シャルカーからのインタビュー・その1 – 『Big in Japan?』

1か月ほど前に、ドイツのシャルケファンで、Schalkefan.deというブログをやっているマティアスから、インタビューをしたいという申し出を受けました。
私が彼のブログ記事をリンクしたことが原因なのか、日本からのアクセスが一気に増えたようで、なぜ増えたのかその理由を知りたいというのが動機のようでした。

彼のブログを訪ねる日本人たちは何に興味を持ち、どの記事を読んでいるのか。ドイツ語はわかるのか、シャルケのどんなことを知っているのか。

マティアスが最初にさまざまな質問を投げ、それに私が答え、さらにその答えにマティアスが質問をし、という形で何度もメールをやりとりしました。自分でもよくまあこれだけ大量のドイツ語を書いたものだと感心します。

ただ、常々、海外サッカーの情報はたくさんあるけど、日本から外へ向けて発信するサッカー情報はほんとに少ないと思っていたので、今回、マティアスのサイトで、日本のサッカーについていろいろ答えることができたのは、個人的にすごく嬉しかったです。

私の稚拙なドイツ語を深い洞察力で理解し、わかりやすいドイツ語へ書き直してくれたマティアスに感謝します。
ミッドウィークに試合のない時に出そうと話し合っていたら、ラウテルン戦で大敗した後という最悪のタイミングになってしまいましたが・・・。

下記はマティアスのサイトにアップされているインタビューの日本語版です。私個人に関する部分はちょっと省略しています。また記事になくても、メールでやりとりしたことで必要な説明をかっこで補足してあります。全部で3回シリーズです。

Matthias(以下M): このインタビューはドイツ語でしていますが、どこでドイツ語を勉強したのでしょうか。

(以下Y): 大学でドイツ語を勉強したことはありませんが、2008年頃、ドイツにしばらく住んでいました。仕事を辞めて、8か月ほどですがケルンの語学学校に通っていたのです。先生が素晴らしい人だったので読み書きはなんとかできるようになりました。

M: なぜドイツに興味を持ったのですか?

Y: シャルケの試合を見たかったからです。ドイツ語を勉強するというのは方便にすぎません。私は2006/2007シーズンから本格的にシャルケのファンになりました。スタジアムの雰囲気やファンにすっかりはまってしまったのです。ドイツにいる間、シャルケの試合はブンデスリーガだけでなく、ユースやリザーブの試合もできるだけ見に行っていました。ほんとに忘れられない思い出です。

M: どのようにしてシャルケのことを知ったのでしょうか?

Y: ブンデスリーガは1998/99シーズンから日本の有料テレビで放送されています。私は2004年にJスポーツが放映権を取った時から見始めました。

M: 放送はどのくらいされていますか?

Y: 2006/2007シーズンまで一節につき3試合生放送がありました。バイエルンが中心でしたが、それ以外にもシャルケ、シュツットガルト、レバークーゼン、マインツ、ヘルタ、ヴォルフスブルクなどいろいろ見ることができました。2007/2008シーズンにJスポーツが放送しなくなってからしばらくは、ブンデスリーガを見ることができませんでした。これは私がドイツへ行こうと思った理由の一つにもなっています。

M: 2008年以降、ブンデスリーガは日本で見られないのですか?

Y: 今は再び放送をしています。2局が放送中で、1局はバイエルンTVを放送しています。もう1局はシャルケ、ドルトムント、ヴォルフスブルクを中心に生放送があります。
ただ放送のレベルはあまり高くありません。アナウンサーは日本人選手の名前ばかりを呼びます。
コメンテーターの風間氏はドイツでもプレーしていたことがありますが、Skyのコメンテーター、マルセル・ライフのように、自分の言いたいことばかりしゃべります。

M: ドイツの「Sportschau」のようなスポーツ番組はありますか?

Y: はい、スポーツニュースを扱う番組はあります。ただ日本では野球がどんなときもNo1スポーツです。
海外の試合はだいたいスポーツバーよりも家で見ることが多いです。というのも時差の問題があって、日本での放送は夜遅い時間になることが多いからです。また一緒に観戦できるようなブンデスリーガのファンクラブのようなものも知りません。シャルケのオフィシャル・ファンクラブも日本にはないようです。

M: ブンデスリーガは他の欧州リーグに比べてどうでしょう?

Y: 日本ではイングランド・プレミアリーグが一番人気があります。マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、アーセナル、チェルシーはよく知られています。ただその次にブンデスリーガという人も多いようです。ついこの間、Jスポーツで、プレミアリーグをのぞいて、好きなリーグはどこですかというアンケートがありました。(ソース : 『ワールドサッカー調査隊』
それによると、1位がブンデスリーガ(31.7%)、2位がJリーグ(27.9%)、3位がリーガ・エスパニヨーラ(24.8%)、以下セリエA(9.2%)、リーグアン(2%)という結果になっています。

M: この調査ではブンデスリーガがJリーグより人気があるということですね。国内リーグはどのくらい重要と考えられていますか?

Y: J1とJ2の試合はスカパーですべて生で見ることができます。ドイツでいうSky.deみたいなものですね。Jリーグが近年成長している様子は、シュピーゲルが2008年に出したレポートに詳しいことが述べられています。(ソース:『Japanischer Fußball – In Fernost tut sich etwas』
2009年の平均観客動員数は18,985で、シーズンチケットの平均割合は50%を超えています。(ソース:『Jリーグ公式』
ただすべての試合が満員というわけではなく、それはチームにもよります。

M: あなたはスタジアムへはよく行くのですか?

Y: もちろん!私はJリーグのファンで、応援しているチームもあります。週末には友達と一緒にスタジアムへ行きます。試合の後ではビールを飲んだりして楽しく過ごします。ヨーロッパのサッカーファンとなんら変わるところはありません。

M: どのチームを応援しているのですか?

Y: 好きなチームがふたつあります。ひとつはジェフ・ユナイテッド市原・千葉です。千葉は私が住んでいる東京のすぐ近くのチームです。もうひとつはアビスパ福岡で、こちらは私の実家に近いチームです。この二つのチームは今J2でプレーしています。
ジェフ千葉ではかつてピエール・リトバルスキーやフランク・オルデネヴィッツがプレーしていたので、ドイツのサッカーファンもご存知かもしれません。リティはその後、福岡で監督もしております。リティは選手としてはほんとに素晴らしいのですが、監督としては残念ながらひどいと言わざるを得ません。

M: 両チームについて少し説明してもらえますか?

Y: ジェフユナイテッド市原・千葉は1991年に設立されました。(補足ですが、この設立年はマティアスがWikipediaのドイツ語版で拾ったようです。前身の古河電工サッカー部を入れると1946年創設です)
2005、2006年にナビスコカップで優勝しましたが、2009年にJ2へ降格しました。
Jリーグのシーズンは3月に始まり12月に終わるので、ちょうどいま終盤にさしかかり、あと4試合を残しています(2010年11月14日・第34節終了時点)。今のところ、福岡が3位、千葉が4位です。
J1に昇格できるチームは3チーム。そのうち上位2チームはすでに確定しています。ドイツのように入れ替え戦はありません。
自分の応援している2チームが、昇格の最後の座を争っていることにものすごくジレンマを感じています。福岡が昇格すれば、千葉はJ2に残ることになるからです。ただ福岡はすでにJ2で4年もプレーしているので、ここでの昇格は彼らにとっても重要なのです。ほんとにすごいストレスです・・・。

M: ドイツと日本のサッカー文化に大きな違いはありますか?

Y: 相違点より共通点の方がたくさんあります。私は日本のサッカー文化がすごく好きです。スタジアムの雰囲気はブンデスリーガと同じように素晴らしいし、観客は安全にサッカー観戦ができます。これもドイツと同じですね。アウェイゲームに行けない時は、バーに行ってみんなでテレビを見ながら応援したりもします。

M: スタジアムはドイツと同じように安全だということですが、フーリガンはいないのですか?

Y: フーリガンはいません。もちろんサポ同士がもめることはありますが、日本においては危ないということはほぼないでしょう。

M: ドイツのサッカーファンというとまずビールとソーセージですが、日本では試合前やハーフタイムにはどんなものを買っていますか?

Y: それは私たちにとっても大切なテーマです。スタジアムでの食べ物は日本ではとても重要なのです。ほんとにいろんな食事を選ぶことができるんですよ。
サポはだいたい試合の1時間から2時間前にスタジアムへ行き、いろいろ食べたりして過ごします。日本語ですが、スタジアムグルメのサイトで写真が見られますのでリンクしますね。(『Stadium Groumet Guide 蹴飯』をご参照ください )
リンク先の下の方4つはフランクフルト、カイザースラウテルン、シュツットガルト、ミュンヘンのスタジアムです。

明日、その2へ続きます。

シャルカーからのインタビュー・その1 – 『Big in Japan?』」への8件のフィードバック

  1. その2、楽しみです(わくわく)。
    リンク先、結構コメントついてますね!

  2. インタビューお疲れさまです〜!
    1/3でこの量なんですから、ほんとうに大変でしたね!
    オリジナルの方についてる写真に笑いました,
    埼玉に出没しているマイスターシャーレ、ドイツのよりも健康的だと疑われるソーセージ。

    その2、その3が楽しみです〜!

  3. すごいですねー、シャルカーさんからインタビューなんて。

    日本でブンデスの試合を見ている人が増えているので、
    そのことを知ってもらえるとうれしいですね。

  4. >げんきくん、
    チェックしてきました。
    なんか好意的なコメントが多かったです。ホッと一安心。
    頭脳労働すると、甘いものがほしくなるというのはほんとだよねーというのを、『3月のライオン』の最新刊を読みながら思いました・・・。
     
    >しょーちゃん、
    いやもう、毎日が宿題・・・って感じでした。
    こんなに頭を使ったのも、学生時代以来かしら(とほほ)
     
    写真、なかなかいいでしょう?
    私の撮りためたアルバムから少し提供してみましたー。
     
    >yukimamaさん、
    そうなんですよー。
    日本のサッカーをとりまく状況とかを、いろいろ知ってもらえるといいなーと思いました!
     

  5. 記事読みました。素晴らしいですね。
    日本のサッカーについての正確な情報を伝えてくれて、1人のファンとして嬉しく思います。
    実は私も日本のサッカー文化のよい面が認識できて参考になりました。
    これからはただ試合見に行くだけでなくていろいろ楽しもうかな。
    続きも楽しみにしています。

  6. ドイツにいらしたころに知り合ったシャルケファンの方だと思っていたのですが、ブログのリンクとtwitterがきっかけだったのですね。素敵なつながりです!内容もドイツ語も興味深く、私も続きを楽しみにしています!

  7. これは素晴らしい!!お疲れさまでした。
    このインタビューを読んで、日本のサッカーやサポーターについて知ってもらえて、興味を持ってもらえたら嬉しいですね。そして、日本からも応援しているサポがいっぱいいるっていうのがわかって、ドイツサポの方たちといろんな話が出来たらいいですねぇ。
    国が違ってもサッカーを愛する気持ちは一緒だと思うので、頭を使ってすっごく大変だったと思いますけど、話が尽きなくて楽しそうですね。続きを楽しみにしてます。

  8. >reisさん、
    ありがとうございます。正確に伝わっているのかなー(笑)
    Jリーグが好きなので、いろんな人にこの楽しさを知ってもらえたらなあと思います。
     
    >ハンザさん、
    そうなんです。
    私が勝手に彼のブログを読んでいて、一方的にTwitterでもフォローしていたのですが、彼の方からこういう話をもちかけてもらえてすごくうれしかったです。
     
    >kyokoさん、
    ありがとうございます!

    >日本のサッカーやサポーターについて知ってもらえて、興味を持ってもらえたら嬉しいですね
    ほんとにそうなんですよー。せっかく日本人選手がシャルケにいるのだから、バックグラウンドも知ってもらえると嬉しいです。
    サッカーファンは世界共通ですから!
     

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