ザンクト・パウリのスタジアムツアーに参加

ハンブルクを訪問したついでに、以前から気になっていたザンクト・パウリのスタジアム・ツアーに参加してみました。平日は14時半から1日1回。時間は120分。短いコースもありますので、詳しいスケジュールとオンラインチケットはリンク先をご確認ください。


チケットは当日窓口でも購入可能です。スタジアムに併設されているストアの左横のボックスオフィスで売ってます。ただし開始時間が迫っていると、ツアーの集合場所で直接買ってと言われます。ストアを通り過ぎてスタジアムをぐるりと回ると、ミュージアムの入り口があり、そこが集合地点です。スタジアム・ツアーはドイツ語ではStadionführungと表記されています。

この日集まった参加者は15人くらい。イングランドから来た親子や、一人で参加しているドイツの青年、デンマークからの家族連れなど多種多様です。半数以上がドイツ語をほとんど理解できないので、ガイドの方は少しだけ英語で説明もしてくれました。

ミュージアムの入り口はパブのようになっていて、ここは昔のクラブハウスを想起させるつくりになっています。自分たちの始まりを忘れないというのは、ドイツのクラブに共通してある考え方ですね。

最初にまだ改築する前の古いミラントア・シュタディオンの写真の前で、いろいろと説明があります。メインスタンドの屋根にカメラと実況ブースがあった時代で、暑い日にはカメラに太陽が当たって大変だったそうです。2006年にドイツでワールドカップがあり、この時から収容率や屋根設置義務など、スタジアムのリーグ基準がかなり変更されました。これに伴い、ミラントア・シュタディオンも拡張を始めます。

模型の前で全体像をチェックしてから、本格的なツアーの始まりです。

この扉を見るだけでテンションが上がります。スタジアムツアーではこのドアを通り抜けるわけではなく、横の入り口を利用します。

こちらが選手控室。ドクロの周りにはステッカーがたくさん。シーズン前、スタジアムがサポーターに解放された日に、彼らがデコレーションしていったのだそうです。

今季からブンデスリーガ、ツヴァイテリーガはベンチ入り人数が増え、試合日には最大20人が控室を利用します。そのため今はどこが誰と固定されているわけではないのだか。それでも例えばGKのヒンメルマンはここ、というだいたいの決まりはあるのだそう。

壁には選手のサインがあります。左下の方ちょっと切れてしまっているけど宮市選手のサインも。

こちらは有名なSpielertunnel。選手がピッチにでる前の通路です。この色合い。ますますテンションが上がります。

横を見るとWelcome Hellと書いてあり、脳内で勝手にHell’s Bellが鳴り響き始めます。ガイドさんによると、この色合いで5年になろうとしているので、変更も考えているとのこと。

トンネルをくぐるとピッチが見えてきます。つい選手目線になりそう。

スタジアム・北スタンド側には「Kein Mensch ist illegal」という文字。

ザンクト・パウリは人種差別や同性愛嫌悪、ナチズムなどに断固反対する立場をとり、難民の受け入れにも積極的に関わっています。通常、ゴール裏にバナーが出ることはあっても、「非合法な人間はいない」というメッセージが、スタジアム内に固定されているクラブも珍しいでしょう。

余談ですが、市内のライバルチームHSV所属で、ガンビアからの難民であるジャッタ選手が身元詐称の疑いでメディアから攻撃されていたとき、HSV以外のクラブで彼を積極的に支援していたのがザンクト・パウリです。ジャッタ選手はInstagram(現在は非公開)で、ザンクト・パウリにも感謝の言葉を述べています。

スタジアムの入場口には「No Place For Homophobia Fascism Sexism Racism」(ホモフォビア、ファシズム、セクシズム、レイシズムお断り)の文字も。スタジアムのいたるところでザンクト・パウリの考え方を体感することができます。

スタンドからの景色を見た後はメインスタンドの建物内へ。こちらはスポンサーのアストラ・ラウンジです。スポンサーが顧客を招待したり、ビジネス用途で使用したりできる場所です。

部屋のデザインがおしゃれで、ザンクト・パウリらしさが満載でした。こんな部屋でくつろげるならスポンサー冥利に尽きますね。

スポンサー向けといっても、閉ざされた場所というわけではなく、試合前まではオープンになっています。試合中は部屋のドアは閉じられますが、客は室内に残ることはできず、外のシートで観戦することが求められるのだとか。サッカーの試合に来ているのだから当然といえば当然の話です。

ミラントア・シュタディオンにはまたSéparée(セパレ)と呼ばれる個室があります。案内図には39まで数字がありますが、ガイドさんによると38とのことでした。メインスタンド側建物の3階と4階がSéparée、1階や2階にはもっと大きなバンケットルームにもなるホールがあります。これらのスペースではヘルズ・ベルの代わりにウエディング・ベルを鳴らすために利用する人もいるとか。

それぞれの定員は12人から24人くらいだそうです。

いくつか見せてもらいましたが、各部屋のデザインが違っていて、見ているだけで楽しいです。

ここがすごく素敵でした。こんな部屋で集まってワイワイ騒いだり、試合を見たりできたら最高ですね。

ここは誰でも借りることができ、パウリのサイトを読むと、HSVのファンでもOK、ただしナチはぜったいにダメ、とあります。年間契約で塞がっているところもありますが、Tages Séparée(試合日の利用)もあります。ケータリングなども含めて3900ユーロ(約47万円)だそうです。でも15人で割れば一人当たり3万1千円と思うと、意外と安い。

一階の通路に出ると、壁が一面のアートギャラリーになっています。

ザンクト・パウリは「Viva con Agua」という活動も行っています。アフリカなどの水資源の乏しい国に、きれいな水を届けるための開発支援や援助を行うため、アート展などを開催して資金を集めていますが、そのアートの一部が壁一面に描かれています。

Viva con Aguaについて一度詳しく書いたことがあるので、当ブログの他のエントリー(『ザンクト・パウリと”Viva con Agua”』)もぜひご参照ください。

こちらはプレスカンファレンスなどが行われる会議室。ここではミラントア・シュタディオンがネーミングライツを導入しない経緯などを聞きました。また、現在ブレーメンのサポが行っているネーミングライツに反対する活動についての話なども。

最後に昔のスコアボード。スポンサーのアストラとHasta La Vistaをかけた『Astra la Vista 3.Liga』が素敵。『またいつか、ドリッテリーガ』(それが今季の終わりに実現しないことを望みますが)

ツアー自体は2時間を少しオーバーするくらいの長丁場で、いろいろと見どころもありますが、ザンクト・パウリというクラブの考え方や哲学をしっかりと説明する時間が長く、聞く方はかなりハードです。それでも随所にザンクト・パウリのクラブ理念を体感できるデザインや、モダンでビジネス利用もしっかりと考えられたスタジアムの内部を見ることができるので、満足度は高いと思います。

スタジアムツアーの料金は14.5ユーロとやや高めですが、5ユーロ分のストア無料券をもらえるので、実質9.5ユーロ。そもそもミラントア・シュタディオンのツアーに参加するくらいなら、当然パウリグッズも買って帰りますよね? ツアー終了後に嬉々として買い物をしていたら、一緒に参加していたドイツ人青年がニッコリ微笑んでくれました。うむ、この連帯感、イイネ。

 

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