シュピーゲルの自転車に関するインタビュー

ヴァッテンフォールのレースに関する記事を探していて、シュピーゲルで自転車関連の興味深いインタビューを見つけました。

インタビューに答えているのはドイツのプロコンチネンタルチーム・ネットアップをスポンサーしているNetApp社の上級副社長・アンドレアス・ケーニッヒ氏。
シュピーゲル側の質問が、今のドイツの自転車レースをとりまく気分を端的に表している気がするので、ちょっとまとめてみました。
背景に詳しくないのであれこれ調べながらの訳です。事実関係に誤認がありましたら(優しく←ここ重要)教えてください。

 

SPIEGEL(以下S): ケーニッヒさん、あなたはプロサイクルスポーツに関わっていますね。ドイツでは自転車競技はきわめてひどいイメージを得ています。どうしてそこでやろうと?

König(以下K):私たちは長い間スポーツ活動に携わり、サッカーではホッフェンハイムが3部にいたころから関わってきました。しかし、一方で私たちは世界的なマーケットも考えていて、サイクルスポーツがそれに近かったのです。加えて、私たちの会社にはたくさんの熱心なホビー・サイクリストがいます。

S: ドイツではサイクルスポーツはドーピングと同義語と見なされています。そのことは気になりませんか?

K: いいえ。サイクルスポーツは地域に根づいた種目であり、みんなの手が届くスポーツだと思います。例えばF1への投資は私たちには論外です。その上、ドイツではサイクリングを楽しむ気持ちはまだまだ強いです。クラシックレースのパリ・ルーベに出た時は、2日間で700もの私たちに関する新聞記事が出ました。

S:過去15年の間にこの競技が行ってきたことに関するネガティブな記事を通して、会社のイメージに傷がつくことを恐れたりしませんか?

K: 全くありません。ミルラムは自転車を通して戦略的な目標を達成しました。以前は彼らは知られてなかったですが、今、その名前はインターナショナルなものになっています。ほとんどのスポンサーはイメージがもとでスポンサーを降りるのではなく、経済的な理由によるのです。

S:にもかかわらず、自転車レースではドーピングというテーマが常にいたるところにあるということを見落としていませんか?

K: 少なくともドイツではそうですね。過去何年にもわたって、ひとつのスポーツ種目が系統立てて低く語られていることをとても悲しく思います。私はドーピングにはもちろん絶対に反対の立場ですが、ドイツでサイクルスポーツをどう扱うかについては、新しいスタートを切ってみるしかありません。

S:つまり、ドイツではありがちですが、競技については少なく、ドーピングについてはより多く語られているということですか?

K: ドイツ人は全てにおいて徹底的にやる傾向があります。サイクルスポーツにおけるドーピングというテーマもやはり徹底的に扱っています。多くの才能のある若いドイツ人サイクリストたちは実質的にドーピング問題に閉じ込められています。この競技の可能性を見るよりも、まず問題の方を横目で流し見ています。これはもうヒステリーでしょうね。

S:あなたは全面的に信頼していますが、ドーピングはあなたのチームでは大したことではないのでしょうか?

K: それについて、私たちはたくさんの対策を取ってきたと確信しています。選手たちはみんなで生活していますし、何事も一緒に行います。個人が禁じられたことをするチャンスはありません。

S:チームにドーピング事件が発生したら?

K: そうすると私たちの契約においてもすぐに関係があるでしょう。それは契約でも定められています。チームの全員がよく理解しています。だから私はいかなる違反も許さない代表者なのです。

S:チームのスポーツディレクター、イェンス・ヘプナーはチーム・テレコムでヤン・ウルリッヒと一緒に競技者として活動していました。そこでの経験は、最初は称賛、そしてドーピング疑惑というものでした。あなたは彼を信頼していますか?

K: 彼について私が知っている全てのことからみて、彼は完全にドーピングに反対の立場にいます。

S:あなたがサイクルスポーツに関わっている上で、時に無理解に出くわすことはありますか?

K: 全くありません。むしろ反対です。私たちはたくさんの励ましを受けています。私たちの顧客は机の上にチームの写真を飾っています。

S:あなたたちの参加はどの程度、チームの業績に結びついているのでしょうか?

K: 私たちには時間があります。チームが2012年か2013年までにツール・ド・フランスに参加するかどうかというのは、重要なことではありません。このスポーツでは息を長くしなければなりません。サイクルスポーツでは、来て1年で翌年去っていくということはできないのです。

S:でもツールは必須ではありませんか?

K: もちろんです。それは私たちの目標です。

 
読んでいて途中、質問の仕方に腹が立ったりしましたが、今のドイツの気分(メディア)ってこんな感じなんでしょう・・・。

途中、イェンス・ヘプナーの名前がでますが、彼はチーム・テレコムでヤン・ウルリッヒたちと同じ頃にサイクリストとして活躍していました。40歳で現役引退後はEurosportで自転車レースのコメンテーターをしていましたが、チーム・テレコムの組織ぐるみのドーピングが大問題となった後、チームに所属していたという理由だけでEurosportを首になっています。
ヘプナー自身はチームのドーピングについて全く知らなかったと言っており、ドーピング疑惑とは無縁の人間と見なされているようです。(以上、記事を書く上で調べた内容をもとにしています)

この記事には出てきませんが、例えばロルフ・アルダクもテレコムの選手として、1995年から99年にかけてEPOを使用したことを告白していますが、彼が現HTCハイロードのスポーツディレクターとしてクリーンなチーム体制を作ってきたことを考えると、過去の過ちを通じて正しい道を求めることが大切なのではないか・・・という気がします。

(そういえばHTCハイロードの解散についてドイツで報道された記事は、他の国での報道に比べるとちょっとニュアンスが違うなと感じたことを思い出しました。機会があれば取り上げてみたいと思います)