WM2010 Achtelfinale : ドイツ対イングランド

ドイツ対イングランド。

そんなに意識はしてなかったのに、試合前に闘争心に火をつけられるような出来事がありまして、がぜん好戦的になったまま、今も戦闘態勢にはいったままなのであります。(ああ、この温和な私を怒らせるなんて?)
イングランドサポの皆様には、不快に感じるところがあったらごめんなさいと先にあやまっときます。(といいつつ、攻撃の手は緩めないと思うけど)

とはいえ、どこから書いていいかわからないうえに、寝不足で頭がぼーっとして、思考がぐるぐる同じところを回ってたりするのですが(汗)
とりあえず日本戦みたいに、あー勝ててよかったーではなく、勝って当然の実力差があったような気がします。
ボールを蹴る、止める、トラップ、パスの精度、戦術、すべてにおいて差がありすぎたと思うのですが、どうでしょう?

最初は、ランパードの明らかなゴールが認められなかったことで、イングランドが前掛かりになったところがカウンターの餌食になったのかも、お気の毒になんて思ってましたが、今日帰ってきて試合を見直したら、ああ、前掛かりだけじゃなくて、守備の意識がないのかと思いなおしました。
例えば2点目となったポルディのゴールなんて、ミルナーの戻りがほんとに遅すぎて笑っちゃいます。画面でも失点後にミルナーが大写しになってたけど。
対面のポルディが最終ライン近くまでもどって守備をしていたことから比べると、ちょっとね・・・。

攻撃の方もドイツがお手本のようにいろいろな形を見せるのとは裏腹に、イングランドはあまりに一本調子で工夫がなさすぎました。

カペッロがどのような意図をもってスタメンを組んだのかわかりませんが、ドイツ側は対イングランドについて、明確な意図があったようです。Honigsteinの記事からレーヴのコメントを引用します。この記事自体、イングランドのサッカーもドイツのサッカーもよく知っているHonigsteinらしい内容で、なかなか面白いです。

 

レーヴ、『私たちは、ジェラードとランパードがいつもFWをサポートすることで、中盤があいてスペースができることを知っていた。
私たちの目的はクローゼを使ってテリーをディフェンスラインから引き出すことだった。(イングランドの)サイドバックはサイドに開きすぎるので、ディフェンスとの間にスペースができ、そこに入っていくことができるのもわかっていた。とてもうまくいったので、前半で3-0にすることも可能だった』

 
レーヴの言うように、ドイツの攻撃では面白いようにスペースが生まれ、ワンタッチ、ツータッチのパスで、イングランドのディフェンスががたがたに崩されるのを見て、こんなにも力の差があったのか・・とあ然とするほどでした。

1点目はノイアーのフィードがとにかく素晴らしかったです。
彼はリーグの試合でもいつも、ああいう得点につながるフィードという意識でやっている選手なので、テリーがややミロについて右により、グレン・ジョンソンとの間があいているのを、ノイアーは見ていたんでしょう。おそらく、ミロの動きなども見ると、十分ああいう形でスペースができることはドイツ側は事前にわかっていたんだと思います。
まあ、アップソンを振りほどいてゴールを決めたミロもさすがですけど。これで、ワールドカップは通算12得点目。ペレと並ぶ歴代4位ですよー。ほんとにすごい選手です・・・。

2点目はミュラーがパスを出したところで、ポルディがほぼフリーでむずかしい位置からシュートを決めています。
これ、確かにミュラー、エズィル、ミロ、ミュラー、ポルディとボールを動かすのも早かったかもしれないけど、やっぱりミルナーの戻りとかありえない遅さだよ・・・。

後半に入り、前に前にとやってくるイングランドでしたが、セットプレー崩れから、ドイツが素早いカウンター。シュバインシュタイガーがDFをひきつけて中へ切り込んだ後、フリーのミュラーにラストパスを送り、それをミュラーが力強く決めて3点目。

4点目もやはりイングランドのスローインのこぼれ球から、ミロが絶妙のパスを送り、エズィルがうまく持ち出して、やはり最後はミュラーがきれいに決めました。ミュラーの喜びようがかわいくて、顔は老けてるけど、若者なんだなーとちょっと萌えた。20歳でワールドカップの大舞台に出て、1試合2得点なんて、顔は老けてるけど(しつこい)、きっと天にも昇る気持だったでしょう。
エズィルと競ったのはバリーでしたけど、イングランドは怪我からもどってきたばかりのバリーに頼りすぎましたよねえ・・・。

70分過ぎから試合終了まで、ドイツの試合の殺し方も素晴らしく、ほんとに若いチームなのかと思ってしまう余裕のパス回しでした。
もちろん、ジェラードのシュートをノイアーがかろうじて指先でセーブしたり、ランパードのミドルがあったりと、ところどころではイングランドの攻撃もあったりはしたのですが、あんまり点が入るような気はしなかったな。

この試合を見ながら、ふと、去年のU21欧州選手権決勝のドイツ対イングランド戦を思い出していました。
あのチームから、この日、ドイツ代表としてスタメンでプレーしているのは、ケディラ、ノイアー、ボアテング、エズィル。一方のイングランドはミルナーのみ。
あのときも、4-0でドイツがイングランドに勝ったのですが、負けたイングランドも決して悪い内容ではなく、それぞれのチームの未来を感じさせてくれる試合でした。そしてそれはそのままA代表での対決につながっていると思っていたのですが・・・。

さて、ドイツは次はアルゼンチンとの対戦になります。
マラドーナがただの太ったマスコットヒェンでないことがだんだん明らかになってきたので、こんどこそがっぷり四つに組んだサッカーが見られるかもしれないと、今からワクワクしています。

ああ、そうだ、ノイアーのことをほめるのを忘れていました。
試合後の総括で鈴木良平さんが、この試合でのノイアーの重要性にちゃんと触れてくれたので、すごく嬉しくなりました。
確かに、失点の場面はどうなっちゃうんだろうという不安でどきどきしましたが、むしろ、そのおかげなのか、後半から好調時のノイアーらしさがやっと見えてきたので、もうこの大会は安心かなという気がしてきました。
まあ、ディフェンス陣も奮起していただかなくちゃいけないよねというのはありますけど。

とりあえず1966年ウェンブリーの借りは返したよ、ということで。

 

WM2010 Achtelfinale : ドイツ対イングランド」への2件のフィードバック

  1. もうちょっと、ドイツvsアルゼンチンというカードは、先で見たかったなぁ。というのが正直なところです。

    イングランド代表は変わろうとしないのか、それとも変われないのか、どっちなんでしょう。。
    自分はプレミアのクラブ状況と、イングランドのフットボール文化から見て前者だと思いますけど・・・

    一方、良平さんも語っておられたように、ドイツは2000年ユーロの予選敗退を機に、ユース年代の大改革を行いました。今のドイツは、ちゃんと種を蒔いて、育て上げた収穫を得ようという時期なんでしょうね。

    イングランドもそのユーロで同じく予選敗退してるんですけどね。
    ひょっとしたら、選手を育てるという発想がないのかもしれません。

    話は変わるけど、今の日本代表もアテネ五輪経験者が結構いるので、育成の結果ってのは、ちゃんと出てるのかなぁ。と思います。

  2. >alenaさん、
    決勝あたりで見たかったですよねー、ドイツ対アルゼンチン。
    間違いなく今大会で一番いいチームのうちの二つだと思うので。

    イングランドはどうなんでしょうかね。
    ほんと、実は変わりたくないのかもしれないですね。でも90年くらいとかもっと魅力的だった気がするのに、なんだか今大会はちょっとチームとして機能してなかったです。
    イングランドは日本よりもマスコミがすごいというのもあるでしょうし、EPLが成功すればするほど、国内の選手の活躍の場がなくなるというのもあるかもしれないですし、むずかしいですね。
     
    >選手を育てるという発想
    U21イングランド代表はすごくいいチームでした。
    若くていい選手はいるんだけど、やっぱりA代表にぽんと引っ張れるような力のある監督がいないんじゃないでしょうか。外国人監督ですらそれができないとなると、どうなるんでしょうねえ。ロドウェルとか見たかったなー、今回。
     
    日本はなんだかんだ言って、今のチームは熟成されてますよね。ひと時代前の育成はほんとにうまくいってたんだと思いますし、その結果を今日もだしてほしいです。
    ただ、この先の育成がどうなるかはちょっと不安だけど・・・。

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