BL2015/16 第4節 : シャルケ対マインツ

昨シーズンの悪い頃に戻ったようなヴォルフスブルク戦でのパフォーマンスと、その後の移籍騒動で動揺したまま、代表ウィークの中断に入ったため、リーグ再開のホームゲームは始まる前からいつになく緊張しました。
ブライテンライター監督の手腕をこれっぽちも疑った事はありませんでしたが、シーズン前から良い方向へ向かっていたチームの流れが、ヴォルフスブルク戦で全く消えてしまった事はショックでした。もしかしてシャルケがチームとして変わる事は誰がやっても不可能なんだろうか。どんな監督を連れてきても、チームがアグレッシグかつ流動的にプレーする事は難しいのだろうか。

そんな杞憂は試合が始まってすぐに消えました。
中盤はゴレツカとガイス。左がアオゴで右がカイサラ。トップはフンテラールとディ・サント。個人的に一番安定し、ベストであると思うスタメンに戻っていました。ドラクスラーのポジションにはマックス・マイヤー。ゴレツカは子供の頃からお互い旧知のマックスと共にプレーでき、特に嬉しかったようです。スタメンだった選手が抜けた後をチャンスと捕らえることは健全なこと。マックスには本当に頑張ってほしい。

1. Bundesliga, 2015/16, 4. Spieltag FC Schalke 04 – 1. FSV Mainz 05 2:1 (1:1)

Torschützen
1:0 J. Matip (37., Kopfball, Geis)
1:1 Malli (42., Rechtsschuss, Clemens)
2:1 Huntelaar (61., Rechtsschuss, J. Matip)

FC Schalke 04
Fährmann (2) – Junior Caicara (3,5), J. Matip (2), Neustädter (3), Aogo (3) – Geis (2,5)(90. + 3 Ayhan), Goretzka (2,5) – Choupo-Moting (4)(62. L. Sané), M. Meyer (3)(90. + 1 Kolasinac) – di Santo (4,5), Huntelaar (3)

1. FSV Mainz 05
Karius (1,5) – Balogun (4,5), Bungert (4), Bell (5), Bengtsson (4) (87. Niederlechner) – Baumgartlinger (4), Latza (3,5)(82. Klement) – Brosinski (4,5), Clemens (3,5)(66. De Blasis), Malli (3) – Muto (3,5)

序盤は試合前の不安を吹き飛ばすような内容でした。
開始3分にアオゴがエリア内で倒されて、まずPKを獲得します。これをフンテラールが決めていればもっと楽な展開になったかもしれませんが、GKのカリウスに防がれてしまいます。フンちゃんはこれで4連続PK失敗です…。FWとしては蹴りたいでしょうけど、そろそろ考えてね。ただし、フンちゃんがPKを失敗するとチームは勝つという謎ジンクスも。

10分にもマックスのシュート、12分には右サイドを駆け上がったディ・サントからの斜めに横切るクロスに、フンちゃんがヘッドであわせたシュート。ディ・サントの他FWへの長めのクロスはブレーメン時代にも見た光景。ここから得点が生まれるようになるとチームもぐっと楽になるんでしょうけど…。

20分過ぎくらいまではシャルケの前線からのプレスも素晴らしく、ほれぼれするような試合内容でした。
徐々にゴール前を脅かされるのは、23分にマリのシュートをマティプが直前で足を入れて防いだ辺りから。マインツが前からもプレスをかけ始め、シャルケとしては簡単にボールを運べない状況になってきました。マインツは中盤ではバウムガルトリンガーが厳しくボールを奪いに行き、そこからの素早い切り替えというのは徹底していました。

待望の先制点は37分にコーナーキックから。ガイスの蹴ったボールをマティプが頭でゴールに叩き込みました。
今シーズンのマティプはアシストといいゴールといい本当に素晴らしい!
しかし前半終了間際に、マイボールのスローインから相手に奪われ、シャルケユース育ちのラッツァがガイスをかわして前線にスルーパス。これを武藤が受けてチャンスを作り、最後はマリに決められて追いつかれます。

前半はこのまま1-1で終了。

ところでこの試合で面白いなと思ったのは、ビルドアップの時に必ずガイスがDFラインに下がって、左ノイシュテッター、右マティプのスリーバックのようになることです。ただガイス自身はつないで組み立てて行くというより、ロングボールをサイドに出すか、あるいは序盤によく見られたようにノイシュテッターに預けて、ノイシュテッターが左からアオゴにつなぐという選択が多いです。ビルドアップして行きたいのなら、中盤でゴレツカがつなぐか、あるいはヘーガーを起用という選択肢もあるかもしれません。ただ今の時点ではそこまで模索している感じはなく、むしろシンプルに前へ運ぶ事を優先している感じもします。このあたりがシーズンが深まるに連れてどう変わるのか(あるいは変わらないのか)も興味深いです。
ただDFラインの真ん中にガイスを置くと、彼は相手につめられても慌てないので、マティプやノイシュテッターにも良い影響を与えている気はします。

後半は互いにプレスを掛け合い、それぞれにチャンスも作りました。お互いがピッチ上のどこに突破口を作ろうかと模索している感じがとても面白かったです。
追加点は61分。
前でボールを受けたカイサラがいったん最終ラインのマティプまでボールを戻します。マティプはパスをどこへ通すかうかがい、フンテラールがするっとバウムガルトリンガーの前に入ったところを、すかさず長いボールを通しました。フンちゃんは体を入れかえてボールを受け、そのまま前へ出てシュート。
オランダ代表での鬱憤や、前半でのPK失敗を吹き飛ばすような力のこもったシュートでした。そのままコーナーフラッグをキックして激折り(笑)
気持ちは伝わってきたよ、フンちゃん。

この試合、個人的なマン・オブ・ザ・マッチは間違いなくゴレツカ。
彼自身もこれまでで一番良いパフォーマンスだったと言うように、中盤も左右から最終ラインまで広い範囲を走り回り、相手にプレスをかけ、彼のボール奪取から何度もチャンスを作り出しました。
この代表ウィークに行われたU21の代表戦でもキャプテンを務め、ようやくシャルケでもゴレツカの時代がきたという予感をただよわせます。
シャルケは終盤には少し怖い場面もありましたが、ロスタイムにセットプレーで上がってきていたカリウスを見て、フンテラールが大きく相手ゴールを狙うシュートもありました。外れてしまったので、昨シーズンのシュトッペルカンプのロングショート再来は惜しくもならず。

ところで試合後の両監督の記者会見も興味深かったです。
マインツのシュミット監督が、自分たちは走行距離、スプリントなどで勝ち、意図的な走りはいつも自分たちの目標を定めてやっているので、勝ち点はとれなかったものの悪くないと言うと、ブライテンライター監督は、走る部分では負けていても、一対一やポゼッションではうちの方が良いと負けずに言い返しました。
こういう、基本的には互いをリスペクトしつつも、主張するところは主張する瞬間が、プレスカンファレンス好きとしてはたまらなく面白いところです。