ドイツサッカー好きによる前半戦レビュー

シーズン前に今季のプレビューを書いたサイトで、シャルケ前半戦の総括編を書きましたので、こちらにも転載いたします。
少しタイミングが遅くなりましたが、後半戦が始まる前に出したので、内容も現時点では多少のズレがあるかもしれません。
こういう機会をいただくと、シーズンを客観的に振り返ることができ、個人的にもすごく良いなと思います。毎回、お忙しい中、時間を割いてまとめていただいている暁さんに感謝です。

 

応援するクラブの前半戦の総括と後半戦の展望について

シャルケの前半を終えた時点で6位というのは、思った以上に良かったと評価している。チームを作る過程を考えると、もう少し下位で折り返すことを想定していたからだ。17試合で8勝6敗3分は昨シーズンの成績と全く一緒だが、内容とチームへの期待は昨年よりはるかに上向きで、ウインターブレイクを迎えた。

シーズンが始まり、3節のヴォルフスブルク戦で不甲斐ない敗戦をした後、ドラクスラーが移籍した。ブライテンライター監督は彼を失ったことによる質の低下は否めないとコメント。にもかかわらず、チームは次のマインツ戦からヨーロッパリーグも含め6連勝し、そのうちの5試合はクリーンシートという好調さを見せた。

ドラクスラーの移籍でチャンスをものにしたのがマックス・マイヤーだ。ポジションをそのまま引きつぎ、4節以降13試合全てに最初から出場している。また怪我に泣かされ続けてきたゴレツカも、4節以降ほぼ全試合でプレー。積極的な姿勢にはチームをリードする選手と監督の評価も高い。
昨シーズン後半はゴールのなかったチュポ=モティングも、ようやく得点のリズムを取り戻しつつある。特筆すべきはリロイ・ザネの急成長だろう。5節からの3試合連続ゴールでチームを勝利に導き、スターティングメンバーに定着した。若手選手がそれぞれに巡ってきたチャンスを生かし、6位という結果を後押しした。

シャルケの前半戦を4つの流れでまとめてみる。

1)プレシーズンからドイツカップ一回戦、リーグ1節から3節

開幕が近づくにつれ、チームにはプレッシングを含めた組織的な動きが機能し始めたように見えた。シーズン前にシャルケ公式サイトでヘーガーは、『もう何年もこの形ではプレーしたことがない』と、プレスやカウンタープレスに不慣れな状態を明らかにしている。そこから短期間で形にしていくのは、例えばクロップ時代からプレッシングの下地のあるドルトムントが、トゥヘルのような監督を迎えるのとは全く違う難しさがある。

ドイツカップ一回戦でのデュイスブルク戦、またブレーメンとの開幕戦では、後ろに引かない高い位置でのサッカーが機能し、新しいシャルケを期待させた。ところが3節のヴォルフスブルク戦は、これまでが嘘のような内容となった。消極的なプレーは、中心選手の移籍騒動がチームに影響を与えていた可能性もあるかもしれない。

2)代表ウィーク明け4節から9節

4節以降、チームは再び活性化した。基本はガイスとゴレツカを並べた4-4-2、あるいはガイスをアンカーに据えた4-1-3-2を併用。ディフェンスラインはセンターにノイシュテッターとマティプ、左はアオゴがポジションを確保し、右サイドバックはリーターとカイサラがほぼ交互にプレーした。2トップはフンテラールとディ・サントが多いが、チュポと2人のどちらかの組み合わせも試している。しかしこの期間、フォワードの得点は極めて少ない。
これまでになく平穏で、チームとしてうまく行っていた日々も、8節のケルン戦で3-0と完敗。その後の次期マネージャー問題で再びクラブ内外が騒がしくなっていく。

3)ドイツカップ、リーグのグラートバッハ二連戦から14節

グラートバッハ戦のファールでガイスが5試合出場停止。チーム構想を彼中心に考えていた監督としては頭の痛い問題だっただろう。ドルトムント、バイエルン、レヴァークーゼンとはガイスを欠いた状態で対戦した。
ドルトムント戦はフンテラールとザネのツートップでのぞんだ。結果は3-2で負けたが、シーズン当初から目指してきた攻守の素早い切り替えが、チームに浸透しつつあるのは十分に感じることができた。

4)15節ハノーファー戦、ELグループ突破から17節

勝ちきれないプレッシャーに苦しんだチームは、ヨーロッパリーグのグループステージ突破から再び浮上し始める。例年のように怪我人でメンバーを欠く中、幅広く選手にチャンスを与えながら、グループ首位で突破したことは評価されるべきだろう。17節ホッフェンハイム戦で勝利し、良い状態のまま前半戦を折り返した。

ウィンターブレイク中の課題として、ブライテンライター監督はインタビューで、クロスの質向上と、再びプレスをしっかりかけることをあげている。
チームとしての戦術的な縛りが徐々に緩んでくるのは、シャルケの長年の課題でもあるが、監督は「うまくいったという成功体験が少ない」ところに原因があると考えているようだ。
シーズン前から目標としている切り替えの早さは、数字上は傾向として現れている。昨シーズンは34試合中、カウンターからの得点は2得点だったが、今期は17試合ですでに7得点。

チームとして熟成するにはまだ時間がかかると思うが、後半も成長の過程を見守ることを楽しみにしている。

応援するクラブで後半戦に注目してほしい選手

冬の移籍市場では、珍しく名前のあがった選手を希望通り獲得する事ができた。特にニュルンベルクのアレッサンドロ・シェプフは予想外だった。ドイツ二部で前半を3位で折り返したニュルンベルクが、この時期に彼を手放すとは思ってなかったからだ。
バイエルンユース時代も早くから才能ある選手として注目を浴びていた。そのU-19時代にシェプフは、マイヤーのいたシャルケU-19とリーグマイスター決勝で対戦している。またホイビュルクともチームメイトだったことがあり、シャルケに馴染むのにそれほど時間はかからないだろう。
ニュルンベルクでは今期は右サイドハーフでプレーしている。ウニオン・ベルリン戦で見せた、スピードに乗ったドリブルからの思い切りの良いシュートが印象的だった。チーム全体にダイナミックな動きを与える選手として注目してほしい。

もう一人の注目は、怪我からようやく全体練習に復帰した内田篤人。彼がいつ試合に出場できるようになるかはまだわからないが、復帰すればサイドからの攻撃がさらに充実する事は間違いないだろう。