天皇杯という至福の時間

J2にはトーナメントが残念ながら天皇杯しかありません。一発勝負のトーナメントが持つドキドキ感はリーグ戦とはまた別の楽しさがあり、ナビスコで優勝を味わった事のあるジェフファンとしてはトーナメントはやっぱり好き。ただジェフは天皇杯にはずっと無縁で、いつも比較的早い段階で敗退してしまうのですが、今年はなんと準決勝まで勝ち上がりました。

水曜開催が多く、準々決勝、準決勝は大阪での開催だったのに、私にしては珍しく今年のジェフの天皇杯は全て見に行きました。そして見た全ての試合が幸せで、こんなにも充実したサッカー遠征ができた年も久々でした。

天皇杯二回戦:ジェフユナイテッド千葉 3-2 AC長野パルセイロ

フクアリでのパルセイロ戦。くしくもこれが関塚監督の初陣でした。

監督が変わったばかりでメディアの注目度も高く、関塚さんも結果を出さなければならない難しい試合でしたが、森本の2得点とケンペスのゴールで3-2と勝利して幸先の良いデビューを飾りました。
それにしてもパルセイロは強かったです。

讃岐との入替戦はどちらも応援したいところですが、そろそろ長野にも上がってきてほしい気がします。

天皇杯三回戦:柏レイソル 1-1(PK 11-12)ジェフユナイテッド千葉

日立柏サッカー場で行われた柏レイソルとのダービー。
これは対戦できたことがすごく嬉しかったです。もちろんちばぎんカップというプレシーズンマッチで毎年試合はしていますが、やはり真剣勝負の場で試合ができることはディビジョンが離れてからはなかったので、柏相手にどれくらいできるかが楽しみでした。

関塚さんは初戦のパルセイロ戦こそ主力で戦いましたが、この柏戦ではだいぶメンバーを入れ替えてきました。柏からレンタル中の山中、さらに佐藤祥、田代、GKには高木と、これまで出場機会に恵まれていない選手がスタメンでプレーします。
試合は前後半、そして延長の前半でも決着がつかず、そのまま延長戦後半へ。そして108分についに途中出場のオナイウ阿道がゴールを決めてジェフが先制しました。

しかしさすがに柏もこのままでは終わりません。8分後には橋本のゴールで同点とし、そのままPKへ。
このPK戦はなんと一巡してさらに順番が回ってくるという、なかなか見る事のできない長いPK戦となりました。結局、町田也真人が外した後、PKが一巡して再び也真人に番が回り、彼が勝ち抜けを決めるという劇的な幕切れとなりました。

長い長い試合の後、帰宅にもけっこう時間がかかり相当疲れたのですが、とにかく柏とのダービーを制したという高揚感でいっぱいでした。

天皇杯四回戦:V・ファーレン長崎 1-2 ジェフユナイテッド千葉

実はジェフは長崎を苦手としていてリーグ戦ではまだ勝ちがありません。
試合は早速、長崎に先制されて追いかける展開となりましたが、ここまでなかなか結果につながらなかった也真人がゴールを決めて追いつきます。
試合はそのままどちらも点が入らず延長戦へ。

延長110分についにケンペスがゴールを決めて、ジェフが長崎を下して準々決勝へ進みました。
円陣は延長に入る前のものだと思います。チーム全体でこの試合に勝つという気持ちが伝わってきました。

天皇杯準々決勝:セレッソ大阪 0-1 ジェフユナイテッド千葉

準々決勝はキンチョウスタジアムでセレッソ大阪と対戦しました。
今年のセレッソは個人的には優勝候補に押したりしたのですが、ここまで低迷を続け、たまにJ1の試合を見ても妙にちぐはぐなゲーム運びが目立っていました。
それでもフォルランだとか、カカウだとか、対戦するとなると名前だけでドキドキしてしまいます。ただディビジョンが違うので生で見る機会はないなあと思っていたところ、この対戦で両選手のプレーを見る事ができたのは本当にラッキー。

フォルランのコーナーキック。やっぱりかっこいい。

試合は前半を無得点で折り返し、後半54分にセットプレーから田代(というかやや相手のオウンゴールっぽい感じ)が決めてジェフが先制します。目の前の事なのにゴールが決まったのか、誰が決めたのかもさっぱりわからず、一瞬時間差のある喜びとなってしまいました。

試合はこのままジェフが1点を守りきって準決勝へ。最後の方は時間稼ぎにすら余裕を感じるほどのチームの頼もしさでした。

今年のジェフの天皇杯は、ターンオーバーというと非常に聞こえはいいですが、はっきりいってメンバーを落としての戦いを徹底しました。それでも普段リーグ戦になかなか出場できない若手や控え選手が、負けると終わる戦いの中で経験を積み、チーム全体の底上げをしていく様子がなんともいえず楽しく、リーグ以外に戦いの場があるというのはこんなにもメリットのあることなのかと改めて感じました。

天皇杯準決勝:ジェフユナイテッド千葉 2-3 モンテディオ山形

リーグをジェフはJ2ではこれまでで最高の3位で終え、プレーオフの初戦は運良く不戦勝で回避する事ができました。プレーオフまで間が空くので、いろいろなプレビューでジェフはこの準決勝をフルメンバーでのぞむのではないかと予想されていました。
しかしふたを開けてみると、この試合もこれまでと変わらず控え中心のメンバーでした。
個人的にはこれはメッセージのあるスタメンだったと思っています。あくまでジェフの今年の目標はJ1昇格であるということを明確に示し、さらにここまで勝ち上がってきたメンバーにも敬意を表したのだと考えています。

こんな大切な試合なのにうっかりカメラをホテルに置いてきてしまい、iPhoneで撮った写真はダメダメな感じですが(汗)、集まったジェフサポみんなで精一杯応援をしました。

試合は開始早々に山形にリードされましたが、竹内のゴールで追いつき、再び突き放されても谷澤のゴールでもう一度追いつくなど、見ていて感情移入しやすい試合でした。

最終的にはもう一つ勝ち上がる事はできなかったけど、試合後には悔しいというより妙に清々しい気持ちでいっぱいでした。今年の天皇杯は本当に楽しかった…。チームとして戦ってきたと思うし、控え中心という意味では弱小チームが勝ち上がっていくような小気味の良さも感じました。

でも負けた今、心はすでにプレーオフへ切り替わっています。そのための1年だったと思うし、そのための天皇杯での経験だったと思います。
J1に昇格しましょう。今年ならきっとできる。そう信じています。