミアリーグではトッテナム・ホットスパーの年次報告書、ブンデスリーガではドルトムントの年次報告書を読んでみましたが、どちらも獲得した選手にかかる費用の会計方針は同じです。またスパーズは、選手がキャリアに関わるような大きな怪我をして価値が損なわれる場合、減損会計を行うとも書かれています。

ちなみにJリーグでは移籍の際に払った費用は無形資産ではなく、長期前払費用と考えているとのことです。計算の仕方は同じですが、選手という人的資源をどう捉えるかという概念が違ってきます。

二番目にハイライトした土地建物・付属設備は、主にスタジアムです。償却額としてここから年7Mずつ減っているので、現在の88Mは12年後には資産価値ゼロになるはずです。それにより減価償却費という経費が発生しなくなるため、それだけ利益が増えます。

三番目のハイライト部分は建設仮勘定です。今期4.9M増えています。これはトップのトレーニング場の整備と、ユースなどのフィールドを同じ場所に建設する、Berger Feldプロジェクトに着手したためです。工事が完了し、使用し始める時点で初めて『仮勘定』ではなく、『土地建物・付属設備』として減価償却が始まります。ただスタジアム総額が推定で191Mであったことに比べると、4.9M程度ならクラブの財政を圧迫するほど大きな支出とは言えないでしょう。

次に負債を見てみます。



冒頭でも紹介した借金の部分ですが、社債60Mは2017年に償還(返済)される予定なので、順調にいけば2年後にゼロになります。しかし、返済のための巨額な資金を一度に準備することはおそらくできないため、社債を再び発行して、サポーターからお金を集めるのではないかと予想しています。
年次報告書でも、現在のe.V.(eingetragener Verein:社団法人)というクラブ組織形態を強調していますので、e.V.からトップチームだけ会社組織にして、株式を発行する可能性はまずないでしょう。(実のところ、そうすれば資金調達もものすごく楽になり、借金の返済も一気にできるのですが…)

金融機関借入金は年々順当に減っています。財務責任者のピータースによると、2019年の完済を目指しているそうです。昨季の返済額が13.5Mなので、4年で年11Mずつ返すというのは現実的な目標だと思います。

こうしてみると、借入などの債務は巨額ですが、クラブの体力が好転する見通しがないわけではないことがわかります。個人的には、金融機関からの借金がなくなる5年後の2020年が、勝負に転じる年だと考えています。ゴレツカ、マイヤー、レロイが25歳前後となり、前線ではアブディヤイ、リーゼ、後ろはケーラー。そしてヘヴェデスがベテランの味を出しているかもしれません。考えるだけで楽しい未来予想図です。(もちろんみんなが残っていてくれればの話ですが)

年次報告書によると、2016/17シーズンの予算は、今期(2015/16)ブンデスリーガを5位で終了する想定で組んでいるようです。5位ならリーグからの放映権料の配分は来季も減らない計算になるからだと思います。

ブンデスリーガの放映権料配分はセントラル方式です。一部二部全てのクラブにポイントに応じて配分されます。国内リーグだけでなく、欧州の大会の放映権料も含まれます。
ポイントの計算は5年間の順位で換算されます。
1位のチームなら36がまず与えられます。36はブンデスリーガ一部二部の総クラブ数です。二部の最下位のチームなら1です。それに係数を掛けます。一番近い年から5、4、3、2、1です。
今期の配分根拠となったシャルケの総ポイントは485ですが、これは(31×5)+(34×4)+(33×3)+(34×2)+(27×1)という式で計算されています。



今年少なくとも5位で終われば、順位ポイントは32です。新たな5年計算からは2010/11シーズンの10位が入らないため、5位でも総ポイント数が486となり、昨シーズンの配分を上回ることができるのです。金額にして60Mです。



さらに5位で終わるということは、ヨーロッパリーグの出場権も得られます。ポカールは2回戦進出と控えめな前提条件で予算を立てているようです。
また年次報告書には、さらなる移籍による収入は、来季の経営プランに入れていないことが明記されています。しかし、ユース選手とは長期での契約を結び、万が一の売却時には利益を確保することもクラブの方針です。

来季より、マインツのハイデルがスポーツディレクターとして就任することが決まっています。マインツのクラブで働く前、ハイデルは学校のアビトゥアで銀行業務を経験した後、自動車のディーラーとしてビジネスを行ってきました。
この5年間で借金が減り、シャルケの財務状態がよくなってきたのは、確実にヘルトのおかげです。ハイデルにはさらに投資に見合う効率の良いマネージメントを、ぜひ実現して欲しいと思っています。

ブログを書くにあたり下記のサイト、および文献を参考にしました。

参考サイト:
Fussball-Geld.de
『トッテナム・ホットスパー 2013/14年次報告書』(12,13,22ページ)
『ドルトムント 2014/15年次報告書』(71ページ)

参考文献:いずれもPDF。
『人的資源の会計的認識 : 日英プロサッカークラブの実務を例として / 角田幸太郎』
『人的資源の価値評価と組織業績の関係 ―プロサッカークラブのケース― / 角田幸太郎』
『英国プロサッカークラブにおける 選手の資産計上の実務 / 角田幸太郎』

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01 23 2016

デロイト・フットボールマネーリーグ 2016

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デロイト社のフットボールマネーリーグ2016が出ました。対象は2014/15シーズン。シャルケに関してのみですが、久しぶりにちょっとまとめてみました。オリジナルはリンク先からPDFファイルがダウンロードできます。

過年度のレポートについても当ブログで書いてますので、興味のある方はこちらをご参照ください。

『Football Money League 2013』
『Football Money League 2012』
『Football Money League 2011』
『Football Money League 2010』
『Football Money League 2009』

レポートの見方について。

デロイト社が独自の方法で集計し、毎年1月頃に発表するフットボールマネーリーグ・レポートは、Revenue(収入)に応じて順位をつけるという方法がとられています。支出も含めた営業利益において数字を測るわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。
計算の期間は前期シーズン。レポートが2016となっていたら、2014/15シーズン(2014/7/1-2015/6/30)を対象としています。
クラブによってはカレンダー年(1月-12月)を会計年度としているところも多いので、その場合は2年分の財務レポートから、マネーリーグの計算期間に合わせて数字を構築しなおします。パリサンジェルマンのように、多大な収入増がレポートの発表に間に合わない場合、さらっと翌年のレポートの前年順位が修正されていたりするので、現在出ているレポートが最終の数字とは限りません。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放映料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない投資活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

2016レポートによるシャルケの収入構造は下記の通りです。パーセントは全体の比率。かっこ内は前年の数字と増減金額。通貨はユーロです。

* Matchday 17.8% : 39.2M (41.1M – 1.9M)
* Broadcasting 33% : 72.6M (68.5M + 4.1M)
* Commercial 49.1% : 107.9M (104.3M + 3.6M)

入場料収入(Matchday)は前年に比べて1.9Mユーロ減少。ホームゲーム2試合分に相当します。チャンピオンズリーグの予選1試合分とポカール三回戦の1試合だと思います。
入場料収入をさらに増加させる要素としては(1)チケット単価の増加(2)席数の増加(3)試合数の増加の3パターンしかありません。ただしシャルケは(1)と(2)がこれ以上難しいため、リーグ戦以外のチームの成績(CL、ポカール)が入場料収入の増減に直結しているのが近年の現状です。

放映料収入(Broadcasting)は、前年同様CLのベスト16まで残ったことで、UEFAからの分配が28.9Mユーロあります。金額の上昇は分配金額自体の増加によります。

商業収入(Commercial)に関しては前年の104.3Mから3.6M増にとどまりました。メインスポンサーであるガスプロムとは2017年までの契約を結んでおり、年に換算すると約20Mの収益です。来季以降への不安材料としては、フォルクスワーゲンが不祥事でスポンサー縮小する場合の影響をどのくらい受けるかという点でしょう。
マネーリーグ11位となったドルトムントの商業収入144.3Mと比較しても、かなり水をあけられた感があり、バイエルンやドルトムントのように、戦略的パートナーシップをいかに拡大していくかは今後のカギとなります。アディダスではなく、他のサプライヤーの可能性を検討しているのもその一環といえるでしょう。



今年のデロイトのレポートにはCAGR(年平均成長率)も掲載されましたが、マネーリーグの1位から5位の年平均成長率が9%に対し、シャルケのこの5年間の成長率も9.75%です。同程度の率で成長している限り、上位に追いつくことはまず難しいでしょう。またレポートにもありますが、トップ10と11位以下の差は昨年の17.5Mユーロから一気に43.3Mユーロまで拡大しました。今後はますます上位との差は広がって行く事が予想されます。

ドイツ全体で言うと、現在二部で首位を走っているラーゼンバルシュポルト(RB)ライプツィヒのような存在もあり、今後のドイツ・マネーマップが大幅に変動する可能性も秘めています。ドイツには50+1ルールという厳格なクラブオーナーシップに対する規則があり、外国資本が参入しづらいという背景もあります。しかし一方で、ドイツ全体の底上げを求めて、50+1ルールそのものの存在を見直すべきという意見も聞きます。
マネーリーグ2016を見ると、ドイツはバイエルン、ドルトムント、シャルケの3チームしか上位30位内にランキングされていないのに対し、イングランドは20位までに9チーム、20位以下には、サウサンプトン、アストン・ヴィラ、レスターシティ、サンダーランド、スウォンジーシティ、ストークシティ、クリスタルパレス、ウェストブロムウィッチと8チームが名前をつらねています。サッカーをめぐるお金の動きには、今後もますます注目して行く必要があるでしょう。

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04 19 2013

2012年度のシャルケ会計報告を分析してみた

【2012 Financial Statement from Schalke】

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2012年度(2012年1月1日より2012年12月31日までの期間)のシャルケの会計報告が発表されました。

私の知る限りでは、シャルケの詳細な財務諸表を見たのは初めてな気がします。リンク先の一番下からアニュアル・レポートがダウンロードできます。

資料がいろいろあって面白かったのですが、とりあえずドイツ語の損益計算書を日本語に直してみました。
わかりやすいように直したので、通常の経理用語ではないところもあります。

左側が2012年の数字、右が昨年度の数字です。B/W(Better/Worse)欄のプラスとマイナスは、単純にプラスが良くなった、マイナスが悪くなったと考えてください。
画像はクリックすると拡大します。また、この記事の下の方に読み進んで行くと各項目が大きく表示されています。
単位はすべて百万ユーロです。190.4とあったら、190.4ミリオンユーロ(1億9千万ユーロ)です。

 
薄い青は売上と結果を表す小計です。濃い青が使った経費です。
太字の部分は各項目の小計で、たとえば売上高の欄が太字で190.8と表示されていますが、その下に少し小さな文字で表示されている『スポーツ事業』から『その他の収入』までがこの内訳になります。小数点以下を切り捨てているので、すべて足しても合計と少し差が出る場合もあります。
グループ全体の連結ベースでの報告になりますので、ケータリング事業なども含まれています。

WASにも今回の数字に関する記事が出ていましたが、昨年の売上224.2Mに比べると33.4M減少しています。
大きな要因として赤で丸をした移籍違約金収入があげられます。2011年はご存じのとおり、ノイアー移籍の違約金がありましたので、その分、2012年度は減少しています


次に経費の欄を見てみます。
賃金・給与が2011年に比べると1.8M減少しています。出費が少なくなったというのはクラブにとって良いことなので、差額欄はプラスで表示しています。

5の減価償却費というのは会計の概念ですが、たとえば選手を3,000万円で購入したとします。契約は3年です。その場合、支払った3,000万円を選手と契約したその年に全額経費にするのではなく、契約年数で割った分だけその年の経費にします。
つまり1,000万円が1年目。2年目にも1,000万円、3年目も1,000万円が経費となるのです。
仮にその年の売上が2,000万円だったとします。全額1年目に経費にすると2,000万-3,000万で1,000万の損失となりますが、減価償却という概念を用いると、2,000万-1,000万で1,000万の利益になります。(ものすごく単純化して説明しています)



上記の図で選手資産の経費が2012年は1.4M下がっていますが、これは選手全体の資産価値(分母)が減ったということです。おそらく、2011年はノイアーの分があったので経費が大きかったのと、2012年はラウールの半年分がなくなったために経費が減ったということが考えられます。

選手という資産以外に、フェルティンスアレナも減価償却の対象になります。
WAZの記事の中で、ピータースはスタジアムを従来の40年ではなく30年で計算するというようなことを言っていますので、スタジアムの減価償却費が増えた部分は、その他資産のマイナスで表示されている部分という可能性もあります。
(40で割るより30で割った方が、1回あたりの金額が大きくなる=経費が大きくなるということです)

その下の欄はあまり特筆すべきことはないのですが、7と8の支払利息が大幅に減少しているのは良いことだと思います。
借入金を返済して残高が減れば、それだけ支払う利息も減っていくはずです。
ただ2012年にサポーター債権(ボンド)を発行しているので、その分の支払利息は増えているはずです。(このあたりはもうちょっと詳細を調べてみないとよくわかりません)

10の特別損失というのはアレナの屋根を修繕したものです。2011年に発生していますが、これも3年でほぼ均等に割っていますので、2011年、2012年、そして来年度にほぼ同じくらいの額の特別損失を計上します。



ドイツのNRW州は調べたところ29.8%が実効税率のようでした。日本が40%を超えていることを考えるとドイツの法人税、安い・・・。(財務省のサイトに各国の法人の実効税率対比表がありますので、ご参考までに)
(ちょっと追記。財務省のサイトによると、日本の法人所得税の実効税率は平成23年の税制改革以降、40%超から段階を経て35%程度にはさがるようです)

最終的な数字は15の行になりますが、注目すべきなのは9の経常利益部分。
2011年が17.1Mの黒字に比べ、2012年はマイナス1.8M。
差額で見ると18.9Mの減少ですが、実はこれかなり良い数字だと思います。というのも、昨年より売上で33Mも減っているのですから、経費を少なくして33Mから18Mまで差額を減らしたというのは優秀です。

なので、シャルケは2012年度は赤字で大変・・・とあまり心配しすぎなくても大丈夫。
2013年ももちろんそれほどお金を使えないことは確かですが(汗)、スタジアムの借金の返済も順調に進んでいるし(ピータースによると2018年までには完済したいとのこと)、CLへの出場権を得ることさえ死守できればなんとかなりそう。

個人的には違約金で売上が新記録!とかは勘弁してほしい方なので、2012年度のような収益構造はけっこう悪くないと思う・・・。

 

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01 25 2013

Football Money League 2013

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デロイト社のFootball Money League 2013が出ました。昨年は2月半ばだったのに今年は1月20日過ぎ。早い。
そのかわり、毎年各チームの数字以外に添付されていたマーケットの傾向などの分析レポートが省略されています。

このレポートについては毎年書いているので、とりあえず今年もちょっとまとめてみます。
2013レポートの対象期間は2011/2012シーズン(2011/07/01から2012/06/30)になります。
シャルケにとってはCLではなくヨーロッパリーグに予選から参加し、最終的にベスト8となったシーズンです。

前回マネーリーグでベストテン内に入ったシャルケは、その時の来季予測通り14位まで転落。

なお過年度のレポートについてはこちらのエントリーをご参照ください。(『Football Money League 2012』)、(『Football Money League 2011』)、(『Football Money League 2010』)、(『Football Money League 2009』)、(『Football Money League 2008 – Schalke04』

毎年同じことを書いていますが、レポートの見方について。

マネーリーグの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない投資活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

2013レポートによるシャルケの収入構造は下記の通りです。パーセントは全体の比率。かっこ内は前年の数字と増減金額。通貨はユーロです。

* Matchday 24.7% : 43.1M (37.2M + 5.9M)
* Broadcasting 21.8% : 38M (74.3M – 36.3M)
* Commercial 53.5% : 93.4M (90.9M + 2.5M)

放送料収入(Broadcasting)は、前回CLのベスト4に残ったことでクラブ史上最高額の74.3Mを記録しているので、今回はELでベスト16までしか残れなかった影響により36.3M減少の38Mとなっています。

入場料収入(Matchday)は昨年に比べて増加しています。デロイトのレポートは6%の減少と書いてありますが実際には15.9%増。2011/12のホームゲーム(リーグ17、ポカール0、EL7)と2010/11(リーグ17、ポカール1、CL6)を比較しても試合数は同じなので、増加分は席単価が高くなった分、増えたと考えるのが妥当かと思います。

商業収入(Commercial)に関してはマネーリーグでは9番目に高く、昨年も書きましたがInfront Germanyというスポーツ権利を扱う会社との長期契約により、スタジアムをサッカー以外の様々なイベントに活用する道が拡大化された影響を享受しています。シャルケの試合がない時は、バイアスロンやボクシング、アイスホッケー、コンサートなど、いろいろなイベントが開催されています。
また、ガスプロムと2017年までの長期契約を更新したので、年に換算すると約15Mの収益となります。アディダスとの長期サプライヤー契約、フォルクスワーゲンやErgo(保険会社)とのパートナーシップなどにより、Commercial部分で数字が落ちる可能性はあまりないでしょう。

2009年から2012年までの5年間の数字をグラフにしてみました。5年間の年平均成長率は3.3%。



ところで他のブンデスリーガのクラブはどうなのでしょうか。
マネーリーグの20位までにランクインしているドイツのクラブは、バイエルン(4位、前年4位)、BVB(11位、前年16位)、シャルケ(14位、前年10位)、HSV(18位、前年18位)の4クラブ。20位以下ではシュトゥットガルトが25位につけているのみです。



グラフを見ると、バイエルンが突出しているのがよくわかります。
入場料収入の85.4Mは他の3チームと比較すると倍以上となっています。昨年のレポートにありましたが、シャルケは1試合平均1.6Mであるのに対し、バイエルンが3.1M。座席数の差が7,000強程度としても席単価自体はかなり高いことがわかります。ただし昨年のバイエルンのチケット代は据え置きでした。一昨年に比較すると2試合増えたのみにもかかわらず、金額は13.5M増。
放送料収入が高いのはCLやDFBポカールの決勝まで進出したことを考えると当然の結果でしょう。UEFAからのCLの分配が43.8Mあります。
商業収入は単年で200Mを超えたクラブは初めてだそうです。もちろんマネーリーグの中でも1番です。(その次に多いのがマドリーの187.2M) そのうちマーチャンダイズ収入だけで57.4Mあり、それにスポンサーシップなども含めての金額になります。

ドルトムントは昨年の16位から11位にランクアップ。放送料収入が28.3M増の60.4M。これはUEFAからの分配が25.4Mあったことが大きな要素です。グループステージで敗退してもこれだけの分配があるということは、CLに出場することがいかにクラブにとって重要かということがよくわかります。

最後にマネーリーグ20位までに入っているクラブを国別に合計してみました。クラブ数はそれぞれ、スペイン 2、イングランド 7、ドイツ 4、イタリア 5、フランス 2です。
スペインの上位2チームが突出していること、またマネーリーグでのイングランドの存在感の大きさがよく理解できる結果だと思います。



Football Money Leagueはだれでもダウンロードできるレポートですので、さらに興味のある方は
ぜひご自分でも目を通してみてください。
シャルケの会計期は1月から12月ですので、経費等を含めた最終的な数字は4月頃にわかるかと思います。

 

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04 17 2012

2011年度クラブの収支報告

【FY2011 Financial Report】

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毎年1月より12月がシャルケの会計期間になりますが、昨年の数字が出ていましたので、公式より拾ってきました。
それぞれの明細はなく、ハイライト部分の数字のみです。

FC Gelsenkirchen-Schalke 04 e.V(社団法人)は月曜日に2011年度(2011年1月より12月)の収支決算を報告しました。

売上は224.2Mユーロで前年の187.9Mユーロに比べ金額にして36.3Mユーロ、パーセントにして19.3%の増加になります。
これはDFBポカールでの優勝やCLでの準決勝進出が要因となっています。
連結ベースの財務諸表では4.87Mユーロ(前年5.2M)の営業利益をあげています。

負債の部は繰延収益を含めて、2011年12月31日現在で249.5M(前年285M)。つまりトータルで35.5Mユーロの負債が減少しました。

負債バランスは184.8Mユーロ。(前年216.5M)

グループの通常の営業活動では17.1Mユーロ(前年2.6Mユーロ)。
また特別損失は6.9Mユーロを計上していますが、これはスタジアムの屋根を修理したことによります。

 
おお、悪くないじゃないですか。
特に借入金が前年が216.5Mで今年が184.8Mユーロということは、借り増しがなければ単年で31.7M返済したということになり、これは、これは・・・もしかして、

・・・マガト時代に30Mユーロ使っちゃったってやつをやっと返したってことになるのー(爆)

やはり来年のチャンピオンズリーグ出場は必至ですね。とほほ。がんばらねば。

 

2011年度クラブの収支報告 はコメントを受け付けていません。

03 15 2012

Football Money League 2012

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デロイト社のFootball Money League 2012が出ていました。2月半ばに出ていたのに、仕事が忙しくてうっかり見落としていました・・・。
このレポートについては毎年書いているので、とりあえず今年もちょっとまとめてみます。
2012レポートの対象期間は2010/2011シーズン(2010/07/01から2011/06/30)になります。

前回、前々回とマネーリーグで16位だったシャルケはなんと今回初めてベスト10以内にランクインしました!!!快挙。
順位は10位。これまでで一番高かった順位は2009レポートの13位でした。

なお過年度のレポートについてはこちらのエントリーをご参照ください。(『Football Money League 2011』『Football Money League 2010』『Football Money League 2009』『Football Money League 2008 – Schalke04』

毎年同じことを書いていますが、まずこのレポートがどういうものであるかを過去のエントリーからコピペしてみます。

マネーリーグの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない投資活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

2012レポートによるシャルケの収入構造は下記の通りです。パーセントは全体の比率。かっこ内は前年の数字と増減金額。通貨はユーロです。

* Matchday 18% : 37.2M (25.4M + 11.8M)
* Broadcasting 37% : 74.3M (35.4M + 38.9M)
* Commercial 45% : 90.9M (79M + 11.9M)

入場料収入(Matchday)増加はやはりチャンピオンズリーグでベスト4まで勝ち残ったことが大きな要因です。全部で6試合のホームゲームがあり、1試合平均の収入は約1.6Mユーロ。ただしこれはバイエルンの3.1Mと比較するとほぼ半分程度にすぎません。
(わかりにくいと思うので日本円にしてみます。1.6Mユーロを仮に105円で換算し、シート数の約61,000で割るとだいたい一人当たり2,754円平均チケット代になります)

放送料収入(Broadcasting)に関してもやはりCLでの躍進が影響しています。UEFAからの分配金は39.8Mで、昨年の水準と比較してもほぼ2倍の金額になっています。

商業収入(Commercial)に関してはマネーリーグでは6番目に高く、これは昨年も書かれていましたがInfront Germanyというスポーツ権利を扱う会社との長期契約が影響を及ぼしています。この契約により、スタジアムをサッカー以外の様々なイベントに活用する道が拡大化されました。Veltins Arenaのサイトを見ると、バイアスロンやボクシング、アイスホッケー、コンサートなど、いろいろなイベントが開催されているのがわかります。
また来年以降のマネーリーグに関係する要因として、ガスプロムと5年契約を延長したこと(約75M)や、アディダスとの長期サプライヤー契約、フォルクスワーゲンやErgo(保険会社)とのパートナーシップがあります。この先もCommercial部分で数字が落ちる可能性はあまりないでしょう。

シャルケが初めてマネーリーグの20位までにランクインした2007年から2011年までの数字をグラフにしてみました。
やはり昨年(グラフ上では2012)は突出しているのがわかりますね。
5年間の年平均成長率(CAGR)は15.4%で、マネーリーグにランクインしている他のドイツのクラブを見ると、バイエルンが9.5%、ドルトムントが9.1%、HSVに至っては1.8%であることを考えると、この5年でかなり成長していることがうかがえます。



ここまでを読むとシャルケの経営状況は明るいような気がしてきますが、デロイト社のレポートは支出までの情報をカバーしていないので、経営状況を読み誤るとかなり困った事態になります。またこの年はマガトが人件費を莫大に増やした年でもあるので、ボトムの数字はいかばかりかとあまり知りたくない気分になります(汗)。
だいたい毎年5月くらいにはクラブの収支が発表される予定なので、忘れずチェックしたいものです(といいつつ、毎年忘れるのよね・・・)。

ちなみにブンデスリーガの他のクラブのランキングも書いておきます。シャルケの他にマネーリーグで20位までにランクインしているチームは3つ。
バイエルンが一番高く4位(ここ数年ずっと4位をキープしています)、次がシャルケの10位。その次はドルトムントで16位(その前年はランク外でした)、そしてHSVが18位(前年13位)です。

Football Money Leagueはだれでもダウンロードできるレポートですので、さらに興味のある方はぜひご自分でも目を通してみてくださいね。

 

Football Money League 2012 はコメントを受け付けていません。

02 12 2011

Football Money League 2011

Published by under Schalke Finance

毎年、3月くらいに出るデロイト社の『Football Money League 2011』がもう発表されていたので、さっそくダウンロードしてさくっと読んでみました。なぜか今年はメールアドレスを登録しなくてもダウンロードできるようになっていました。

今年のマネーリーグでは、シャルケは去年と同じ16位のままです。昨シーズンはCLもELもなかったので収入減となり、順位がもっと下がるかと思っていただけに意外でした。

他のドイツのクラブは、バイエルン(4位←4位)、HSV(13位←11位)、シュツットガルト(19位←圏外)となっています。去年17位だったブレーメンと19位だったBVBは20位以下(それぞれ28位と22位)に転落しています。

レポートの対象期間は09/10シーズン(2009/07/01から2010/06/30)。

(過年度についてはこちらのエントリーをご参照ください。『Football Money League 2010』『Football Money League 2009』『Football Money League 2008 – Schalke04』『Football Money League その2』

まず、毎年同じことを書いていますが、このレポートの見方を去年のエントリーからコピペ。

Money Leagueの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

シャルケの収入構造は下記の通りです。かっこ内は前年の数字。

* Matchday 18% : 25.4M (29.2M – 3.8M)
* Broadcasting 25% : 35.4M (34.2M + 1.2M)
* Commercial 57% : 79.0M (61.1M + 17.9M)

一見して、Matchdayが減っているのと、Commercialがかなり伸びているのがわかります。
Matchdayが減るのは、CLやELがなかったため試合数そのものが減っているのが理由です。シャルケのスタジアム収入は動員数がほぼMAXなため、試合数の増減が収入を左右します。ただ、DFBポカールで準決勝まで行き試合数が増えたことは有利に働いたようです。

それにしても、Commercialが17.9Mユーロも増えているのには驚きです。
レポート内ではその理由として、2017/18までの長期契約を結んだスポーツマーケティング会社 Infront Germanyが、Veltins Arenaをシャルケの試合以外のスポーツイベントへ積極的に活用するようサポートしていることをあげています。
Veltins Arenaは床部分が可動式なので、いろいろなスポーツやイベント会場に早変わりできるのです。

2011レポートの特集ページでは20位までにランクインしているクラブの収益構造を比較しています。
30ページに右のような分布図がありますが、各クラブごとに収入源の比率を表しています。真ん中に近いほど収益バランスがよいクラブです。

ドイツのクラブは左下のCommercial比率が非常に高く、バイエルンが53%、HSVが43%、シャルケが57%です。これはランク3位までのレアル・マドリー(34%)、バルセロナ(31%)、マンチェスター・ユナイテッド(28%)に比べるとかなりバランスが片寄っています。
逆に言うと、入場料収入や放映権収入はまだポテンシャルがあると言えるのかもしれません。
なぜドイツのCommercial比率が高いかという理由として、レポートでは、ドイツが欧州でも最大の商業市場であるということと、相反してPay-TVのマーケットが未成熟であるということをあげています。

これに関連して放映権収入については『TV Times』という特集で詳しく述べられています。
放映権の販売については、イングランド、ドイツ、フランスなど多くの国がリーグ(あるいはそれに該当する組織)がクラブに替わって一括して放映権を売る場合と、スペイン、イタリアのようにクラブ(あるいはクラブと契約したエージェント)が独自に放映権を販売するケースがあります。(2010/11よりイタリアはリーグが一括する形になるようです)

リーグが一括して放映権を取り扱う場合、イングランドのプレミアリーグでの配分は50%がリーグ内で均一配分、25%はテレビで放映される数に応じ、残りの25%が最終順位によると述べられています。
このため、例えば2009/10シーズンに優勝したチェルシーの国内放映権収入が65Mに対し、リーグ最下位のポーツマスは39Mと、意外と順位による差は大きくないことがわかります。(ちなみにこれにCLだとかELがつくので、上位のチームの収入はもっと増えるのですが)

クラブが単独で放映権の交渉をするリーグと比べると、イングランドやドイツは国内リーグからの放映権収入はどうしても低くなるようですが、ただイタリアと同じように、スペインでもリーグで放映権を一括して配分する方法へのディスカッションがすでに始まっているとのことです。

今年のレポートはだいたいこんな感じです。
シャルケの場合、問題は収入ではなく支出なので、このレポートからはクラブの財政状況というのは読めません。シャルケの会計月は1月-12月ですから、おそらく5月くらいには営業利益まで含めた数字がわかるはずなので、またその時にでもチェックしてみたいと思います。

あと、興味のある方は、下記のブログにシャルケの財政問題について詳しいレポート(英語)がでています。

かなり長いうえに最初の方はあまりいいことは書いてないので、途中でくじけそうになりますが、後半になると収益構造の素晴らしさについてもちゃんと触れています。(これを書いた人に、最初だけ読むとミスリーディングなのでは?とちょっと聞いたら、サッカーの前半、後半という構成なんだよ、と答えてくれました。なるほどー)

 

Football Money League 2011 はコメントを受け付けていません。

03 05 2010

Football Money League 2010

【Football Money League 2010】

Published by under Schalke Finance

毎年恒例、Deloitteの『Football Money League 2010』がでました。
3月1日にはもう出ていたのですが、忙しかったのでダウンロードしてチラ見しただけ。
デロイトのサイトに登録をすると、誰でもPDFでダウンロードできます。

(過年度についてはこちらのエントリーをご参照ください。『Football Money League 2009』『Football Money League 2008 – Schalke04』『Football Money League その2』

シャルケは2009の13位から3位後退して16位。
レポートの対象期間は08/09シーズン(2008/07/01から2009/06/30)になります。

毎回説明しているようですが、レポートの見方について。
Money Leagueの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。
大きな影響を受けるのがUKのチーム。ポンドベースでは順位が上でも、ユーロで換算してしまうと下がるという現象がでます。
レポートの5ページに今年の収入金額を過去3年間のレートで計算してみた表が掲載されていますが、例えばマンチェスター・ユナイテッドの278.5Mポンドは、2007年のレートなら413.7Mユーロ、2008年なら351.8Mユーロ、2009年なら327.0Mユーロになるようです。
もし、2007年ぐらいポンドが強ければ、413.7Mなのでマドリーを抜いてダントツでトップになるということですが、対ユーロのポンド下落がこんなところで影響を及ぼしているということです。

さて、シャルケを含めたドイツのクラブのランキングはこんな感じです。一番左が今年の順位。ブレーメンが初めて20位内に入り、昨年18位だったシュツットガルトがランク外に転落しています。



バイエルンは4位ですが、昨年よりも収入自体は下がっています。

躍進しているのがHSV。昨年の15位から一気に4位あげて、11位。
HSVは全カテゴリーで数字を伸ばしていますが、特にCommercialが増加しています。主な理由は胸スポンサーのEmiratesとの契約延長、また、スタジアムのネーミングライツについても、現在のNordbankがExit Clauseを適用して09/10シーズン限りで降りるため、新規にImtechとネーミングライツ契約を結んだことなどがあげられています。

ブレーメンは昨年のランク外から17位にランクイン。
胸スポンサーの新規契約(citibankからTargobankへ)、ユニフォームサプライヤー契約をカッパからナイキに変更したこと、あと、リーグの成績はよくなかったものの、UEFAカップ決勝まで進んだことや、DFBポカールをとったことが入場料収入のアップにつながっています。

シャルケはCLは予選で敗退、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)もグループリーグを突破できず、ポカールもベスト8で敗退と散々な成績だったので、入場料収入はほとんどリーグ戦によるところが多かったようです。
そういう意味では来年のFootball Money Leagueは、もっと順位を落とす可能性もあるとレポート内で述べられています。

ただし、Commercial部分に関しては、ガスプロムやアディダスとの長期契約、またスポーツマーケティング会社との2017/18シーズンまでの契約があるので、収入は比較的安定していると考えられています。

 

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04 16 2009

Forbesの順位は10位

【Forbes rated Schalke as the Number 10】

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フォーブスの『The Most Valuable Soccer Teams 2009』が発表されていました。去年についてはこちらをご覧ください。(『The Most Valuable Soccer Teams』参照)

今年のランキングはこんな感じ。

1位はマンチェスター・ユナイテッド。現在価値は1,870Mドル (1,800)

以下、ベスト10

2位 レアル・マドリー 1,353 (1,285)
3位 アーセナル 1,200 (1,200)
4位 バイエルン・ミュンヘン 1,110 (917)
5位 リバプール 1,010 (1,050)
6位 ACミラン 990 (798)
7位 バルセロナ 960 (784)
8位 チェルシー 800 (764)
9位 ユベントス 600 (510)
10位 シャルケ 510 (470)

リバプールとバイエルンが入れ替わっただけで、昨年と順位に変動はありません。かっこ内が昨年の現在価値(CV)です。

シャルケは2007版でも10位で、そのときの現在価値は471。翌年2008版が470で、今回が510なので、やはり今回はRevenue(収入)&Operating Income(営業利益)が一気に増えた分、CVが高まったことになります。

Debt/Value(負債比率)は去年の48%から38%へと減少。

ものすごく乱暴に計算しますと、去年の現在価値470に、営業利益の41をプラスすると、ほぼ今年の現在価値510に近い数字になります。
Debt/Value(負債比率)が38%ということは、現在価値510に対し、だいたい負債が194くらい。昨年の負債比率が48%で負債額が226くらいとすると、ドルベースで32Mくらいは負債が減っていることになりそうです。(ただし、新たなスタジアム価値付加がないと仮定して)
ユーロだと21Mくらいかな。
ま、このあたりは5月くらいに発表されるシャルケの決算資料を待たなければと何ともいえませんが。

ちょっぴり悲しいのは、クラブの紹介ページで『Head Coach : Vacant』って書かれているところですかねー(笑)。



新しい監督はいったいいつになれば決まるのかしら・・・。(その前にマネージャーもか)

 

Forbesの順位は10位 はコメントを受け付けていません。

02 12 2009

Football Money League 2009

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デロイト社の『Football Money League 2009』が出ました。
(過年度についてはこちらをご参照ください。『Football Money League 2008 – Schalke04』『Football Money League その2』

サブタイトルは『Lost in translation』

ソフィア・コッポラの映画タイトルと同じなので、通訳の過程で失われた何かを連想するかもしれませんが、ここではポンドとユーロのExchange Rateによる損失のことを指しています。

デロイトの担当者が5分程度の概要を音声で語っていますが、それによると、ウエストハムやアストン・ヴィラ、エバートンなどは単純な収益ベースならもう少し順位が上がるところ、ユーロに換算すると、ベスト20から落ちるという残念な結果になってしまったようです。

下記、デロイトのサイトにメールアドレスと名前を登録すると、レポートがダウンロードできます。

対象シーズンは2007/2008。
クラブのサイズは例の如く、Revenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約はCommercialに含まれています。

シャルケは先シーズンはリーグ3位。CLでもベスト8になったので、今回のMoney Leagueで順位が上がるのは予想できたのですが、13位と、昨年の16位から3つ順位があがり、過去最高位となりました。
金額で言うと、前回の113.3Mユーロから148.4Mユーロへと、約34.1M(日本円で41億円くらい@120円)増えています。昨年比で30%増。

おそらく、次回のFootball Money League 2010では大幅に順位が下がることが予想できるだけに、ちょっとおもはゆい結果ではあります。

ちなみにドイツのクラブで一番高順位なのはバイエルン・ミュンヘンの4位(昨年は7位)。CLではなく、UEFAカップでしたが、それほどRevenueに影響がなかったということでしょうか。ただ、バイエルンの収益構造は60%がCommercialで、前回の107.2Mユーロから今回は176.5Mユーロという、驚異的な伸びを示しています。
これはアリアンツアレーナの持ち株会社を100%取得したことで、41.6Mユーロの収入が得られたことによるようです。

シャルケの場合は下記のような数字になっています。パーセンテージが全体の割合、かっこ内は去年の数字と増加額です。

* Matchday 22% : 32.3M (27.3M + 5M)
* Broadcasting 38% : 56.0M (33.9M + 22.1M)
* Commercial 40% : 60.1M (53.1M + 7M)

Broadcastingが伸びたのはCLで勝ち進んだため、放映の分配金が増えたことに起因しています。またMatchdayは現在のところ、ほぼ観客動員数がマックスであり、チケット代自体も押さえられているところから、試合数の増加(トーナメントで勝ち進むなど)がない限り、現状ではこれ以上の上昇はのぞめないと分析されています。

今年の特集では、このご時世ですので、世の経済状況がサッカー界におよぼすであろう影響について論じられています。

ものすごく簡単にまとめると、Matchdayに関しては、夏(欧州のシーズンオフ)の経済状況を見つつ、チケット代を再検討しなければならないクラブも出てくるかもしれないと述べられています。特に対象となるのは会社のホスピタリティ・シートです。最近のスタジアムでは10-15%がそういう企業に対するシートが設置されていて、Money Leagueにでてくるいくつかのクラブでは、入場料の40%がホスピタリティシート収入だったりするそうです。

Broadcastingに関しては、現在の契約から見て、経済情勢が脅威になるとは考えにくいと分析されています。

一番読めないのがCommercialで、レポートにはベスト20クラブのスポンサー契約期間が一覧で表示されていますが、09/10で契約の切れるチーム(11チーム)に関しては、契約更新に向けて真剣に考えなければいけないだろうという内容のことが書かれています。

さらに、借入(Debt)自体はクラブ経営にとって必ずしも悪いことではないけれど、こういう経済状況になってくると、クラブ経営に与えるインパクトの可能性が論じられています。
例えば、ケースによっては、資金調達、融資の延長や借り換えが困難になったり、資産価値の時価減少などから、資産の流動性が下がり、クラブの会計に『Going Concern Uncertainty』(企業経営の継続性に疑念)が生じる可能性もあるとまで言っています。

ただそれでも、サポのクラブに対する忠誠心、BroadcastとCommercialパートナーとの強い結び付きなどから、サッカー界自体がこの経済状況に沈むことは考えにくいという結論のようです。
もちろん、すべてのクラブがそうというわけでなく、入場料が落ちたり、コーポレートシートが減少したり、収入減に応じてコスト管理を臨機応変にできなかったりすると、Money Leagueの順位は下がっていくだろうと言っています。
ま、このへんは当たり前のことを言っているだけですが。

ざざっと目を通しただけですが、今年のレポートはだいたいそんな感じです。

ちなみにここに書いてあることは、私個人が理解したことをまとめて書いているだけなので、あまり信用せず、参考程度にとどめておいてください。
そして、ご自分が何かを書かれる時は必ず原文をご参照ください。どうかよろしくお願いします。

サッカークラブ関連の数字は、次はForbesの『The Most Valuable Soccer Teams』特集になります。だいたい3月から4月ごろに発表される予定です。

 

Football Money League 2009 はコメントを受け付けていません。

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