BL2015/16 第2節:シャルケ対ダルムシュタット

いよいよホーム開幕戦です。初戦の相手は昨季2位で昇格してきたダルムシュタット。
試合前のプレスカンファレンスで監督も『難しい相手』と警告をしていましたが、想像以上に難しい相手でした。
ダルムシュタットについては2013/14シーズンの三部時代に、ハイデンハイム、RBライプツィヒと三つ巴の昇格争いをしていたことがすごく記憶に残っています。3位で終わったダルムシュタットは入替戦にまわり、ビーレフェルトに逆転勝利して二部に昇格、当時から勝負強さというのは際立っていました。
昨季はその同じ昇格組のハイデンハイムやRBライプツィヒを尻目に、さっさと2位でブンデスリーガへ昇格。今季は33年ぶりの一部でのプレーになります。

昨シーズンの失点は26点(一試合平均0.76点)と守備も非常に固く、リーグ34試合中半分の17試合で無失点。スピードのあるヘラーや、高さのあるシュトロー=エンゲルを前線に据え、カウンターやロングボールで得点を取りにきます。試合展開としては、先制されると守備を固められるから、得点するのが難しいなあと思っていました。

 

1. Bundesliga, 2015/16, 2. Spieltag
FC Schalke 04 – SV Darmstadt 98 1:1 (0:1)

Torschützen
0:1 Rausch (9., Rechtsschuss, Stroh-Engel)
1:1 Draxler (47., Rechtsschuss, di Santo)

FC Schalke 04
Fährmann (2,5) – Junior Caicara (4,5), Matip (3), Neustädter (3,5), Aogo (4) – Geis (3,5) , Höger (4) (80. L. Sané) – Choupo-Moting (3,5), Draxler (2,5) – di Santo (4) (73. M. Meyer), Huntelaar (4,5)

SV Darmstadt 98
Mathenia (2,5) – Garics (3), Sulu (2,5), Caldirola (3,5), Holland (4) – Niemeyer (3), Gondorf (3,5) – Heller (2,5), Vrancic (4,5) (50. Sailer (4)), Rausch (2,5) (87. Kempe) – Stroh-Engel (4,5) (83. Wagner)

シャルケは初戦と少しメンバーを入れ替え、ゴレツカのポジションにはヘーガー。右SBにリーターではなくカイサラを起用します。カイサラは予想通り。ヘーガーについては、試合後のプレスカンファレンスによると、トレーニングでよく頑張っていたことや、対人面の強みを考慮してとの事でした。ブライテンライターは勝っているチームをあえていじるクセがあります。競争によって選手のモチベーションを高めるという利点もありますが、そのために試合がうまく行かないケースも見受けられます。結果論ですが、この試合に関して言うと、スペースをうまく作り出せなかったヘーガーよりも、ゴレツカの方が良かったのではないかという気がしました。

試合前には、亡くなった元ドイツサッカー連盟会長のゲルハルト=マイヤー・フォアフェルダーさんのために黙祷。選手は喪章をつけてプレーしました。

試合の入り方はなんとなく様子見なところがありました。シャルケは昨シーズンはカウンターにやられることも多々あり、ダルムシュタットのヘラーの早いカウンターなどという情報もあったせいかもしれません。
シャルケは4-4-2、ダルムシュタットは4-2-3-1で、ワントップがシュトロー=エンゲル、左にラウシュ、右にヘラー、トップ下にヴランチッチ。この4人が攻撃の際には怒濤のように横一列になって走ってくる姿は壮観でした。初戦では出番のなかった元パーダーボルンのヴランチッチは、先制のアシストもしたし、自ら追加点の惜しい場面もあったし、キッカーがつける4.5というほどひどくはなかったと思います。好きな選手なので今後の活躍にも期待したい…。

7分にはヘーガーが頭で競って落としたボールをラウシュが拾い、シュートを打っています。この時点でラウシュ先制ゴールの伏線があったとも言えます。2分後にはGKからのフィードをシュトロー=エンゲルが競って落とし、それをヴランチッチがパス、ラウシュがダイレクトでシュートをゴール隅に決めてダルムシュタットが先制します。
前半で言うと、ロングボールはほぼシュトロー=エンゲルのところに収まっていましたし、先制の場面でもうまくノイシュテッターに競り勝っていました。ただノイシュテッターの競り方を見ると、シャルケは本職のディフェンダーではない弱みが少し出ている気がします。またチュポとカイサラの間に入ったラウシュのポジション取りもすごくうまいです。シュスター監督のプラン通りだったのではないでしょうか。

ダルムシュタットがよく鍛えられたいいチームだというのはオフサイドの取り方を見ても感じられます。
17分にチュポがオフサイドを取られた場面では、セットプレーで守備に戻っていた長身のシュトロー=エンゲルが、最初はひとりオフサイドラインの外に残っていたのですが、プレー開始と同時に一気に全力で上がり、結果的にチュポをオフサイドにしています。FWでもセットプレー後にラインを上げる事を忘れない辺りが、チームとして徹底されているなあと感心したのでした。

ところでこの試合、主審を務めたのは今期からブンデスリーガ一部で笛を吹く事になった26歳のベンヤミン・ブラント。
最初にこの試合を見たときは、前半はカードを出さずに良くやっていると思ったのですが、2度目に見直した時には、18分のフンテラールへのファールでまずカードを出して、ダルムシュタットに対して警告しておくべきだったよなあと思いました。
結局、カードをうまく使えなかったツケは後半に払わされる事になります(シャルケがね)。

34分にはドラクスラーがボールをヘラーに奪われ、一気にカウンターに持ち込まれます。最終的にヴランチッチのシュートをフェアマンが防ぎましたが、あれこそダルムシュタットが狙っている事で、またブライテンライターもシャルケでやりたいだろうなあと思いました。

守備の堅いチームに先制され、全員に引いて守られ、隙あらばカウンターというのは本当にお手上げな展開です。
しかし後半始まってすぐの47分にはついにユリアンのゴールで追いつきました!素晴らしい。こういう膠着した状態を打破するのはいつも才能ある選手の一発だったりしますね。

1-1になってからは、ダルムシュタットはとにかく時間を使う方向で全員が団結します。シュトロー=エンゲルはしょっちゅう倒れるし、ヴランチッチに替わって入ってきたザイラーもファールと、大げさな倒れ方を繰り返します。
シュトロー=エンゲルは二部のときからずっとあれをやっていたので(汗)、あ、またか、くらいにしか思わなかったのですが、主審は昨シーズンはツヴァイテで笛を吹いているのだから、もう少しうまく対処してほしかったかな。(チェックしてみたらダルムシュタットは1試合も担当してなかったわ…)

でも敵ながら最高だったのは、シャルケのFKの場面で両チームの選手達が主審を囲んでいる時に、ニーマイヤーがセットされたボールをちょっとだけよそに動かしたところ。シャルケの選手からするとめちゃめちゃイラっとする行為ですが、むしろここまでいら立たせる行為をチームとして徹底できるのはある意味痛快かも、とつい笑ってしまいました。しかもいかにもニーマイヤーがしそうな行為だし。

試合は結局、このまま1-1の引き分けに終わりました。シャルケとしては、カウンターでは1失点だけだったというのは評価しても良いと思うし、あれだけ苛立たせる相手だったにも関わらず、最後まで得点しようとあきらめなかったのは素晴らしいと思います。
監督のホーム初戦を勝利で飾る事が出来なかったのは残念ですが、個人的に加熱しすぎていた期待が沈静化する機会を得て良かったかも。へへへ。
新しい監督を得たものの、戦術的に未成熟なチームが、少しづつレベルをあげていくシーズンであることを忘れないようにしないとね…。