Football Money League 2012

デロイト社のFootball Money League 2012が出ていました。2月半ばに出ていたのに、仕事が忙しくてうっかり見落としていました・・・。
このレポートについては毎年書いているので、とりあえず今年もちょっとまとめてみます。
2012レポートの対象期間は2010/2011シーズン(2010/07/01から2011/06/30)になります。

前回、前々回とマネーリーグで16位だったシャルケはなんと今回初めてベスト10以内にランクインしました!!!快挙。
順位は10位。これまでで一番高かった順位は2009レポートの13位でした。

なお過年度のレポートについてはこちらのエントリーをご参照ください。(『Football Money League 2011』『Football Money League 2010』『Football Money League 2009』『Football Money League 2008 – Schalke04』

毎年同じことを書いていますが、まずこのレポートがどういうものであるかを過去のエントリーからコピペしてみます。

マネーリーグの順位はRevenue(収入)に応じて測るという方法がとられています。支出も含めた営業利益において測るというわけではないので、単純に収入の大きいほど順位は上がるということになります。

RevenueはそれぞれMatchday(入場料収入)、 Broadcasting(放送料収入)、Commercial(商業収入)の3本立てです。スポンサーやユニフォーム・サプライヤーとの契約は Commercialに含まれています。
また、Revenueに選手の移籍金は含まれていません。さらに、よりサッカービジネスにフォーカスして意味のある比較にする為に、サッカーに関係のない投資活動や資本的取引などは加味されていないそうです。

各クラブの金額は最終的に6月末の為替レートでユーロに換算(Translation)されます。そのため、イングランドのクラブなどは対ユーロ為替レートにより、結果が有利になったり不利になったりすることがあります。

2012レポートによるシャルケの収入構造は下記の通りです。パーセントは全体の比率。かっこ内は前年の数字と増減金額。通貨はユーロです。

* Matchday 18% : 37.2M (25.4M + 11.8M)
* Broadcasting 37% : 74.3M (35.4M + 38.9M)
* Commercial 45% : 90.9M (79M + 11.9M)

入場料収入(Matchday)増加はやはりチャンピオンズリーグでベスト4まで勝ち残ったことが大きな要因です。全部で6試合のホームゲームがあり、1試合平均の収入は約1.6Mユーロ。ただしこれはバイエルンの3.1Mと比較するとほぼ半分程度にすぎません。
(わかりにくいと思うので日本円にしてみます。1.6Mユーロを仮に105円で換算し、シート数の約61,000で割るとだいたい一人当たり2,754円平均チケット代になります)

放送料収入(Broadcasting)に関してもやはりCLでの躍進が影響しています。UEFAからの分配金は39.8Mで、昨年の水準と比較してもほぼ2倍の金額になっています。

商業収入(Commercial)に関してはマネーリーグでは6番目に高く、これは昨年も書かれていましたがInfront Germanyというスポーツ権利を扱う会社との長期契約が影響を及ぼしています。この契約により、スタジアムをサッカー以外の様々なイベントに活用する道が拡大化されました。Veltins Arenaのサイトを見ると、バイアスロンやボクシング、アイスホッケー、コンサートなど、いろいろなイベントが開催されているのがわかります。
また来年以降のマネーリーグに関係する要因として、ガスプロムと5年契約を延長したこと(約75M)や、アディダスとの長期サプライヤー契約、フォルクスワーゲンやErgo(保険会社)とのパートナーシップがあります。この先もCommercial部分で数字が落ちる可能性はあまりないでしょう。

シャルケが初めてマネーリーグの20位までにランクインした2007年から2011年までの数字をグラフにしてみました。
やはり昨年(グラフ上では2012)は突出しているのがわかりますね。
5年間の年平均成長率(CAGR)は15.4%で、マネーリーグにランクインしている他のドイツのクラブを見ると、バイエルンが9.5%、ドルトムントが9.1%、HSVに至っては1.8%であることを考えると、この5年でかなり成長していることがうかがえます。



ここまでを読むとシャルケの経営状況は明るいような気がしてきますが、デロイト社のレポートは支出までの情報をカバーしていないので、経営状況を読み誤るとかなり困った事態になります。またこの年はマガトが人件費を莫大に増やした年でもあるので、ボトムの数字はいかばかりかとあまり知りたくない気分になります(汗)。
だいたい毎年5月くらいにはクラブの収支が発表される予定なので、忘れずチェックしたいものです(といいつつ、毎年忘れるのよね・・・)。

ちなみにブンデスリーガの他のクラブのランキングも書いておきます。シャルケの他にマネーリーグで20位までにランクインしているチームは3つ。
バイエルンが一番高く4位(ここ数年ずっと4位をキープしています)、次がシャルケの10位。その次はドルトムントで16位(その前年はランク外でした)、そしてHSVが18位(前年13位)です。

Football Money Leagueはだれでもダウンロードできるレポートですので、さらに興味のある方はぜひご自分でも目を通してみてくださいね。