Kickerのフィンケ・インタビュー

浦和、フォルカー・フィンケ監督のロング・インタビュー(1ページ半くらい)が7月16日付キッカーの紙面に出ています。この長さだとおそらくWebには掲載されません。
できれば浦和サポのブロガーにコピーをお渡しして、そちらで訳していただこうと考えていたのですが、想定した人はWebに連絡先がなかった・・・。私はフィンケの日本での発言をほとんどチェックしていないので、サポの方のほうがチーム事情や起用法など正しく理解して訳せるはずだと思ったのですが、残念・・・。



とはいえ、どこにも情報が出ていないようなので、とりあえずざざっとまとめてみます。事実関係で間違いがあったらスミマセン。タイトルは『これは贈り物だよ』。
前半戦を終わった段階でチーム、Jリーグ、日本などについてインタビューしています。インタビュアーの質問にフィンケが答える形の記事ですが、下記まとめでは質問部分もフィンケの答えに埋め込んでいます。

 

シーズンのここまでを総括すると、17試合で34ポイントというのは私が最初に考えていたより良かった。去年は7位だったので、経済的な状況を考えてみても私にはハンデがあった。予算は大きく減り、育成から出すというのがクラブ幹部の解決案だった。彼はもうその職にはいないが、改革に1年ほしいと考えていたようだ。最初に私が連絡を受けた時はかなり懐疑的だったが、10日ほど東京に行って確信が持てた。

首位のアントラーズは手ごわい相手かって? アントラーズは過去2連覇している。恐ろしく安定しているし、息が合っているようだ。長い間継続してブラジル人監督を起用している。かつてはジーコ、今はオリヴェイラだ。ずっと4-4-2システムだしね。

チームが今より良くなるのに必要なことは、なによりも時間だ。メンバーの変更と成長のプロセスはハイスピードで行われている。まだ、良くない状態へ戻るような試合を見ることがある。まあそれもめったにないがね。選手のグループは27歳以上と22歳以下だ。その間は存在しない。

元レバークーゼンのポンテは残念ながら長いこと不在で、8、9試合出てなかった。彼の不在は痛かった。彼が戻ってきて喜んでいるが、まだ二人ほど長期離脱している選手がいる。

代表選手はチームに4、5人いる。2度ほど代表の練習の間、彼らなしで過ごさなければいけなかった。それはチームの練習にとっていいことではなかった。来年はワールドカップの準備がある。幸いなことに、代表監督の岡田武史とは直接連絡をとっているので、意見を調整することができる。

エジミウソンは高原より効果的にプレーができているかって?エジミウソンはチームの全24ゴールのうち10ゴールをあげている。彼とタカは両立しないといつも言われるが、そうではない。高原はこの前ゴールをあげたし、彼の能力は魅力的だ。

戦術的に満足しているか?
私は良い方向へ向かっていると思っている。浦和は私の前には3-5-2システムでプレーしてきた。私は選手の変更などをしながら、4-4-2か4-2-2-2システムでプレーしている。

最初の半年で見つけた日本のサッカーの最も興味深いところは、選手の恐ろしいくらいのテクニカルな教育だね。とても上手なボールコントロールを意のままにしようとする。子供は小さいころからシステマティックなトレーニングを受けるんだ。それから熱心に練習が繰り返される。それに対して、試合を読むということは確かに欠落しているね。

逆にほとんど熱意を感じなかったこと?それは答えるのが難しい。なぜなら監督には一生懸命になれることがたくさんあるからだ。

浦和のファンと私たちはとてもうまくいっている。景気が悪い間、チケットが必ずしも安くなくても、家族は一切合財を持ってスタジアムへやってくる。去年は8月23日からホームで勝ってないのに彼らは信じられないくらいがまん強かった。幸いなことに、私たちはすぐに最初のホーム3試合を勝つことができた。

浦和のような熱狂はいたるところであるのか? それはさまざまだね。例えば新潟はサッカーの街だ。ナビスコカップの試合ではスタジアムがとても良い感じだったよ。こういうカップ戦では代表選手なしで決着がついたりする。忘れてはいけないのは、Jリーグで1試合平均2万人弱というのは欧州トップ5リーグのすぐ下くらいだ。

チームにはナイツェルやタンコ、それに日本人のアシスタントがいる。だから楽しいよ。そして全く違う文化。これは贈り物だね。

フライブルガーの私が東京でどう暮らしているかって?東京はとても多くの面がある。六本木は娯楽の多い地域だが、ほんとに小さな静かな場所がメトロポリスの真ん中にあったりする。東京ではまた信じられないような交通輸送手段にも魅了される。1200万人がとてつもないテンポで街の中心部の狭い空間に住んでいるんだ。

日本に来たとき、私はなぜヨーロッパで日本人選手が完全にブレイクできないのかと自問自答してみた。セルティックからエスパニョールに移籍した中村はひとつのハイライトではある。可能性のある選手はいるが、問題はたぶんメンタルの部分。おそらく文化的に個性と押しの強さが欠けている。長谷部は全く違うタイプだ。代表の試合で来た時に知り合ったが、彼のドイツ語会話力には魅了されたよ。私が思うに、言葉はかなり彼にとって障害を打ち破るもとになっている。

最終的に2位だったら満足を感じるかどうか? 3人の19歳の選手が中心メンバーになっている現状では素晴らしい結果だろうね。そうなったら、まあ、61歳には無理はできないだろうけど、宙に飛びあがるだろう。

ブンデスリーガだと浦和はどのような役を演じることができるかという質問は、仮定だが、試合におけるテクニック、プロフェッショナリズムはうまく作用することができるだろう。不足しているのは効率性だ。最後の微妙な一目盛が欠けている。ただ、選手は言われたことを喜んでするし、きわめて情熱的だ。私はここではいつもトレーニングの部分と休養とを調整するよう心がけている。

 
子供の育成で、テクニックは繰り返し練習させるが、ゲームを読む力に欠けるというのは気になりますねー。日本は確かにサッカー番組を見ても、ボールテクニックを取り上げるのが大好きですもんねえ。
フィンケは先日もブンデス公式に出ていましたが、ドイツでひとつのチームを一番長く率いた監督(16年)。育成、クラブのあり方、スタジアムの環境作りなどにも深く携わった人なので、日本にいる間にクラブチームだけでなく、日本サッカー全体にいい影響を残してくれることも期待しています。